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第53話 アリアと友人達

放課後のカフェテリア。明るい陽射しが差し込む中、ミラとセシリアは穏やかに談笑を楽しんでいた。その時、ふと人影が近づいてくるのに気づいたセシリアが驚いて顔を上げた。そこには、アリアがヒルデガルド、クラリス、アリシア、そしてキャナルを引き連れてやってきていた。


「どういう状況?」とセシリアは心の中で呟いたが、驚きのあまり声には出せなかった。なぜなら、アリアと一緒にいる彼女たちは、この学院で一目置かれる存在ばかりだったからだ。王国の至宝と名高いヒルデガルドとクラリス、そして新入生代表のアリシア、さらにアリアの姉であり、過保護なことで有名なキャナルまでが揃っている。セシリアは、あまりにも豪華な顔ぶれに圧倒されていた。


アリアはセシリアに気づくと、にっこりと笑顔を浮かべて挨拶した。「ミラ様、セシリア様、ごきげんよう」


セシリアは一瞬の戸惑いを隠しつつ、「ごきげんよう。ぜひご一緒に」と迎え入れた。ヒルデガルド、クラリス、アリシア、そしてキャナルが続いて座ると、テーブルは一気に賑やかになった。


ミラが不思議そうにアリアに尋ねた。「アリアちゃん、どうしてみんなと一緒なの?」


アリアはにっこり微笑んで答えた。「友達になった」


ヒルデガルドが優雅に微笑み、「そうですわ、アリア様とはすぐに打ち解けて、友人になりましたの」


クラリスも同意しながら、「アリア様の人柄に惹かれたのですの」と、穏やかに続けた。


アリアは改めて全員を紹介し始めた。「ミラ様、こちらがヒルデガルド様、クラリス様、アリシア様です。そして後ろにいるのが…シスコンの姉」と冗談混じりにキャナルを指さした。


キャナルは少し頬を赤らめながら苦笑し、「ちょっと、アリア、その紹介はやめてよ」と軽くたしなめると、周囲の全員がクスクスと笑い出した。


そんな様子に、ヒルデガルドが微笑みながら、「私たちも、ミラ様やセシリア様と仲良くしたいと思っていましたの」と話し、クラリスも続けて、「私たちもぜひ仲間に入れていただけると嬉しいですわ」と言った。


実は、ミラ、ヒルデガルド、クラリスは幼い頃からの友人で、長い付き合いの中で深い絆を育んでいた。それを知らなかったセシリアは、驚きつつもすぐに和やかな雰囲気に溶け込んでいった。


ミラは少し照れくさそうに微笑み、「もう、私には“先輩”をつける必要なんてありません」と言うと、ヒルデガルドとクラリスも嬉しそうに頷いた。


しばらくして、アリアがホームルームでの出来事を話し始めた。「それで、結局クラス委員長になった」


その話を聞いて、ミラとセシリアは驚きつつも温かい微笑みを浮かべ、「そうだったのね。アリアならきっと立派にやり遂げられるわ」と励ました。ヒルデガルドとクラリスも微笑みながら、「そうですわ、アリア様は優れた委員長になることでしょう」と声を揃え、さらにヒルデガルドが、「私たちは、アリア様のことをとても尊敬していますの」と真剣な表情で言った。


クラリスも頷きながら続けた。「そうですわ、アリア様は私たちの誇りです」


ミラはふと疑問を感じて尋ねた。「でも、結局のところ“間”ってどういう意味なの?」


すると、ヒルデガルドが笑いながら答えた。「私とクラリス様の間がアリシア様、そしてさらにその間がアリア様です」


ミラは少し困惑しながら首をかしげた。「その説明、正直言ってわかりません…」


ヒルデガルドとクラリス、アリシアも微笑みを浮かべながら、「実は私たちもわかっていないんです」と、笑い声を交えて答えた。


セシリアは、この豪華な面々と同じテーブルで過ごすという非日常に戸惑いつつも、夢のような心地でその場にいることを楽しんでいた。


そんな様子を見ていたミラが、セシリアにそっと囁いた。「あなたも私にとって大切な友人ですわ」


セシリアはその言葉に感謝しながら、「ありがとう、ミラ様」と静かに答えた。


ヒルデガルドは真剣な表情でアリアを見つめながら話し始めた。「クラス委員長の件で、私たちはアリア様を深く尊敬するようになりました。あの時、私は自分が降りることしか考えていませんでしたが、アリア様はクラスの分裂を心配して全体の調和を考えてくださったのです」


クラリスも同意しながら、「そうですわ。私も同じく、クラスが円滑に進むためには降りればいいと思っていました。でも、アリア様の視野の広さに本当に感服しました」と言った。


さらにアリシアが反省の表情で、「私は傍観していただけでした。お恥ずかしい限りです。さすがは、首席合格者だと改めて思いました」と告白した。


セシリアがふと疑問を口にした。「アリシア様が新入生代表で首席入学者だったのでは…?」


アリシアは微笑みながら答えた。「実は、クラリス様が辞退されたので繰り上がりで代表に選ばれたのです」


全員の目がクラリスに向いた。


クラリスは軽く頷き、「私には、ヒルデガルド様が辞退された後に回ってきたのです」と説明し、今度はヒルデガルドに視線が集中した。


ヒルデガルドが笑みを浮かべ、「実は、アリア様が辞退されたので私のところに回ってきたのです」と言った。


セシリアは目を見開き、「えっ、アリアちゃんが満点の首席合格者だったの?」と驚きの声をあげた。


アリシアが微笑みながら、「はい、アリア様は首席合格者であり、しかも最年少合格者です」と答えた。


アリアは控えめに微笑んで、「でも、私は特別な事情で辞退した」と言った。


クラリスがささやくように言った。「このことは、私たちクラスでは公然の秘密ですの」


セシリアはその事実に驚きつつも、アリアの才知に感嘆し、テーブルに座る全員が和やかな空気に包まれていることを感じた。



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