叶絵はアルバを追って街中を走っていた。しかし、彼の姿はすぐに見失ってしまった。
「くっ…」
彼女は
(どこに消えた…)
そのとき、後ろから声がした。
「追いかけっこは得意じゃないんだけどね、叶絵さん」
振り返ると、アルバが立っていた。相変わらずの軽薄な笑みを浮かべている。
「アルバ…」
叶絵は警戒しながら彼を見つめた。
「何をしている?」
「さあね〜」
アルバは肩をすくめた。
「お散歩かな? この町、面白いことが起きそうで」
「イシュタリアのために動いているんだろう?」
「ばれちゃった?」
アルバはわざとらしく驚いた表情を作った。
「まあね。彼は素晴らしい主人なんだ」
「器は誰だ?」
叶絵の質問に、アルバは人差し指を唇に当てた。
「ひ・み・つ♪」
「…」
「でも、もうすぐ分かるよ」
アルバの表情が一瞬だけ鋭くなった。
「三日以内に、この町は変わる。イシュタリア様の支配下に」
「させるものか」
叶絵は低い声で言った。
「神狩り組織は黙ってない」
「あの分裂した組織に何ができる?」
アルバは嘲笑うように言った。
「完全抹殺派は天音ちゃんを殺したがってるし、観察派は何もしない。そのスキに、イシュタリア様は力を取り戻す」
「…」
「それに、新たな神はまだ力をコントロールできていない。勝負にならないよ」
「そうかな?」
叶絵は冷静に言った。
「天音さんには優秀な支援者たちがいる」
アルバの顔から笑みが消えた。
「彼らに何ができる? ただの子供たちじゃないか」
「甘く見ない方がいい」
叶絵はきっぱりと言った。
「彼らの絆は、想像以上に強いものだ」
「絆なんて…」
アルバの顔に軽蔑の色が浮かんだ。
「所詮、幻想さ。イシュタリア様の前では無力だよ」
「さて、それは分からないね」
叶絵は微笑んだ。
「どうやら私たちの意見は一致しないようだ」
「そのようだね」
アルバも笑顔を取り戻した。
「じゃあ、この先は…実力で決着をつけよう。三日後、妙典駅前広場で」
「何を企んでいる?」
「さあね〜」
アルバは片手を振りながら後ずさりした。
「でも、見逃せないショーになるよ。君も、あの子たちも…招待するね」
そう言い残し、アルバは人混みに紛れて姿を消した。
叶絵はしばらくその場に立ち尽くしていた。彼女の表情は冷静だが、心の中では警戒を強めていた。
(三日後…妙典駅前広場…)
彼女は空を見上げた。虹色の