生徒会室に到着すると、そこには既にテーブルが用意され、お茶とケーキが並べられていた。
「わぁ、すごい」
天音は目を丸くした。テーブルにはキラキラとしたガーランドや小さな花が飾られ、まるでおとぎ話のお茶会のようだった。
「これ、全部美羽ちゃんが用意したの?」
「えへへ」
美羽は得意げに胸を張った。
「昨日の放課後から準備してたんだ〜」
「私も少しお手伝いしました」
奈央が微笑みながら言った。
「さあ、みんな座って」
全員がテーブルを囲んで座り、奈央がケーキを切り分け始めた。
「いただきます!」
揃って声を上げると、美羽が突然立ち上がった。
「あ、そうだ!」
彼女はカバンから小さな箱を取り出した。
「天音先輩へのプレゼント!」
「え?私に?」
「うん!みんなで選んだんだよ」
箱を受け取った天音は、驚きと喜びで目を輝かせた。丁寧に
「これ…」
天音の目に涙が溢れそうになる。そこには『天秤の守護者』全員の笑顔が収められていた。
「いつの間に…?」
「先週の体育祭の時だよ」
美羽が嬉しそうに言った。
「みんなで記念に撮ったの、覚えてる?」
「ああ、あの時か」
天音は笑顔で頷いた。戦いが終わってから初めて全員が揃った日のことだ。
「ありがとう…大切にする」
「まだあるよ!」
美羽は再びカバンをごそごそと探り始めた。
「これは、みんなからのメッセージカード!」
彼女は小さな封筒を差し出した。
「今じゃなくてもいいから、一人の時に読んでね」
「うん…」
天音は優しく封筒を受け取った。
「みんな、本当にありがとう」
「いやいや、天音先輩こそ」
蓮が静かに言った。
「僕たちを守ってくれて、ありがとう」
「僕も感謝しています」
直人も珍しく感情を込めて言った。
「計算上、私たちが生存できる確率は極めて低かった。でも、先輩のおかげで…」
「先輩がいなかったら、私たち、ここにいないもんね」
美羽も真剣な表情で言った。
「だから、これからも一緒にいようって思ったの」
「一緒に…」
「そう、これからも『天秤の守護者』として」
晴翔も静かに言った。
「もう戦う必要はないけど、お互いを守る存在として」
「はい!」
天音は涙をこらえながら頷いた。
「ずっと一緒にいましょう」
「それじゃあ、乾杯!」
美羽がジュースの入ったカップを持ち上げた。
「『天秤の守護者』、永遠に!」
「永遠に!」
全員がカップを合わせ、教室に明るい声が響いた。