「やぁリック、大丈夫だったかい? 盗賊と喧嘩したって聞いたけど」
そう言って優し気にリックに問いかける。
「うん、大丈夫だよ。 早速だけど、会議をしてもいいかな?」
そう言って彼は頷くと、円盤の机にある席に座ると「ごめん、この子も近くにおいてもいいかな?」と彼に問う。
「構わないけど、その子は?」
「盗賊に襲われてたのを助けたんだ」
そう説明し記憶喪失なのも説明して三人ともうなづいてくれた。
「今日集まってもらったのはここ最近の盗賊や魔物活性化についてだ。 近隣の村に魔物の襲撃が後を絶たないのは知ってると思うが、ここ最近は特に活性化や襲撃で被害が拡大してきてる。 そこで提案だ、何人かで活性地点を調査しようと思う」
魔物ってなんだろう?
言っている事は真剣そのもので、深刻な相手だという事だけは分かった。
「王がもし近づいているなら、無視は出来ないな。 でもどうする? 王と渡り合えるのなんて村でイアか君くらいだろ。 まぁ、僕も負ける気はないけどな」
そう言って彼は自信満々に言った。
彼の発言からして二人が強くて、イファルはその次くらいの実力だという事だ。
「お前は村の剣だ、行く必要はない。 最後の要だからね」
「なら、ボクが行こうか?」
イファルに言うと、イアが自信満々に発言をする。
「いや、イアにはフェイル《あの馬鹿》を牽制してほしい」
「ボクじゃ無理、あれはどうやったって何かやらかすから無理。 むしろ、貴方が居た方がまだましだと思う」
心底嫌悪に満ちた表情を浮かべ、吐き捨てるように言った。
そこまでか。
「っというか、あいつと関わるくらいなら死んだ方がマシ」
本音が出たなぁ。
「うちの愚兄がすみません」
イファルが頭を抱えて謝罪していた。
その感じから見て明らかにつらそうに言った。
可哀想に、苦労してるんだな。
「っという事で、ボクが行く。 いいね?」
「でも……」
「リックには今その子がいるでしょ、その子を連れて遠征に行くつもり?」
「そこはイアに頼んで僕が……」
「記憶がなくて身寄りのない彼女を知らない場所で彼女の事を知らないボクに預けるっていうの?」
「イアと一緒は嫌かい?」
「言い方に悪意を感じるわね」
私への問いかけに対してイアは異を述べる。
私も彼の言葉は狡いと思う。
まだあったばかりの人に嫌いなんて言えるわけがない。
加えて私、この人の事は嫌いじゃない。
むしろいい人そうで今のところは好印象、いや、好きな部類だ。
「私、イアの事、好き、だよ?」
イアを見つめそういうと、彼女の口元が緩み抱きしめてくる。
く、苦しい……。
抱きしめてくると、彼女の二つの双丘が私の口と鼻を抑え息苦しくなる。
「お留守番、すればいいんでしょ? わかってるよ、私のせいでイアはリックを行かせられないんでしょ? 私はイアとここで待ってる、よ?」
何とか息が出来るように、顔を出しいった。