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第114話

その夜、晴翔が帰宅し、夕食を終えた後。


「お姉ちゃん、屋上に来ない?」


彼が天音の部屋をノックした。


「今?」


「ああ、星がきれいだから」


「うん、行く」


二人は静かに階段を上り、家の屋上に出た。確かに、満天の星空が広がっていた。


「すごくきれい…」


天音は息を呑んだ。


「天の川までしっかり見えるね」


「ああ」


晴翔も空を見上げた。


「みんなからのメッセージ、読んだ?」


「うん、読んだよ」


「そっか」


二人は静かに星空を眺めた。言葉にしなくても、互いの気持ちは伝わっていた。


「お姉ちゃん」


晴翔が突然言った。


「何?」


「もう、神様だってこと、怖くない?」


天音はしばらく考えてから、優しく微笑んだ。


「ううん、もう怖くない」


彼女はペンダントを握りしめた。


「この力は、みんなを守るためのもの。だから、もう迷わない」


「そっか…」


晴翔も安心したように頷いた。


「よかった」


「晴翔」


「ん?」


「ありがとう」


「何が?」


「いつも、私のそばにいてくれて」


晴翔は少し照れたように頬を掻いた。


「当たり前だろ。俺たちは姉弟なんだから」


「うん」


天音は静かに頷いた。


「これからも、よろしくね」


「ああ」


星空の下、彼らは静かに微笑みを交わした。


それは終わりであり、同時に新しい始まりでもあった。


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