ーああ、何もかもうまくいかないー
そんなことを俺、内米幸太は思っていた。
「はあ…今月も昇給はなしか…」
バイトでもミスはしてないのに一つの動作だけでも叱られてばかり、勉強も人の何倍もしているのに上手くいかず、行きたかった高校にも落ち、わがままな彼女とも喧嘩し、一時間前に別れたばかり。
何もかもうまくいかないことに複雑な感情を感じ、こうこぼしていた。
「本当何のために生きてるんだろう」
そしてこうも感じていた
「こんな世界…こんな不条理だらけの世界、辞めてやる」
それからというもの、計画を立て続けた。
そうして全財産をはたいてビルを1日借りた。
そして、やりたいことをやりたいだけやり、もうすぐ1日が終わろうという時、意を決して、屋上から下に広がる街並みに身を投げた。
そして衝突の寸前、こう思った。
「次の人生では力が…不条理を覆せるだけの力が欲しい」
そして内米幸太の18年という短い生涯の幕が閉じた。
次に目を開けてみると何もない白い空間が広がっていた。
そこに何か炎のようなものが浮かんでいた。
「何一つ恵まれなかった不運な魂よ。
そなたにせめてもの詫びとして、第二の人生を与える。
そこは能力にあふれるお主らの言葉で言う異世界じゃ」
その言葉を聞き、内米幸太の魂は喜びを感じていた。
(嘘だろ、人生やめたらこんな補填があったし
おまけにファンタジー感しかしない異世界!)
「自己紹介がまだだったな。
お主らの呼び方で言うゼウスじゃ。
お主は死の直前、不条理を覆せる力が欲しいと願っていたな。ならば与えよう。『能力を
では行くが良い。新たなる人生へと。」
そうして俺の新たな人生は始まった。
異世界での第二の人生が!
「楽しみだなー」
この時幸太は知らなかった、この先様々な困難が訪れることを。
ープロローグ完ー