一方、部屋の反対側では、
「地下からの侵入は、静かに行う」
彼は無表情のまま言った。
「我々の役目は奇襲。交渉が決裂したら、即座に行動に移る」
「了解しました」
直人は真面目な表情で頷いた。
「私は後方支援として、情報収集と分析を担当します」
「僕は…」
蓮が小さく言った。
「予知能力で、敵の動きを先読みします」
「俺は前に出る」
アルバが珍しく真剣な顔で言った。
「必要なら、自分が
「お前が?」
ジンが初めて感情らしきものを表に出して、驚いた。
「普段は軽薄だが…今日は違うのか」
「まあね」
アルバは肩をすくめた。
「たまには真面目にやらないとね。だって明日がないかもしれないんだから」
「明日はある」
蓮が静かに言った。
「少なくとも、僕にはそう見えるよ」
「おっ、それは心強いね!」
アルバは急に明るくなり、蓮の肩を叩いた。
「予言者くんのお墨付きだ」
「保証はできないけどね…」
蓮は少し困ったように微笑んだ。
「どんな明日かは、君たち次第だよ」
「深いな、君」
直人が感心したように言った。