その夜、晴翔が帰宅し、夕食を終えた後。
「お姉ちゃん、屋上に来ない?」
彼が天音の部屋をノックした。
「今?」
「ああ、星がきれいだから」
「うん、行く」
二人は静かに階段を上り、家の屋上に出た。確かに、満天の星空が広がっていた。
「すごくきれい…」
天音は息を呑んだ。
「天の川までしっかり見えるね」
「ああ」
晴翔も空を見上げた。
「みんなからのメッセージ、読んだ?」
「うん、読んだよ」
「そっか」
二人は静かに星空を眺めた。言葉にしなくても、互いの気持ちは伝わっていた。
「お姉ちゃん」
晴翔が突然言った。
「何?」
「もう、神様だってこと、怖くない?」
天音はしばらく考えてから、優しく微笑んだ。
「ううん、もう怖くない」
彼女はペンダントを握りしめた。
「この力は、みんなを守るためのもの。だから、もう迷わない」
「そっか…」
晴翔も安心したように頷いた。
「よかった」
「晴翔」
「ん?」
「ありがとう」
「何が?」
「いつも、私のそばにいてくれて」
晴翔は少し照れたように頬を掻いた。
「当たり前だろ。俺たちは姉弟なんだから」
「うん」
天音は静かに頷いた。
「これからも、よろしくね」
「ああ」
星空の下、彼らは静かに微笑みを交わした。
それは終わりであり、同時に新しい始まりでもあった。