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第96話

天音は一人、別室で静かに目を閉じていた。最後の瞑想めいそうの時間。彼女の周りには、かすかに金色の光が漂っている。


ノックの音がして、ドアが開いた。


「お邪魔するわ」


ソフィアが静かに入ってきた。


「ソフィアさん」


天音は目を開けた。光は消えたが、その瞳には強い意志が宿っていた。


「最後の瞑想はどうだった?」


「はい。なんだか、力が研ぎ澄とぎすまされていくような…」


「素晴らしい」


ソフィアは満足げに頷いた。


「あなたの力は、日に日に成長している」


「ソフィアさん、一つ聞いてもいいですか?」


「なんでも」


「あなたも、かつて神だったとき…こんな風に戦ったんですか?」


ソフィアの表情が、一瞬だけかげった。


「いいえ…私は違ったわ」


彼女はゆっくりと窓際に歩み寄った。


「私は…力を制御できなかった。多くの人を傷つけてしまった」


「え…」


「だからこそ」


ソフィアは天音をまっすぐ見つめた。


「あなたには同じ過ちを繰り返してほしくない」


「ソフィアさん…」


「私は力を恐れ、最後には封印することを選んだ。でも、あなたは違う」


ソフィアの目には、温かな光が宿っていた。


「あなたには、力と共に生きる道がある。それは素晴らしいこと」


「私にできるでしょうか…」


「できるわ」


ソフィアはきっぱりと言った。


「あなたには、私にはなかったものがある」


「何が…?」


「絆よ」


ソフィアは微笑んだ。


「弟との絆、友人たちとの絆。その絆こそが、あなたの最大の強みになる」


「絆…」


天音はペンダントを握りしめた。確かに、彼女は一人ではない。晴翔や美羽たち、そして四天王まで。皆が彼女のために戦ってくれる。


「覚えておいて、天音さん」


ソフィアは優しく言った。


「神であっても、人間であっても、一番大切なのは心。それだけは忘れないで」


「はい…ありがとうございます」


天音は深く頭を下げた。その時、彼女のペンダントが一瞬、強く輝いた。


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