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第111話

生徒会室に到着すると、そこには既にテーブルが用意され、お茶とケーキが並べられていた。


「わぁ、すごい」


天音は目を丸くした。テーブルにはキラキラとしたガーランドや小さな花が飾られ、まるでおとぎ話のお茶会のようだった。


「これ、全部美羽ちゃんが用意したの?」


「えへへ」


美羽は得意げに胸を張った。


「昨日の放課後から準備してたんだ〜」


「私も少しお手伝いしました」


奈央が微笑みながら言った。


「さあ、みんな座って」


全員がテーブルを囲んで座り、奈央がケーキを切り分け始めた。


「いただきます!」


揃って声を上げると、美羽が突然立ち上がった。


「あ、そうだ!」


彼女はカバンから小さな箱を取り出した。


「天音先輩へのプレゼント!」


「え?私に?」


「うん!みんなで選んだんだよ」


箱を受け取った天音は、驚きと喜びで目を輝かせた。丁寧に包装ほうそうを解くと、中には小さな写真立しゃしんたてがあった。そこに収められた写真は—


「これ…」


天音の目に涙が溢れそうになる。そこには『天秤の守護者』全員の笑顔が収められていた。


「いつの間に…?」


「先週の体育祭の時だよ」


美羽が嬉しそうに言った。


「みんなで記念に撮ったの、覚えてる?」


「ああ、あの時か」


天音は笑顔で頷いた。戦いが終わってから初めて全員が揃った日のことだ。


「ありがとう…大切にする」


「まだあるよ!」


美羽は再びカバンをごそごそと探り始めた。


「これは、みんなからのメッセージカード!」


彼女は小さな封筒を差し出した。


「今じゃなくてもいいから、一人の時に読んでね」


「うん…」


天音は優しく封筒を受け取った。


「みんな、本当にありがとう」


「いやいや、天音先輩こそ」


蓮が静かに言った。


「僕たちを守ってくれて、ありがとう」


「僕も感謝しています」


直人も珍しく感情を込めて言った。


「計算上、私たちが生存できる確率は極めて低かった。でも、先輩のおかげで…」


「先輩がいなかったら、私たち、ここにいないもんね」


美羽も真剣な表情で言った。


「だから、これからも一緒にいようって思ったの」


「一緒に…」


「そう、これからも『天秤の守護者』として」


晴翔も静かに言った。


「もう戦う必要はないけど、お互いを守る存在として」


「はい!」


天音は涙をこらえながら頷いた。


「ずっと一緒にいましょう」


「それじゃあ、乾杯!」


美羽がジュースの入ったカップを持ち上げた。


「『天秤の守護者』、永遠に!」


「永遠に!」


全員がカップを合わせ、教室に明るい声が響いた。


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