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第21話

その夜、晴翔は奇妙な夢を見た。


広大な空間に立っている。足元には雲が広がり、頭上には無数の星。重力を感じないまま、彼は虚空に浮かんでいた。


「ここは...」


彼の声が虚空こくうに響く。


『選ばれし者の番人よ』


声はあらゆる方向から聞こえてきた。


「誰だ?」


『我らは天秤。均衡を司る存在』


晴翔の周りを光の粒子が舞い始めた。


『汝の姉は新たな神となった。だが、不完全な状態』


「不完全...?」


『力を恐れ、受け入れぬ者は完全なる神とはなれず』


晴翔は混乱した。


「お姉ちゃんが神なんて望んでない! もとの普通の女子高生に戻してくれ!」


光の粒子が渦を巻き、一点に集中していく。


『それは不可能。選定は覆らず』


「でも...」


『されど、道は一つに非ず』


光の渦が人の形を取り始めた。輪郭は定まらないが、威厳ある存在感がある。


『彼女を導くのは汝の役目。神として全てを掌握するか、人として神を超えるか』


「人として神を超える...?」


『道は開かれた。選ぶのは汝ら』


光の形が崩れ始め、晴翔の視界が霞んでいく。


『覚えておけ。彼女の力は愛より生まれた。愛こそが鍵』


「待って! もっと教えて...!」


しかし、光は完全に消え、晴翔の意識も闇に沈んでいった。


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