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第72話

一方、2年3組の教室では、天音も似たような状況に直面していた。ドアが開き、ソフィアが入ってきたのだ。彼女は年配であるにもかかわらず、制服姿で現れた。しかし不思議と違和感はなく、むしろ高貴な雰囲気を漂わせている。


「はじめまして、ソフィアそふぃあです」


彼女は優雅に一礼した。その姿勢から、長い年月を生きてきた風格ふうかくが感じられる。


「朝霧さん、お会いできて光栄です」


ソフィアはまっすぐに天音を見つめた。その目には敵意よりも、むしろ興味と敬意が宿っているように見えた。


「あ、はい…」


天音は困惑しながらも、丁寧に頭を下げた。


「席は、そちらが空いていますね」


教師が天音の隣の席を指した。ソフィアは静かに頷き、天音の隣に座った。


「よろしくお願いします、隣人となりさん」


天音は緊張しながらも微笑みを返した。四天王の一人が隣に座るという状況が、どれほど異常なことか。しかし、ソフィアからは敵意が感じられない。むしろ、何かを見守るような優しささえ漂っていた。


「私は…あなたを観察するために来ました」


授業が始まり、教師が黒板に向かっている隙に、ソフィアは静かに囁いた。


「観察…?」


「ええ。あなたと『旧神』の関係を」


「イシュタリアは…もう…」


「一つの闇が消えても、新たな闇は生まれるもの」


ソフィアの言葉は深遠で、天音には完全には理解できなかった。


「でも、なぜ学校に…?」


「それは放課後、全てを説明します」


ソフィアはそれ以上語らず、真面目に授業に集中し始めた。天音は困惑しながらも、とりあえず授業に集中するしかなかった。


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