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第6話 漆黒の日常

「なんだあいつはっ!?」


 烙示が警戒心をむき出しにしながら叫ぶ。視線の先には黒い影が姿を現していた。


「くそっ!」


 礼を守るべく、烙示は神のごとき速度で礼の前に回り込む。

 一足先に礼が驚いたような声を発したことで、礼本人がその存在を認識していることを理解しつつも、ほぼ同時に礼がこの道を嫌がる理由がその影にあるということも理解した。


「鎖羽っ! 礼を守れっ!」


 そう言いながら、烙示は大きな右前脚をさらに大きな軌道で一振り。右前脚に向ける意識を強めることでその部位を現実化させ、軽トラックの1台や2台なら簡単にはじき飛ばす事が出来るほどの強い打撃を繰り出す。


「がっ!」


 しかし、その攻撃は黒い影の輪郭によってがっちりと防がれる。


「くそっ! 悪霊かっ!? なんだってこんな場所にっ!? しかも真昼間からこの強さかよっ!」


 そういいながら烙示は獣の動きでさらなる攻撃を繰り出す。今度は全身を現実化させるとともに、意識的に伸ばした指先の爪を鋭く振り、肉球による打撃も混ぜての格闘を始めた。

 およそ10秒間、烙示は敵との攻防を行う。視界の隅で鎖羽が礼を拾い上げて後方に退くのを確認したところで、烙示は自身も後方に跳躍する。


「こいつ……元は人間のようですね。しかし……」


 烙示が地面に着地し体勢を立て直す途中、背後にいた鎖羽が先ほどぐるぐる巻きにした礼を優しく開放しながら、冷静な声で話しかけてきた。

 しかしその言葉に烙示が答える前に、礼の苦しそうな呼吸が響きわたった。


「ぐぽっ……けほっ。かはっ! はぁはぁ……」


 先ほど鎖羽が強い力で礼の体を固定し、加えて高速移動による急激な重力が掛かったため、呼吸が上手くいかずにむせてしまったのだろう。

 緊急性が高かったため鎖羽が加減できなかったのも無理はないが、一応礼は呼吸を乱しながらも自力で起き上ったので怪我はなさそうである。


(いや、あんときの鎖羽。かなり本気な速度で退避した。こいつがそれだけ異様な気配だったってことだ。まぁ、礼のやつには悪いことしたけど、大丈夫そうだな)


 背後で礼のせき込む声を聞きつつ、烙示は視線を影に向けたまま答える。


「あぁ。俺の攻撃に併せて輪郭がはっきりしてきやがった。この形を見るに、間違いなく人間の霊だな。時も浅い。長くて2、3年ってとこか?」

「でしょうね。波長も荒い。そしてこの邪悪な気配……しかも、こやつはさっきまで存在を見事に隠してました……。

 まったく。なぜ、人間というものは『理性がある』ってだけで、わずかな時間でここまで醜悪な姿に……」

「そんなもん知るか。怨念なんて概念、俺に聞くなよ。とりあえずこいつは俺が殺るからお前は礼を守ってろ。闇の気を隠しての奇襲……そんじょそこらの雑魚が扱える技術じゃねぇ。黒幕がいるかもしれねぇから油断するな」


 そして烙示は重心を下げながら、果てしなく攻撃的な唸り声を上げる。


 いや、その声はもはや攻撃そのものと言っても過言ではないほど威圧的で、声が響くと同時に空間さえ切り裂くような気配を放ち始めた。


「魂の残りかすごときが……『降臨者』が未熟だと見込んで襲ってきたんだろうが、あいにくだがあいつの『使い』たる俺たちは、てめぇごときが立ち向かっていい相手じゃねぇんだよ。身の程を知れ」


