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第18話

昼休み、晴翔は姉のクラスへと向かった。天音は友人たちと楽しそうに話している。見た目は普通の女子高生そのものだ。


「お姉ちゃん」


天音が振り返る。


「あ、晴翔。どうしたの?」


「ちょっと話があるんだけど...」


天音は友人たちに一言断ってから、晴翔について廊下に出た。


「何かあった?」


「うん...クラスの望月っていう奴が、お姉ちゃんのこと知ってる」


天音の顔から血の気が引いた。


「え...どういうこと?」


「お姉ちゃんの周りに『光』が見えるって。それと、お姉ちゃんを狙う者たちがいるから気をつけろって」


「どうして...あの人は誰なの?」


「分からない。でも、何か特別な力を持ってるみたいだ」


天音は不安そうに周囲を見回した。


「怖いよ...私のこと、誰が知ってるか分からないなんて」


「でも、敵じゃないって言ってた。むしろ警告してくれたんだ」


天音はしばらく考え込み、ふと思いついたように言った。


「あの銀髪の子...昔から少し変わってるって噂だったよ。よく授業中にぼーっとしてるって」


「そういえば、美羽も何か言ってたな。望月が『最近、空が違って見える』って」


二人は窓の外を見た。虹色のもやが昼の空に広がっている。


「このままじゃ、どんどん周りの人に気づかれちゃう...」


「だからこそ、普通に振る舞うことが大事なんだよ」


晴翔は姉の肩に手を置いた。


「お姉ちゃん、午後の授業、一緒に受けよう」


「え? どうやって?」


「これから職員室に行って、『姉の様子が心配だから』って言えば、特別に許可してもらえるかも」


天音は少し考え、頷いた。


「そうだね...ありがとう、晴翔」


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