週末、
「あー!また切れた!」
美羽が
「三回目だよ?」
「私、器用じゃないから…」
「ほら、こうやって結ぶんだよ」
晴翔が手を伸ばして助けた。意外と器用な彼の手つきに、美羽は感心した様子。
「晴翔くん、上手いじゃん!」
「まあな」
彼は少し照れくさそうに肩をすくめた。
「小さい頃、お姉ちゃんのために色々作ってたから」
「えっ、そうだったの?」
天音も驚いた顔をした。
「そういえば、昔、誕生日に手作りのアクセサリーをくれたよね」
「覚えてたのか…」
晴翔は頬を赤らめた。
「もちろん!大切にとってあるよ」
天音は優しく微笑んだ。
「へぇ〜、兄妹愛だねぇ」
美羽はにやにやしながら言った。
「そういえば」
直人が話題を変えるように言った。
「千早さんは最近、学校に来ていますね」
「ああ、理子か」
晴翔も頷いた。
「元気そうだったよ。イシュタリアの件は完全に記憶から消えてるみたいだけど」
「それが一番いいのかもね」
天音は静かに言った。
「彼女には普通の高校生活を送ってほしいから」
「でも、時々天音先輩のことを、なんとなく覚えているみたいだよ」
蓮が不思議そうに言った。
「先日、廊下ですれ違った時、『なんだか懐かしい気がする』って」
「そうなの?」
天音は驚いた表情を見せた。
「うん。きっと魂の記憶なんだろうね」
蓮は穏やかに微笑んだ。
「大切なことは、心が覚えているものだから」
「そうかもね…」
天音もペンダントを握りながら頷いた。かつてイシュタリアに
「さて、私のは完成!」
美羽が誇らしげに自分のブレスレットを掲げた。赤と白のビーズが交互に並び、元気な彼女らしいデザインだった。
「私も」
蓮も静かに完成を告げた。彼のブレスレットは淡い青と紫のビーズで、神秘的な雰囲気を漂わせている。
「私のも出来上がりました」
直人のブレスレットは規則正しく緑と黒のビーズが並び、彼の論理的な性格がよく表れていた。
「俺も終わったぞ」
晴翔のブレスレットは黒と赤のシンプルなデザイン。力強さと
「じゃあ、私だけだ…」
天音は急いで最後の結び目を作った。彼女のブレスレットは金と白のビーズで、優雅さと
「これで全員完成!」
美羽が嬉しそうに手を叩いた。
「じゃあ、交換しよう!」
「交換?」
晴翔が首を傾げた。
「そう!お互いに作ったブレスレットを交換するの!そうすれば、ヨリシロ効果が高まるみたい」
「なるほど」
直人も納得した様子で頷いた。
「心理学的にも、物々交換には絆を強める効果があるとされています」
「いいね、それ」
蓮も笑顔で賛成した。
「じゃあ、くじ引きで決める?」
「うん!」
美羽は早速、紙を小さく切り、五人の名前を書き始めた。
「はい、みんな引いて!」
くじ引きの結果、美羽→蓮、蓮→直人、直人→天音、天音→晴翔、晴翔→美羽という順番で交換することになった。
「これが『守護者』の絆のしるし!」
美羽が嬉しそうに言った。
「みんな、ヨリシロの事大切にしてね!」
「もちろん」
全員が頷いた。そして、それぞれがもらったブレスレットを腕に付け、満足げに見つめた。
「なんだか、本当に繋がった気がする…」
天音が優しく言った。彼女の腕には、弟・晴翔からのブレスレットが
「うん、不思議と温かい」
蓮も頷いた。彼の腕には美羽のカラフルなブレスレットが映える。
「物理的には常温なはずですが…」
直人も腕を見つめながら言った。彼が付けているのは蓮の青と紫のブレスレット。
「確かに、心理的な温かさを感じます」
「これで、どこにいても繋がってる!」
美羽も晴翔からのブレスレットを嬉しそうに見せた。
「離れていても、心は一緒!」
「ふふ、本当にそうだね」
天音は幸せそうに微笑んだ。