皆様、ごきげんよう。
♪(作者名)です。
ある年のお正月、お年玉でゲームソフトを買おうかと小さな電気屋に行ったところ、山積みの投げ売りゲームに気付いたのです。
そのソフトは『消えたプリンセス』というファミコンのディスクシステムのゲームでした。
値段は980円です。ちなみに、消費税も無い時代です。
その値段を見たとき、私の頭にある考えが浮かびました。
財布の中には残り3000円が入っていたので、3本買いました。
「えっ、3本もですか?」
「はい、3本です。問題ありますか?」
「いえ、こちらとしてはありがたいんですが、ちょっと意味分からなくて……」
「問題ないのなら、後日また買いに来ます」
「えっ……」
店員さんとこんな会話をしながら、私はソフトを抱えて帰宅しました。
自宅に帰って貯金を確認すると、残金は5000円ほど。
よし、あと2~3本は買えるな!(なぜ2~3本なのかは後で分かります)
翌日、この作戦を友人2名にしたところ……。
「す、すげえ! よくそんなこと思いついたな!」
「お、俺も今日一緒に行く!」
と、大絶賛。
3人で買いに行くと、店員さんはより驚いた表情を見せます。
たぶん、売れると思って多めに仕入れたソフトが全く売れず、投げ売りしてみたものの、それでも売れず。と思ったら、まとめ買いしてくる子どもが登場。しかも、仲間まで連れてきた……。
ということなんだと思います。
こうして、私たちは無事入手に成功し、店側は完売することができました。まさにウィンウィンですね。
さて、なぜ私たちがこんなゲームを大量に買ったかというと、ディスクシステムには書き換えという仕組みがあるのです。
書き換えをやっている店にディスクを持っていき、500円で他のゲームに上書きしてくれ、マニュアルと張替え用のシールまでくれるので、新品で買ったのと同じ状態になります。
有名な『ゼルダの伝説』だとしても、500円です。新品で買うと、たぶん3000円くらいだったと思います。
これが1480円で入手できるという訳です。つまり、私たちはゲームと買ったというより、書き換え用のディスクを買ったのでした。
残った残金で書き換えをやっている店に行き、『ゼルダの伝説』やら『スーパーマリオブラザーズ2』など、欲しかったゲームを書き換えで入手することに成功したのです。
計画通り!
ところが欲しいゲームを書き換えても、ディスクが1枚余りました。
まあ、いつか書き換えればいいかと思ったのですが、せっかくなので遊んでみようとも思ったのです。
前フリが長くなりましたが、ここからがゲームのお話です。
ゲームの目的は、行方不明となった他国の王女と5種の神器を30日以内に探し出すというものです。
ゲーム開始までのストーリーは、カセットテープが付属しています。
声優には、プリンセス役に当時アイドルだった富田靖子さんを起用しており、コメディ満載でかなりの力作なのです。
私の妹がこれを聞き、興味を持ったらしく、私は『たけしの挑戦状』と同じように巻き込まれました。
多分ですが、妹はクソゲーを引きやすいタイプなんだと思います。
力作のカセットテープとは違い、ゲームはかなり酷い出来でした。
例によって、ほぼノーヒントに近く、広いマップを銃片手に彷徨うだけになりました。
徐々にマップが広がるならともかく、最初からフルマップ(と思われる)に放り出され、どこから手を付けていいのか全く分からないのです。
散々彷徨ったあげく、30日となりゲームオーバーに。
プリンセスの居場所は検討もつかないし、5種の神器も1つしか入手できず……。
あまりのつまらなさ、訳わからなさに、妹も投げ出す始末。
しばらくして、消えたゲーム(何かに書き換えた)となりました。