 そして烙示は不敵な笑み。

 それに合わせて、背後の鎖羽も周りに深い霧を生み出し――


「あっ、間違った。俺らがあいつの『子守役』だった」


 一応どうでもいいことを訂正しつつ、烙示は再び敵との距離を詰めた。


 しかし――


「ちょっと待って……げほっ」


 苦しそうに呼吸を整えながら放った礼の言葉により、烙示はその動きを止める。


(くそっ! またか!? なんつー威力だ……)


 正確には、どう考えても前脚の振りを止めることのできないタイミングまで距離を詰めていた烙示であったが、その動きを無理矢理停止させる形で礼の言葉が響き渡っていた。


「げほっ……その……その人……一応、知り合いだから……」

「!?」

「!?」


 予想外な礼の言葉により、烙示と鎖羽はあっけにとられる。


「げほっ……烙示も鎖羽も……変な術使わないで……げっほ!!」


 と同時に、鎖羽は自身の体から放っていた霧のようなものを消し、烙示もいつもの様子に戻った。

 さらには相手も攻撃的な気配を薄める。その存在は今もなお不愉快なオーラを放ち続けてはいるものの、敵意そのものは感じなくなった。


「こいつがお前の知り合い……? そうなのか?」


 烙示が振り返りながら礼に問いかける。烙示のその質問に、礼はおろか目の前の敵すらうなづいた。


「んな? マジなのか……? じゃあ、そこのお前。なんでそんな気配放ちながら礼に近づいた?」


 しかしながら相手は沈黙したままゆらゆらと空間を漂うだけ。礼があわてた様子でそれに答える。


「いや、その人、元からそんな感じだから……げほっ。ちょ……鎖羽、乱暴過ぎ……胸が……」

「すみません……あまりに急だったもので。そもそも礼様を守るのは烙示って話だったので……私は体の構造的に礼様を無傷で持ち運ぶのが苦手なのです」

「?」


 鎖羽の言葉に礼が首をかしげるが、烙示は横にそれそうになった話の流れを無理矢理元に戻す。


「それは後で話すから。礼? 先に俺の問いに答えろ。つーか説明しろ」

「あぁ、うん。その人、昔からここら辺を漂ってる人なんだ。たまに会うと世間話するんだけど、それ以外特に害はないから。あ、すんごい気配持ってるけど……他の人には近づかないから害はないはず。俺は……なんか知んないけど、普通に近づいても大丈夫だし」


(『すんごい気配』って……これ、『呪い』のレベルなんだが……普通の人間がこれくらったら、自我を失ってもおかしくないだろ……? なんでそんな奴と……)


 しかし烙示は余計なことは言わず、質問を続ける。


「いつから知り合いになったんだ?」

「うーん……どれぐらいだっけ? 小学校の……5年生ぐらい?」


 礼のその言葉を受け、黒い影がうなづいたので、間違いないらしい。

 この頃には鎖羽に締め付けられた礼の呼吸器系も元に戻ったようであり、礼は昔を思い出すように呟きながら、間に入っていた烙示の隣を通り過ぎた。


「そ……そうか。でも……お前、さっきこの道通るの嫌がってなかったか? もしかしてこいつが……」


 ごんっ!


 いや、烙示がポロリと口にしたこの発言はどうやらこの2人の関係を脅かす地雷のようなものだったらしく、それを聞いた礼が勢いよく烙示に近づき、何かを誤魔化すように烙示の頭を思いっきり殴った。


(ぐおっ! いってぇ! そういえば俺、この世界に現実化したまんまだった……)


 しかしその行為が烙示に対する口止めの意味を持っていると気づいた烙示は何も言わない。姿を幻に変えつつ、その流れで敵に対する警戒心を解いた烙示は地面に『お座り』をし、鎖羽も烙示の脇に音もなく移動して烙示同様リラックスした雰囲気でとぐろを巻いた。

 これで先ほどまでの緊張感は跡かたもなく消え去った。


 そして、そんな烙示たちとは対照的に活発な動きを見せ始めたのが礼である。黒い影に対して身振り手振りを交えながらの、情けない雰囲気の弁明を始めた。


「違うんだって!! 君のことも好きだけどぉ! でも守護霊にはふさわしくないってうちの父ちゃんがぁ!

