僕と中村と浅井がその部屋に立てこもって少し経った。
あの銃撃の混乱でバラバラに散った僕らは扉に机や椅子を押し当て、このラボを占領している。中に職員などはいないようだった。
そしてどうやら、僕らが滑り込んだこの場所は超人研究の現場だったらしい。様々な報告書が並び、真っ赤な付箋が貼ってあった書類を読んだ浅井は、驚いた顔で僕に駆け寄った。
「これを見て欲しい」
こんな状況で何をしているのだろうと思いながらそれを受け取ると、僕は戦慄した。
そして少し話し合い、僕と浅井はこのカメラを壁のくぼみに置いて、自分らの事を自撮りした。僕らは大切な事を語った。
「来たぞ!」
そう声が響いて僕らはその部屋から走り出し、そして奥の部屋の扉を開いた。
中村が残って時間稼ぎをしてくれていた。僕は久しぶりに彼女と再会した。
意識を失い、白いカプセルに入れられた彼女を発見した。状況を見るに――既に超人薬は投与され髪色の変色が始まっていた。
僕らは顔を見合わせて、そのカプセルの中に、このカメラを入れた。
いいや、託した。
大きな音がして、背後の扉が開かれた。
「……中村」
中村が、そこには立っていた。
僕らに拳銃を向けて。
脳裏に銃弾を受けて血だらけになり、息をしていなかった長谷川がよぎった。