朝日が
(昨日のアルバの言葉...本当かな)
彼女は自分の手のひらを見つめた。指先から微かな光が漏れている。最近、この力のコントロールが少しずつ上手くなってきた。でも、まだまだ分からないことだらけだ。
「天音、起きてる?」
ドアの向こうから
「うん、起きてるよ」
ドアが開き、晴翔が顔を出した。彼の表情は少し疲れているように見える。
「よく眠れた?」
「まあまあかな」
天音は微笑んだが、その目は少し不安げだ。
「晴翔...昨日のこと、考えてた?」
「ああ、アルバの件か」
晴翔は部屋に入り、椅子に腰掛けた。
「正直、罠な気がするんだ。あいつを信用する理由がない」
「うん...でも...」
天音は窓の外を見た。
「この力、もっと知りたいんだ。蓮くんも言ってたけど、コントロールできないと危険だって」
「それなら蓮に教えてもらえばいいじゃないか。わざわざ敵の言うことを聞く必要はない」
「そうだね...」
天音は少し考え込んだ後、決意を固めたように顔を上げた。
「今日、蓮くんに相談してみる。それで判断するね」
晴翔はほっとした表情を浮かべた。
「そうだな。蓮なら信頼できる...と思う」
「思う?」
「いや、まだ彼のことも完全には分からないけどさ。少なくともアルバよりは信用できる」
天音はクスリと笑った。
「もう、疑り深いんだから」
「だって、お姉ちゃんを守るのが俺の役目だから」
その言葉に、天音の表情が柔らかくなった。
「ありがとう...でも、私も晴翔を守りたいんだ」
彼女の手から、ふわりと光の粒子が舞い上がった。美しい光だが、同時に神秘的な力を感じさせる。
「だから、この力をちゃんと理解したいの」
晴翔は黙って頷いた。姉の決意を、彼は尊重することにした。
「分かった。でも無理はしないでくれよ」
「うん。約束する」
兄妹の間に、静かな理解が流れた。