 ……ん? あいつら? いや、あいつらは……一応、俺の守護霊っていうか……いやいやっ! ちょっとまって……泣かないでっ!! これには深いわけが……!」


 そんな礼の悲惨な姿を見守りながら、烙示は後ろ足で首をかく。


「なんだこれ……?」


 ついついぼそりとつぶやいたところに、鎖羽が話しかけてきた。


「大丈夫そうですね?」

「あぁ、危険はなさそうだな。」

「それで、烙示?」


 次の瞬間、鎖羽の周りから薄い霊気の波が放たれる。そのオーラが烙示と鎖羽を包み、お互いの意識がテレパシーのようなもので繋がった。


(それにしてもあの威力。烙示? あなた、あの時無理矢理動きを止められましたね? 怪我はないですか?)

(いや。急だったけど体全体にまんべんなく力がかかった感じだったから大丈夫だ。意外と器用だな、こいつ。力は異常に強かったけど……一瞬、あん時みたいに魂ぶっ壊されるかと思ったぜ)

(くっくっく。私もひやっとしましたよ。突発的だったとはいえ、しっかり編んだ幻術を無理矢理剥がされたんですから)

(そうだったな。お前こそ大丈夫か?)

(はい。とっておきの呪術だったのに、礼様のただの一言で綺麗さっぱり消えてしまいました。下手をすれば空間そのものが私に襲いかかってもおかしくはなかったのですが、その影響もなさそうです)

(うーん……『綺麗さっぱり』ってか……確かにな。俺の殺気もあの影の怨念も似たようなもんだ。そう考えると、あいつの禍々しい闇の気も礼の言葉で浄化されてんだろうな)

(えぇ。礼様本人がその気じゃないので完全に浄化とはいかないようですが、その都度その都度、会うたびに……会話するたびに……って感じで余分な邪気を抜き取っているみたいです。もしあのレベルの悪霊が礼様の制約を受けずに自由に成長したら、それこそ私たちが本格的に力を使って始末しなくてはいけない存在でしょう)


「だーかーらーぁっ!! 誤解なんだってっ!! そりゃいつかは君に憑いてもらいたいと思ってたけどぉっ!!

 いやっ、ちょっと待ってっ! それ以上『怖くならないで』っ! お願いだからっ!」


 その時、またまた礼の情けない台詞が聞こえてきたが、その言葉とそれを受けた黒い存在の変化を見ながら、烙示はうなづく。


(見ろ。またあいつの邪気が薄くなった。それで正解だな。まったく……六憐があいつを消していないってことは、つまり礼のやつが独りで勝手に相手してたってことだろ?)

(えぇ、あんな悪霊を友達付き合いみたいなノリで淨霊するなんて……)


 なんという能力。

 見た目も、その体を組織する細胞も普通の人間。

 というか見た目はまったくもってただの中学生である。


 しかし、その口から出る言葉はただの音ではない。


 空間の分子を振動させるだけではなく、言葉の『意味』を『効果』として変化させ、その『効果』を維持したまま空間を伝わらせる。そして、それが意図した相手に到達した時、圧倒的な強制力によって相手に『効果』を『発揮』させることが出来た。

 これは、平たく言えば言霊や呪文のような能力であるが、父親である風那六憐に非常によく似たその威力と性質は、精霊クラスを自負する烙示や鎖羽すらその支配下に置くのも当然と考えられるほどのもの。


 とりわけ当の本人がその威力をいまいち実感していないあたりが、烙示や鎖羽にとって非常に恐ろしく、ぶっちゃけお互いが初めて会った由多祢寺において、礼が放った『殺られる前に殺ってやる』発言は、本当に烙示たちの魂を消し去りかねないレベルであった。

