リビングでは、四人が緊張した面持ちで話し合っていた。
「やはり予定より前倒しすべきではないでしょうか」
叶絵が言った。
「このまま三日後を待っていては、天音さんの修行が間に合わない」
「でも、相手の出方もわからないのに...」
直人が反論した。
「戦略的に不利です」
「両方の意見に一理あるな...」
蓮は考え込んだ様子だった。
「でも、予知では確かに三日後、妙典駅前で...」
「私は先輩と一緒に頑張りたい!」
美羽が熱心に言った。
「だって、私たち『天秤の守護者』でしょ? 一緒に立ち向かうんだよ!」
晴翔が階段を降りてくると、全員が彼に注目した。
「お姉ちゃんは眠ったよ」
「体調はどうですか?」
叶絵が尋ねた。
「疲れてるけど、大丈夫そうだ」
「そうですか...」
叶絵は少し考え込み、それから決断したように言った。
「明日から最終準備に入りましょう。もはや時間の猶予はありません」
「了解しました」
蓮が頷いた。
「僕も最大限の準備をします」
「僕も文献をさらに調査します」
直人も引き受けた。
「私はネットの監視を続けるよ!」
美羽も元気よく言った。
「晴翔君は?」
叶絵が尋ねた。
「俺はお姉ちゃんのサポートに専念するよ。それから...この家の安全確保」
「それがいいでしょう」
叶絵は立ち上がった。
「では、今日はここまでにします。明日の午前中にまた集合しましょう」
「はい」
全員が頷いた。
叶絵が帰った後、四人の高校生が残された。晴翔の表情は疲れていたが、決意に満ちていた。
「みんな、本当にありがとう」
彼は深く頭を下げた。
「お姉ちゃんと俺を助けてくれて...」
「何言ってるの!」
美羽が軽く晴翔の背中を叩いた。
「私たち友達でしょ? 当たり前じゃん!」
「そうだよ」
蓮も優しく微笑んだ。
「僕たちは一つのチーム。共に戦うんだ」
「それに、このような超常現象を目の当たりにできるなんて、研究者として最高の機会です」
直人が眼鏡を上げながら言った。彼なりの表現だ。
晴翔は胸が熱くなるのを感じた。こんな素晴らしい仲間たちと出会えたことに、感謝せずにはいられなかった。
「でも、明後日...本当に大丈夫かな?」
美羽が少し不安そうに言った。
「だって、イシュタリアって神様でしょ? 私たちみたいな高校生に何ができるの?」
「天音先輩もまた『神』だ」
蓮が静かに言った。
「それに、我々には特別な絆がある。そして...」
彼はポケットから小さな
「これも用意しました。みんなに一つずつ」
「護符?」
晴翔が不思議そうに見た。
「神秘の力から身を守る
蓮は一人一つ配った。古い布でできた小さな袋だ。特別な香りがする。
「これは...」
直人が興味深そうに嗅いだ。
「特殊なハーブと、古来からの秘法で作られたものです」
「効くの?」
美羽が半信半疑で尋ねた。
「完全ではありませんが、多少の防御にはなるでしょう」
「ありがとう」
晴翔は感謝して護符をポケットにしまった。
「では、今日は解散しよう。明日に備えて休むべきだ」
「了解!」
三人は帰り支度を始めた。
玄関で見送りながら、晴翔は空を見上げた。虹色の