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第54話

キッチンでは朝霧あさぎり晴翔はるとが朝食の準備をしていた。テーブルには焼きたてのトーストとスクランブルエッグ、野菜サラダが並んでいる。


「おはよう、晴翔」


「お、起きたか。どう、調子は?」


晴翔は姉の様子を心配そうに見た。


「うん、大丈夫。むしろ元気」


天音は明るく答えた。


「昨日よりも、力をコントロールできる気がするの」


「そうか、それは良かった」


二人は食卓に向かい、「いただきます」と手を合わせた。


「あ、そうだ」


晴翔が思い出したように言った。


「さっき叶絵さんから連絡があったよ。昼に来れるって」


「本当? 何か見つかったのかな」


「さあ…詳しくは聞けなかったけど、重要な情報があるって」


「そっか…」


天音はトーストを噛みながら考え込んだ。


「蓮くんも、重要な情報があるって言ってたよね」


「ああ、みんな同じ時間に集まれるといいんだけど」


「もう一度スケジュール確認しとこっか」


天音がスマホを手に取り、全員にメッセージを送った。


『みんな、今日のお昼12時に私たちの家に集合できる?叶絵さんも来るそうです』


すぐに全員から「OK」の返事があった。


「よかった、全員来れるみたい」


「それなら、準備しておかないとな」


晴翔はカレンダーを見た。両親の予定が記されている。


「お父さんとお母さん、今日も遅いみたいだね」


「そうみたい。助かるよね…説明するの大変だし」


二人は静かに朝食を続けた。窓の外では小鳥が虹色の空の下で鳴いている。不思議と美しい光景だが、その裏にある危険を二人は知っていた。


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