 あの時は鎖羽が相手の攻撃を薄める類の幻術を広げることで礼の攻撃の効果を下げていたため、結果として烙示たちは礼の攻撃に耐え抜くことができたわけであるが、そこら辺に変な不安感を抱いていた寿原が気を利かせて事前に鎖羽にそのようなアドバイスをしていなかったら、烙示たちの姿はここにはない。


 礼の力はそういう類の力であった。


 そして今。

 礼の放った『ちょっと待って……』という言葉によって、烙示は強制的に動きを止められ、烙示に対する迎撃態勢を整えていた黒い存在も似たような状況に陥る。

 その後、『変な術使わないでくれ……』という言葉によって、今度は鎖羽の幻術や烙示の放つ攻撃性がかき消されてしまった。

 さらには黒い存在とわけのわからないやり取りをしながらも、礼はちょくちょくそのような能力を使い、相手の邪悪な気配を小刻みに浄化していた。



「ふーう」

「はーぁ」


 礼に関して意識の中でお互い再確認し合い、烙示と鎖羽はそれぞれため息を吐いた。


「どうでもいいけど……いい加減面倒じゃね?」


 礼自身、自分の力をよく理解していない点は多少問題であるが、それを教えるのはまだ先の話。

 礼がまだまだ若いということ。そして父親の訃報から立ち直る時間の確保という意味で、礼のことを気遣ったゆえの配慮であり、烙示と鎖羽は寿原からそのように伝えられていた。

 もちろん厄介な力を持ちながらそのことを実感していない礼と行動を伴にするのは、烙示たちにもある程度の負担がのしかかるということであり、十分な警戒を必要とする。


 とはいえこの時の烙示が口にした『面倒』とは、そんなことではなかった。

 烙示が面倒だと思ったのは、烙示たちの前で浮気をした男性のような雰囲気とともに延々と言い訳を続けている礼。

 礼のその雰囲気といい、対する黒い影のいつまでも機嫌を直そうとしない――いや、悪霊たる自分と、精霊の上位クラスに名を連ねる烙示たちとの絶対的な違いを理解しようとしない黒い存在の雰囲気が、烙示たちから見て非常に面倒くさい感じであり、黒い存在が『相手に仕事と自分のどちらかを選べという最悪な二択を迫る類の女性』のように見えてしまった烙示の心境であった。


「そうですね。あの黒い存在。没年齢がいくつかはわかりませんが、あんなガキのわがままに付き合っている暇はありません。私たちには早急に果たさなければいけない使命があります。無理矢理にでも礼様を連れて行きましょう」


 いや、言葉を荒げた鎖羽の雰囲気を察するに、鎖羽も似たような感情を抱いていたのであろう。というかこのときの烙示と鎖羽は、一刻も早く新しいゲームをプレイしたかった。


「おいっ。礼っ!? そんな奴に構ってないで、さっさといくぞっ!」

「え? あっ、でも……」


 その時、黒い存在がうっすらと人間の姿を形どり、逃さないといった感じで礼の腕を掴んだ。


(あぁ、うぜぇ……)


 そう思った烙示であったが、違う意味でもそんな行為は黙っておけない。

 正確にはこのレベルの悪霊が生きている人間の行動を邪魔しているということは、たとえそれが小さな行為だとしても立派な『憑依』にあたる。さらには相手が礼だからこそ正気を保っていられるものの、もともと死者が生者に対して行っていい行動ではなかった。


