誰かが、僕のお腹の上にのしかかっているのが分かった。
違和感、そして重みを感じて意識だけ起きたが、まだ目は瞑っている。
それにしてもやけに明るいな。
僕は、そっと目を開けて状況を確認してみた。
窓からは、なんてことだろう。月明かりが差し込んでいる。
さて、その月明かりに照らされて、僕の上に乗っているのが物ではなくて何者かだというのは分かった。
モルではなさそうだ、髪は長い。ツインテールにしてる。髪の色は、分かりにくい。色が判別しづらい。
たぶん少女、目は見えない。包帯か布かで目をぐるぐると巻いている。
タクティカルジャケットを羽織っているあたり、一般人じゃない。
どうするべきか。
「不法侵入ですよね」
軽かったので、無理に上半身だけで起き上がった。少女はベッドから降りて、ハーフパンツの太腿を手で払った。
それでもってホルスターが両腿に、片方にはナイフが月明かりで煌めいていて、もう片方には見たことの無い拳銃が。
「……んなぁー、予定変更、新しい仕事に行くよぉ」
ふわっとした気怠げな声でそう言って、少女は僕の首をトスッと軽くその小さな手で叩いた。
すると、面白いことに、魔法にでもかけられたかのように、映画のワンシーンかのように、僕の意識は暗闇に沈んだ。
せっかく月明かりを見れたのに、また暗闇に戻る羽目になるとは。
「まだ夜だからぁ、寝てないとダメだよぉ」
少女は悲しそうに最後に、ゆるっとした気怠げな声でそう言い残した。