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第31話 夢

【話題の探索者を語るスレ】


352.名無しの探索者

やっぱ迷宮型のダンジョンって見てておもろいよな。


353.名無しの探索者

運が良ければ大儲けだもんな、宝箱見つけた探索者の反応集めっちゃ好きだわ。


354.名無しの探索者

緊張と喜びのミックス感がクセになるよね〜


355.名無しの探索者

無表情貫いてるakariでも宝箱見つけたら目見開いてるもんなww


356.名無しの探索者

若葉ダンジョン有名な探索者めっちゃ集まっててバカおもろいわ。


357.名無しの探索者

>>356

最近"ナツキch"と"サバマグロ"がパーティー組んでたねぇ。


358.名無しの探索者

逆にコウタtvが美女木の荒野ダンジョンでひたすら魔物倒しまくってるの笑う


359.名無しの探索者

コウタtvは神崎信者だからね〜。

むしろ人が少ない今がレベル上げのチャンスとかトチ狂ったこと言ってたよ。


360.名無しの探索者

あいつ神崎信者の中でも抜けておかしいよな、金ほとんどポーションで消えてるらしいぞ。


361.名無しの探索者

ポーションを頭から被るやつなw

絶対傷に直接やったほうが良いのに「めんどくせぇ!」とか言って頭からぶっかけるの脳筋すぎんだろw


362.名無しの探索者

>>361

頭から徐々に滴り落ちてくることで継続的に回復できる高等技術だぞ


363.名無しの探索者

神崎信者ってなんですか?


364.名無しの探索者

>>363

探索者で神崎啓介に憧れてるって明言してる人たちのことだよ。


365.名無しの探索者

>>364

最近だと"ゆうまの地下活動"とかもそうだよね。


366.名無しの探索者

ゆうまはまだ冷静な方だけど、コウタtvはガチで戦闘狂だからな…傷負ってもテンション上がってるの怖すぎる。


367.名無しの探索者

というか、神崎啓介のレベル上げの話を真似して事故ってる新人多すぎてなぁ。

あの人だから成立してるだけってのを理解しろよって思う。

ほとんど伝説上の生き物みたいなもんだぞ。


368.名無しの探索者

配信映えはしないけど実直にやってる人良いよな。斎藤健二さんとか。


369.名無しの探索者

それこそ最近話題になってた鈴木くんと一之瀬ちゃんだよね~

この前の2人で採掘してるときなんか経験したことない青春の空気が味わえて良かったわ


370.名無しの探索者

亡くなった探索者の遺体を持ちかえった子たちか。

レベル1だったのにようやるわ。


371.名無しの探索者

その2人もそうだけど、探索者になったばかりの子たちを見るのも良いよなー









『ぐへっ』


空中から、大人の男性に蹴り飛ばされる少年を見る。

いや、あれは俺……どうやら夢のようだ。


『海人、立て』


厳格そうな父が、倒れている俺に歩いて近付いている。

"俺"は地面に這いつくばりながら、腹を押さえて顔を上げた。父の革靴が俺の目の前で止まる。


『立てと言っている。何度倒れても、立ち上がることができるのが“強さ”だ』


その声に怒気はない。ただ冷たく、揺るがない意志を感じた。


『弱い者に価値はない。だが、お前はまだ“可能性”だ』


『父さんさぁ…優しく教えるとかできないわけ?』


父の眉がピクッと動く。


『それで、お前が強くなるのならやっている』


『ふん、僕は甘やかされて伸びるタイプだよ。そのやり方じゃ無理…うわっ!』


父が寝転んでいる俺を踏もうと足を上げる、俺は慌てて立ち上がった。


『立てるならさっさと立て、馬鹿者』


『休めるときにしっかり休むのも重要って父さんが言ったんじゃないか』


『…口の減らないやつだ』


父は呆れたように鼻を鳴らすと、その場から数歩下がった。

だが目の奥にある鋭さは、まったく緩んでいない。


『そんなに厳しくしてるから兄さんたちも家に帰ってこなくなるんだよ。僕だって兄さんたちと遊びたいのにさ』


父の眉がぴくりと跳ね、口元が一瞬だけ歪む。だが、怒りではなかった。

ただ何かをぐっと飲み込むような、僅かな沈黙。


『あいつらは…もう子供ではない。好きにすればいい』


低く、絞るような声。けれど、その言葉の裏にある寂しさを、俺はまだ子供ながらに感じ取っていた。


『でも実は母さんとイチャつくためにわざと厳しくして家を出るように仕向けてるんじゃ…』


俺がからかうようにそう言うと、父は目にも止まらぬ速さで俺に接近し、頭に拳骨を落とした。




「うおっ!!」


俺はバッと布団から起き上がり、周りを見る。見慣れたアパートの部屋だ。


「懐かしい夢だな…」


まだボンヤリとしている思考をなんとか働かせながら、俺は朝食の準備を始めたのだった。

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