「あいつ。やっぱり始末するか? いろいろとウザい」

「ふっ。そこの者? これ以上礼様を困らせると、この精霊がお前を消します。今ここで礼様を離すのか、無限の無に落ちるか……どちらを選びますか?」


 ここで、烙示は再び臨戦態勢。鎖羽も無駄に冷たい声色で相手を脅す。

 もちろんこの行為は困っている礼を助けるためであり、本気で相手を消すつもりがないと理解した礼も烙示たちの演技に合わせた。


「ん? あ、あぁ……ごめんなさい。でもこのままだと君があいつらに消されちゃう。

 だから……後でゆっくりね。 んっ? もうこんな時間かっ! じゃあ、またね!」


 とてもとても白々しい演技。

 烙示たちの思惑に気づいた辺りは立派だが、こういう時の演技力はまだまだ中学生である。

 しかし黒い存在は烙示たちの脅迫によって何も言うことができない。礼はというと相手が腕を離す瞬間を見逃さず、そこから猛ダッシュで走り始めた。



「ふーう…… ここまで来れば大丈夫かな……?」


 その後50メートルほど走り、礼は足を止める。後ろから烙示と鎖羽が追いつくのを確認し、ゆっくりと歩き出した。


「おい。なにもんなんだ? あの悪霊」

「うーん……やっぱあの人、悪霊だよね? なんかさ、昔間違って目ぇ合わせちゃってさ。絶対にそういう輩と目合わせるなって父ちゃんに言われてたんだけどさ。間違っちゃって。

 歳は15歳なんだってさ。あっ、でも死んだ時が15歳って意味ね」


「歳とかどうでもいい……でも、あんな奴無視しろよ? いや、今回は無理矢理あの道に引っ張り込んだ俺がわりぃけど」


「いやいやいやいや……あの人、ここら辺頻繁にうろちょろしてるから、いろんな情報くれるんだって! どこどこで猫の集会やってるとか。その集会場所が変わったとか。新しいメンバー増えたとか。

 それに、あんまり無視し続けると俺んちまで乗り込んでくるし。怒らせると大変なんだってば」


「ほう。でも、あの輩は一応地縛霊ですよね? そこらへんの地縛霊が礼様のご自宅まで縄張りに出来るとは思えませんし、家には六憐様の結界が張られておりますから、あのレベルが縄張りの外で本来の力を十分に発揮して、風那家の中に入って来るのは不可能だと思われますが……?」


「う”ぅ……それは俺のせいかも……なんか、俺って憑いてきやすいんだって」


 この点は礼のせいというより、礼の体質のせいだろう。


(あぁ、どっちかっていうと浮遊霊か背後霊に近いのかな。または普段は地縛霊だけど、こいつに対してのみ憑いて回る種類……)


 そう思った烙示であるが、気を取り直して質問を続ける。


「『怒らせると大変』って……あんな雑魚、お前にかかりゃ簡単に処分できるだろ?」

「処分って……いや、俺の言うことは結構ちゃんと聞いてくれるけど……そんな、除霊みたいなことできるわけ……」


 この期に及んでも自分の力に気づいていない礼が非常にいらだだしい。


(今晩の儀式が終わったら、ちゃんと全部話してやるか。つーか、こんな化け物じみた能力を無意識に乱射されたら……俺たちの存在がマジであぶねぇ)


 なので烙示は礼の隣を走りながら、今後のことを考えてみたりした。

 しかし、ここで礼が低い声で烙示に語りかける。


「それに……」


「ん?」


「あの人、俺の部屋に黙って入ってきて、何すると思う?」


「いや、知らねぇけど……首絞めたりとか?」


「いやいやいやいや。もっと酷いこと……むしろすんげぇ恐ろしいこと……俺たちには考えられないぐらい非人道的なこと……」


「なんだよそれ……?」


「あの人、怒っちゃうと俺の寝てるうちに、勝手にゲームの電源を入れて……」


「ふーん。あいつも俺らと同じ類かよ」


「いや、そうじゃなくて……」


 そして礼はかつてないほど低い声で呟く。


「メモリに入ってるゲームデータ、きれいさっぱり消しちゃうんだ……全部……」


(なんつー恐ろしいことを……)


 人間の怨念――その本当の怖さを知った烙示と鎖羽であった。




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