一方、2年3組の教室では、天音も似たような状況に直面していた。ドアが開き、ソフィアが入ってきたのだ。彼女は年配であるにもかかわらず、制服姿で現れた。しかし不思議と違和感はなく、むしろ高貴な雰囲気を漂わせている。
「はじめまして、
彼女は優雅に一礼した。その姿勢から、長い年月を生きてきた
「朝霧さん、お会いできて光栄です」
ソフィアはまっすぐに天音を見つめた。その目には敵意よりも、むしろ興味と敬意が宿っているように見えた。
「あ、はい…」
天音は困惑しながらも、丁寧に頭を下げた。
「席は、そちらが空いていますね」
教師が天音の隣の席を指した。ソフィアは静かに頷き、天音の隣に座った。
「よろしくお願いします、
天音は緊張しながらも微笑みを返した。四天王の一人が隣に座るという状況が、どれほど異常なことか。しかし、ソフィアからは敵意が感じられない。むしろ、何かを見守るような優しささえ漂っていた。
「私は…あなたを観察するために来ました」
授業が始まり、教師が黒板に向かっている隙に、ソフィアは静かに囁いた。
「観察…?」
「ええ。あなたと『旧神』の関係を」
「イシュタリアは…もう…」
「一つの闇が消えても、新たな闇は生まれるもの」
ソフィアの言葉は深遠で、天音には完全には理解できなかった。
「でも、なぜ学校に…?」
「それは放課後、全てを説明します」
ソフィアはそれ以上語らず、真面目に授業に集中し始めた。天音は困惑しながらも、とりあえず授業に集中するしかなかった。