東京タワーは夕陽に
「到着しました」
「すごい
晴翔が
「怖い…?」
隣に座る天音が小さな声で尋ねた。
「まあな」
晴翔は
「でも、引き返すつもりはない」
「うん。私も」
天音はペンダントを握りしめた。それは不思議と温かく、彼女の手に
「作戦開始は六時」
「それまでは、向かいのカフェで待機する」
「カフェ?」
晴翔は驚いた顔をした。
「そんな
「むしろ
カナエは冷静に答えた。
「タワーを正面に見据えながら、敵の動きを観察できる」
「そういえば、敵の姿は見えないね」
天音が窓の外を見回した。タワーの周りに人影はない。ただ、上空の
「彼らは時間まで
「儀式の準備はすでに始まっている。我々にはそれが見えないだけ」
車は静かに
◆◆◆
「美羽、こちらの位置を確認して」
「うわぁ…空がうねってる」
彼女は思わず声を上げた。肉眼では見えない
「向こうのカフェに第一部隊が到着したわ」
叶絵が通信機で報告した。
「第二部隊、地下への侵入開始を」
「了解」
美羽は空を見上げた。太陽が沈みかけ、間もなく夜になる。満月が昇り始めるまで、あと数時間。彼女は小さく
「みんな、無事に…」
◆◆◆
「侵入開始」
「内部の状況は?」
直人が尋ねた。
「不明」
ジンは短く答えた。
「だが、警戒は必要だ」
「僕には…何か感じるよ」
蓮が静かに言った。彼の透き通るような瞳が、タワーを見上げていた。
「タワーの中に…光と闇の
「君の予知能力、時々
アルバが肩を
「まるで怪談話じゃないか」
「冗談を言っている場合か」
ジンが彼を
「任務に集中しろ」
「はいはい、分かってるって」
アルバはニヤリと笑った。
「でも、緊張するなぁ…アドレナリン出まくりだよ」
「静かに」
ジンが手で合図をした。通用口に着いたのだ。
「鍵は?」
直人が見た通用口には頑丈な鍵がかかっていた。
「必要ない」
ジンは手をかざすと、鍵が勝手に
「神狩り組織の特殊能力か」
直人が感心したように言った。
「いいえ、単なる
ジンは淡々と言った。
「組織はあらかじめ、この鍵を
「なるほど…」
四人は静かに中に入り、
「異常なく…か?」
アルバが周囲を見回した。
「いや…何かおかしい」
蓮が急に立ち止まった。
「みんな、足元を見て」
全員が下を見ると、床に奇妙な
「これは…」
直人が眼鏡を上げながら
「
「まさか…すでに儀式が?」
アルバの表情が引き締まった。
「いや、これは準備段階だ」
ジンが静かに言った。
「儀式はまだ始まっていない」
「しかし、すでにタワー内部は支配されつつある」
蓮が付け加えた。
「急いだ方がいい」
「了解」
四人は慎重に