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第2話 たけしの挑戦状(1986年 タイトー)

 皆様、ごきげんよう。

 ♪(作者名)です。


 令和最新版のクソゲー、『ちいかわ◯ケット』を取り上げようかと思いましたが、さすがに怒られそうなので見送ることにします。

 ちなみに一ヶ月間ほど遊んで、レベル57000を超えました。レベルが万を超えたのはゲーマー人生初めてです。


 ということで、今回、皆様に紹介するのはファミコン時代の名作『たけしの挑戦状』です。

 そう、あのビートたけしさんが企画したゲームですが、断言します。クソゲーです。

 ファミコンのクソゲーを語るとき、『スペランカー』、『燃えろ!プロ野球』と共に、間違いなく登場する名前です。

 もはや王道とも言えるほどのクソゲー界のエースです。


 なんと、80万本売れた大ヒット作品です。騙された人がこんなにたくさん……。

 当時大人気だったビートたけしさんが、かなり力を入れて企画に関わったということで、興味を持った人が多かったようです。

 身近なところでは、お笑い好きの妹がこれを購入し、私に泣きついてきました。


 なお、発売日前日には、あの『フライデー襲撃事件』が起きています。

 最悪のタイミングで発売されてしまったのも、伝説のクソゲーと言われる所以かもしれません。



 ストーリーは非常に単純で、しがないサラリーマンが一攫千金のため、宝探しに行くというものです。

 でも、宝の地図どころか宝島の場所さえ知らないという、無計画の極みです。

 しかも、プレイヤーには妻子があり、会社員として日々働いているのです。そんな夢を見ている暇なんて本来は無いのです。


 ということで、プレイヤーが最初にすることは、妻と離婚し、会社を退職することになります。

 これをやらないと、ゴール直前で妻もしくは社長が現れ、強制的にスタート地点に戻されます。夢を追うなら、全てを捨てなければならないという、たけしの美学を感じます。


 町も危険がいっぱいです。まさに北野映画です。

 ヤクザや警察が近づくだけで殴ってきます。自宅に帰れば子どもまで殴ってきます。

 そんな荒廃した世界でカラオケを歌えば(ファミコンにはマイクが付いている)、ヤクザが絡んでくるので全力で返り討ちにすると、老人が謎の紙をくれます。


 この紙を日光に1時間さらすか、水に5分さらした後でマイクに叫ぶと、なんと宝の地図が入手できます。待ち時間中、うっかりコントローラーに触ってしまうと地図は破れてしまいます。いや、こんなの分かるわけないでしょ!

 なお、町のどこかで宝の地図を売っているのですが、これはニセモノなのです。私はずっとこの地図で宝を探していました……。


 と、こんな感じで全てノーヒントなので、当然クリアできるはずもなく、頼みの綱の攻略本(簡単なヒントのみ)も全く役に立たなかったのです。

 現在であればネットで攻略情報を得ることができますが、昭和の時代は紙媒体のみが情報源だったのです。



 発売からずいぶんと経った頃でも、『たけしの挑戦状』難民は日本中に溢れていました。

 そこで、急遽、完全攻略本が発売されることになりました。これはヒントではなく、完全にネタバレ本といえるもので、この通りにすればゴールまで行けるというものでした。


 私と妹はこの完全攻略本に飛びつきました。藁をも掴む思いです。

 購入して驚いたのが、その分厚さ。以前に買った攻略本の倍くらいあったと思います。


 これで、やっとこのゲームから卒業できる!

 そう思ったのですが、甘かった。途中にハングライダーのシューティングゲームがあって、これが難しすぎて……1ヶ月間、毎日挑戦していました。

 あまりに何度も挑戦したせいか、パスワードを完全に暗記していたほどです。


 やっと宝島にたどり着き、お宝の目前までやってきたそのとき……。


「ははは ばかなやつめ おまえの あとを つけてきたのだ たからは おれの ものだ しねっ」


 と、老人が現れ、ゲームオーバーに……。


 急いで攻略本を確認してみると……宝の地図をくれた老人は、その場で殺しておかないといけないらしい。

 なんというバイオレンス! その男、凶暴につき!


 ということで、最初からやり直し……。

 クリアまで2週間かかりました。

 クリア画面には、たけしの顔と『えらいっ』の文字が。


 そして、しばらく放置したところ、『こんな ゲームに まじになっちゃって どうするの』という文字……。

 妹のゲーム購入から半年以上……私は何をやっていたのだろうか。



 と、こんな理不尽極まりないクソゲーですが、細かい小ネタや裏技が用意されていて、たけしの悪ふざけ感がいい感じに表現されているのです。

 例えば、『ゲーム開始画面でパンチを20000発打つと、宝の直前まで行ける』とか、『河川敷に森田健作がいる』とか、どうでもいい感じなのです。


 えっ、パンチ20000発?

 やるわけないでしょ……。

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