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第98話

美羽は屋上で、夕焼けの空を見ていた。


「きれいな夕焼けだね…」


彼女の横に蓮が静かに立っていた。


「うん、まるで血のよう」


「不吉なこと言わないでよ!」


美羽は蓮の腕を軽く叩いた。


「ごめん」


蓮は微笑んだ。


「でも、きれいなものはきれいだね」


「そうだね…」


二人はしばらく黙って夕焼けを見ていた。言葉にならない不安と覚悟が、二人の間に流れていた。


「蓮くん」


美羽が突然、真剣な声で呼びかけた。


「何?」


「私たち、勝てるよね?」


蓮はしばらく黙っていた。彼の予知能力でさえ、完全には見通せない未来。それでも、彼は答えた。


「僕たちが一つになれば」


「そっか…」


美羽はぎゅっと拳を握った。


「じゃあ、一つになろう!みんなで!」


彼女はパッと明るい笑顔を取り戻した。その笑顔に、蓮も心から微笑み返した。


「そうだね。みんなで」


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