午後三時。
「皆さん、集合してください」
叶絵の声に、全員が中央に集まった。
「最終確認です。作戦開始は午後五時。午後十時までに東京タワーの制圧を完了させなければなりません」
「何か変更点は?」
カナエが尋ねた。
「はい。新しい情報によると、一般客の退去作業はすでに始まっています」
モニターに映し出された東京タワーでは、スタッフが観光客を外に誘導している様子が見えた。
「組織が『設備点検』という名目で、密かに進めています」
「それは良かった」
ソフィアが安堵の表情を見せた。
「一般の人々を巻き込まずに済む」
「ただし、まだ全員が退去したわけではありません」
叶絵は厳しい表情で続けた。
「また、イシュタリアたちも動き始めています」
「どこに?」
晴翔が食い入るように画面を見た。
「まだ姿は見えません。しかし、タワーの周辺で不自然な
モニターの映像が切り替わると、タワーの上空だけが異様に
「あれは…」
天音が息を呑んだ。
「ええ、境界の
叶絵はうなずいた。
「旧神たちが、この世界に足を踏み入れようとしている証拠」
「じゃあ、作戦開始を早めるべきでは?」
直人が提案した。
「いいえ、まだです」
叶絵はきっぱりと言った。
「彼らの儀式は満月が天頂に達する時に始まる。それまでは準備段階。我々も万全の態勢で臨みましょう」
「分かりました」
全員が納得したように頷いた。
「では、各自、最後の準備を」
叶絵の言葉で、全員が動き始めた。それぞれの思いを胸に、覚悟を