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第5話 モンスターハンター・フロンティア(2007年~ カプコン)

 皆様、ごきげんよう。

 ♪(作者名)です。


 私が若い頃、会社を作ろうとして失敗しました。

 ずっとやりたかったことが上手くいかず、毎日を無気力で過ごしていたのです。


 そんな頃、たまたま見かけたのが、『モンスターハンター・ポータブル』でした。

 気晴らしにやってみたところ、これがなかなか面白い。

 一狩り行っているときは嫌なことを忘れられたのです。本当にありがたかった。



 こうして、毎日のようにリオなんとかとか、ミラなんとかと戦い続けること2年。

 気付いたら全ての武器種をマスターし、ノーダメージで狩れるほどの腕前に。


 当時、渋谷で働いておりまして、仕事帰りに立ち寄った家電量販店で見かけたのが『モンスターハンター・フロンティア(以下、MHF)』です。

 たしか、シーズン3『変幻、アクラ・ヴァシム』という新モンスターが登場していました。

 初めて見るサソリのようなモンスターに、私は引き込まれていきました。


 結局、仕事のタイミングもあって、シーズン4『雷臨、ベルキュロス』からの参加です。

 このゲーム、ハンターランク(HR)というレベルみたいなものがあり、クエストをクリアしていくと少しずつ上っていきます。

 シーズン4から登場のベルキュロスはHR81~なので、すぐに戦うことができず、やっと戦えるようになったのは4ヶ月ほど経ってからでした。


 MHFはソロではなく、仲間と一緒に狩りをするインターネットが必要なゲームです。

 数ヶ月毎にシーズンが進行していき、新たなモンスターが追加されるので飽きが来ないという訳です。

 ですが、断言します。クソゲーです。


 この手の毎月課金するゲームは、とにかく延命措置をしたがります。

 ソロでも十分に狩れるMHPシリーズとは違い、同じモンスターでも体力が倍くらいあります。

 さらに、討伐したモンスターから剥ぎ取った素材を使って武器・防具を作っていく訳ですが、レア素材が出ないので『剥ぎ取りマラソン』をしなければなりません。

 こうやって時間稼ぎをすることで、簡単に上へ行けないようにしています。



 所々からクソゲー臭が漂ってきますが、狩りそのものは本当に楽しかったのです。

 砦の防衛戦とか、32人での大討伐とか、よく考えたなと思えるクエストがあります。

 また、定期的に特殊なイベントが開催され、ちょっと変わった装備が入手できたりします。


 ただ、この頃からちょっと雰囲気が変わってきまして、報酬が『***チケット』みたいな紙ばかりになったのです。

 クエストを受けるにもチケットが必要、装備を作るにもチケットが必要……『紙集め』と呼ばれていました。


 当時所属していた猟団でオフ会がありまして、秋葉原で観光をしたのですが、メンバーの一人がメイドカフェのチラシをもれなく受け取っていたのです。

 それを見た私が、『おや、こんなところでも紙集めですか?』と発言したところ、全員大爆笑だったことを思い出します。


 シーズンは2~4ヶ月毎に進行していき、新モンスター、新装備、新要素がどんどん追加されていきます。

 シーズン10を最後に、フォーワード1~に変わり、武器種の型というのも追加されました。

 そして登場するスキルランク(SR)という、ハンターランクとは別なランク。

 さらに、武器種毎に秘伝装備なるものも登場し、紙集めは加速していきます。


 えっ、私?

 もちろん、全武器種のSRを999まで上げて、秘伝装備を全部つくりましたよ!


 こんな感じで苦行は続くのですが、やはり討伐は楽しいのです。

 多分、MHFのピークがこのあたりです。

 当時接続数7万超えとかだったと思います。



 順調だったはずのMHFですが、ここから信じられないしくじりをします。

 フォーワード5の後にリニューアルした、MHF-Gです。


 フォーワード5の最後には宴が開催され、責任者の方が『どれほどのお客様が大挙して訪れるか分からないのが怖い』とまで言うほどの自信を見せていました。実際、それほどの勢いを見せていたのです。

 ちなみに、私は『このときほど盛大なフラグを見たことがありません』と先に言っておきます。


 まず、お金です。

 新たにGzという通貨が登場しました。それまではzという通貨があり、私は2億以上所有していましたが、事実上いきなり紙切れになりました。

 ここからは何をするにも、Gzが必要になるのです。


 そして、ランクです。HR、SRときて、GR(Gランク)の登場です。新設されたG級クエストをクリアすると少しずつ増えていくのですが、これが全く増えないのです。

 最初に用意されたG級クエストは、ハンター達が嫌というほど序盤で戦った『イャンクック』という鳥みたいなモンスターです。

 G級ということで、まさかの即死級ダメージを身につけて再登場です。

 今まで数多の強力なモンスターを倒してきたハンターが、『イャンクック』に即死させられるのです。まさかの事態に驚きが止まりません。

 しかも、次のGRになるには、これを100匹くらい倒さないといけません。いゃ~ん。


 それが終わったら、今度は『ダイミョウザザミ』という、やはりハンター達が嫌というほど序盤で戦った蟹です。

 これも100匹以上狩らなければいけません。苦行にもほどがある。


 さすがにこれには非難殺到。

 なんで、クックと蟹を狩り続けなきゃいけないんだと。

 そのとき、ハンター達は気付いたのです。

 今までずっと、運営の延命措置に騙されていたことに。


 日々、ログインユーザーは激減していき、運営は謝罪に追い込まれました。

 しかし、その後も迷走は続きます。

 ユーザーも、『また延命措置か……』と思うようになりました。


 私がプレイしたのもここまでです。


 モンスターハンターシリーズと言えば、出せば売れる大ヒットタイトルですが、このようなケースもあったのです。

 クソゲーと名作は紙一重ということですね。

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