東京タワーに向かう
「お姉ちゃん、そろそろ時間だよ」
振り返ると、
「うん、行こう」
天音はペンダントを握りしめ、弟に向かって頷いた。
◆◆◆
アパートメント妙典の
「全員、集合したわね」
振り返った叶絵の目が、入ってきた天音と晴翔をとらえる。
「さあ、最終確認するわよ」
大型モニターに東京タワーの映像が映し出された。通常営業中のタワーには、観光客が行き交っている。彼らはまだ何も知らない。今夜、あの場所が
「美羽ちゃん、元気ないね」
部屋の隅で
「あ、天音先輩…」
美羽は無理に笑おうとしたが、すぐに諦めたように肩を落とした。
「実は…ちょっと怖くて」
「当然よ」
側にいた
「怖いのは恥ずかしいことじゃない。勇気とは、怖さを知っていながら前に進むこと」
「そう、よく言ったわソフィア」
「論理的には、恐怖は生存のための重要な感情だ。それを無視する者よりも、理解して克服する者の方が強い」
「難しいこと言わなくても…」
美羽は少し顔を
「みんな怖いよね?ねえ、
「僕は…」
彼はゆっくりと振り返った。
「未来の可能性を見てるよ。沢山の道筋があって…でも、どれも簡単じゃない」
「なんだかいつもより
美羽が心配そうに言った。
「僕の能力にも限界があるんだ」
蓮は苦笑した。
「特に今回のように、神々が関わる出来事は…
「そう…」
会話が途切れたとき、
「全員、こちらへ」
皆が中央のテーブルに集まった。カナエはその上に、小さな銀色の装置を並べていた。
「これが最新の
「本当に効くの?」
晴翔が疑わしげに装置を手に取った。
「理論上は」
カナエはあっさり認めた。
「けれど、これが現時点での最善の策よ」
「それと」
「これは通信機。いつでも連絡が取れるようにしておくんだ」
「オシャレじゃん!」
美羽はそれを耳に着けながら、少し明るい表情を取り戻した。
「作戦行動中も、
「おいおい、命がけの作戦だぞ」
晴翔は呆れたように言ったが、その目には僅かな笑みが浮かんでいた。美羽の明るさは、時に最高の
「それぞれの部隊に分かれて、最終確認をしよう」
叶絵の指示で、皆がそれぞれのグループに分かれた。