「朝霧くん...何を隠してるの?」
彼女の目は複雑な感情を宿している。昨日の晴翔との会話を思い出し、胸が締め付けられる思いだ。
(近づけない...)
彼女は晴翔がどこか手の届かない場所に行ってしまったような気がしていた。そして、その原因が天音にあるのではないかと、彼女は薄々感じていた。
「あの光...普通じゃない...」
理子も天音の周りの光を見たことがある。最初は気のせいだと思っていたが、最近はっきりと見えるようになってきた。
「お嬢さん、一人ですか?」
突然、声をかけられて理子は顔を上げた。そこには、金髪の外国人風の青年が立っていた。
「相席、よろしいですか?」
若い男性に声をかけられることに慣れていない理子は、少し戸惑った様子で頷いた。
「あ、はい...」
青年は彼女の向かいの席に座った。
「
「???......千早です...?」
理子は少し警戒心を抱きながらも、礼儀正しく答えた。
「千早さん、朝霧晴翔くんのクラスメイトですか?」
その質問に、理子は驚いて顔を上げた。
「どうして朝霧くんのことを...?」
アルバは微笑んだ。その笑顔の奥に、何か計算高さが潜んでいるように感じられた。
「実は、彼のことで少しお話ししたいことがあるんです」
「朝霧くんのこと...?」
理子の心拍数が上がった。彼女の好意を知っている人がいるのだろうか?
「はい。彼が今、どんな危険に巻き込まれているか...ご存知ですか?」
「危険...?」
理子の表情が変わった。心配と驚きが入り混じる。
「どういうことですか?」
アルバはコーヒーを一口飲み、ゆっくりと話し始めた。
「朝霧天音さん...彼女の周りに見える光に、気づいていますよね?」
理子は息を飲んだ。
「あなたにも...見えるんですか?」
「ええ。あれは、とても危険な力なんです」
アルバは声を落として続けた。
「彼女は『神』の力を持っている。そして、彼女の弟である晴翔くんは、その力によって危険にさらされているんです」
「そんな...」
理子は信じられない表情になった。しかし、どこか心の片隅では、それが真実かもしれないと感じていた。あの不思議な光、最近の異変...全て繋がる気がする。
「それで、どうして私に...?」
「あなたが朝霧くんのことを心配していると思ったからです」
アルバの目が鋭く光った。
「そして...私たちと協力して、彼を救ってくれるかもしれないと思って」
「私たち...? あなたは誰なんですか?」
「その説明は後でします」
アルバはポケットからカードを取り出した。そこには電話番号が書かれている。
「もし、朝霧くんを救いたいと思ったら、この番号に連絡してください」
理子は迷いながらもカードを受け取った。
「考えておきます...」
「ありがとう」
アルバは立ち上がり、去る前に一言付け加えた。
「彼は、本当に危険な状況にいるんです。あなたの協力が必要です」
アルバが去った後、理子はカードをじっと見つめた。