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第48話

夕食後、晴翔は自室でスマホを握りしめていた。何度叶絵に電話しても、つながらない。


「どうしたんだろう...」


彼は眉をひそめた。叶絵がこんなに連絡が取れないのは初めてだ。


そのとき、ノックの音がした。


「晴翔、入っていい?」


「うん」


ドアが開き、天音が入ってきた。手にノートを持っている。


「これ、見て欲しいの」


彼女がノートを差し出した。それは彼女の夢日記だ。


「今日の分を書き足したんだ」


晴翔はページをめくった。そこには、今日起きた出来事が詳細に記されている。天音の力の解放、金色の光、そして地震のこと。


「詳しく書いたね...」


「うん。できるだけ覚えてることを全部...」


ページをさらにめくると、最後にこう書かれていた。


『私は神になってしまったのか? でも、神なんかじゃなく、ただの女子高生でいたい。みんなと笑って、普通の日々を過ごしたい。だけど...この力があるなら、みんなを守るために使いたい。特に晴翔を...』


晴翔は思わず天音の顔を見た。彼女は少し照れたように俯いている。


「お姉ちゃん...」


「ごめん、恥ずかしいこと書いちゃって...」


「ううん、素直な気持ちだね」


晴翔はノートを閉じ、天音に返した。


「俺もお姉ちゃんを守るよ。それに、みんなもいる」


「うん...」


天音は窓辺に立ち、夜空を見上げた。虹色のもやが星々を包み込んでいる。


「きれいな空だね...」


「そうだね」


晴翔も窓辺に立った。


「なんだか、全部運命みたいに感じるよ...」


天音がぽつりと言った。


「運命?」


「うん。私が『神』に選ばれたこと、晴翔がそばにいること、蓮くんや美羽ちゃんや直人くんとの出会い...全部」


「そうかもね...」


晴翔も空を見上げた。


「でも、運命なら受け入れるしかないよね」


「うん...」


天音は決意を込めて言った。


「明日、みんなで話し合おう。そして...」

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