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第3話 スターソルジャー(1986年 ハドソン)

 皆様、ごきげんよう。

 ♪(作者名)です。


 1980年代と言えば、連射の時代と言っても過言ではありません。

 ハドソンの高橋名人が1秒間に16回撃つ、16連射があまりにも有名です。


 『迷宮組曲』というゲームに連射測定機能が付いたり、連射を測定できる『シュウォッチ』という時計も発売されました。

 私も『シュウォッチ』を持っておりまして、132回の記録を出しました。


 その少し前でしょうか、コナミの『ハイパーオリンピック』というゲームがありまして、これの攻略法として編み出されたのが『プラスチック定規』を使う方法です。

 定規の中央付近にボタンが当たるように置き、片方を固定、もう片方をテーブルからはみ出させた状態で叩くと反動で連射ができるという仕組みです。

 ゲームセンターでも定規を販売してまして、ゴミ箱には折れた定規が山ほど捨てられていたのです。


 そうなってくると、ゲームの腕前よりも連射の速さが重視されるようになってきました。

 『お前、何連射いける?』みたいな会話も随分したように記憶しています。



 そんな連射の時代に颯爽と登場したゲームが『スターソルジャー』です。

 もちろん、ハドソンのしわざです。断言します。クソゲーです。


 簡単に言えば、『高橋名人をより売るために作ったゲーム』です。

 とにかく連射が早くないと全く面白くないゲームです。

 というか、連射が早くても全く面白くないゲームです。

 上から出てくる敵をただ撃つだけです。



 さて、ノリに乗っているハドソンが次に仕掛けたのは『映画化』でした。

 もちろん、主演は高橋名人です。

 そして、ライバル役に選ばれたのは……19歳の毛利名人という別の名人。


 連射速度は14連射ほどらしく、高橋名人に及ばないものの、テクニックに優れているとされています。

 映画でも『力の高橋、技の毛利』と紹介されました。


 この映画は『GAME KING 高橋名人VS毛利名人 激突!大決戦』として、1986年に公開されています。

 主題歌を坂上忍が歌っていることからも、時代の流れを感じます。


 オープニングでは、坂上忍のクセが強い歌声とともに、二人の名人の特訓風景が紹介されます。

 ・自転車に乗ったり、神社の階段を駆け上がったり、崖を素手で登る高橋

 ・ジムで鍛える毛利

 ・ラジコンをする毛利

 ・ブルブル震える皿の上から豆を掴んで他の皿に移し替える毛利

 ・工事現場でドリル(めちゃ振動するやつ)を使う高橋

 ・とんかつ屋でテーブルを連射する高橋。テーブルの上にある調味料が振動で動き出す

 ・スイカに連射をして爆発させる高橋

 ・ホテルのプールで結構強めの風がふく中、トランプでタワーを作る毛利

 ・バイクを指一本で止める高橋

 ・寺で禅をする高橋

 ・ジュースの缶を立ててダルマ落としみたいに下から取る毛利

 ・ピアノをひく毛利

 ・トランプのタワーを完成させる毛利&修行中、雷雨に見舞われる高橋


 スイカを爆発させるシーンはあまりにも衝撃的です。派手に爆発したものだから、自分でビックリしています。

 ちなみに、中に空気を送り込んで破裂させていたようです。


 どれをとっても、ゲームとは一切関係が無い修行です。

 『ゲームの練習をすればいいじゃん』と思った、そこのあなた!

 駄目です。だって、『ゲームは1日1時間』だからね。



 そんなオープニングを終え、ようやく二人の対決が始まります。

 使用するソフトは、もちろん『スターソルジャー』です。

 高橋名人のために作った連射ゲームを選ぶ、ハドソンの腹黒さを十二分に味わう時が来たのです。


 ルールは単純で、5ゲームやって勝利ゲーム数と総合得点を争うというもの。

 1ラウンド:毛利がミスって高橋の勝利

 2ラウンド:僅差で毛利が逃げ切り勝利

 3ラウンド:再び、毛利が僅差で逃げ切り勝利

 4ラウンド:毛利がミスを連発し、高橋の勝利


 ここまで2勝ずつ……いいですね。最終ラウンドで決まります。

 最終ラウンドは、序盤で毛利がミスをし、高橋が逃げ切りかと思いきや、残り20秒くらいで高橋がミスを連発し、毛利の逆転勝利でした。


 ゲーム数では3勝の毛利が勝利なのですが、総合得点では高橋が勝利。どちらも勝者にもならない微妙な雰囲気で映画は終了します。

 多分、高橋がゲーム数で負けた場合を想定して、総合得点でも勝者を決めようとしたのかもしれません。

 子どもながら、大人の汚さを感じた作品でした。



 『スターソルジャー』というゲームは、やはり連射のために生まれたゲームだったのだと思います。

 翌年には『ヘクター87』という新作が発売されましたが、大スベリする結果に。このあたりから、連射シューティングブームは急速に衰退していくのでした。


 さあ、みなさんご一緒に。

 『1日1時間じゃ、こんなに上手くならないだろ!』

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