領主への窓口担当のアレフさんは俺のスキルを直接領主様に見てもらいたいと話し、領主の館まで来て欲しいと俺に言ってきたのだ。元々リハビリの概念がそこまで発達していない世界だし、俺のスキルが疑わしい部分もあってだろうけど、俺はこれをチャンスと捉える。
リハビリの概念がそこまで発達していない世界なら俺のスキルは相当貴重なはずだ。それを示せれば俺の診療所は開設できるはず。
「分かりました、領主様の館へお招きいただき光栄です」
俺がそうアレフさんに言うと、ミミもアレフさんに尋ねた。
「あの、それって私もついて行ってよろしいでしょうか?」
「それは構わぬが、ミヤシタ殿がどうあれ、あなたの活動はすでに認められているのだが」
「それはそうなんですが、私はユーイチ様のスキルの効果をこの目で見ていますし、ユーイチ様が診療所を開設できれば私も助かりますし、少しでもお手伝いがしたいんです」
ミミが俺の診療所の開設が自分の活動の手助けになる事をアレフさんに力説するとアレフさんは返答をする。
「分かった、では今回ミミ殿にはミヤシタ殿のスキルの証言者として館までおいでいただこう」
「ありがとうございます、ユーイチ様、どこまで私がお役に立てるかは分かりませんが、できる限りお力になります」
「正直、一緒に来てくれるだけで心強いよ。ありがとうミミ」
俺がミミにお礼の言葉を言って、ミミが少し照れている様子でいると、アレフさんが俺達に声をかける。
「では2人共、既に馬車の手配は終わっている。こちらまで来てくれ」
アレフさんの案内で俺達は馬車を停車している所まで向かい、到着して俺の目には馬車の姿が入って来る。
すげえーーーー!すげえよ、人生初の生馬車だ!テレビとかで外国の偉い人が乗っているのを見た事はあったけど、まさか自分が馬車に乗るなんて夢にも思わなかったよ!
そんな事を考えながら俺とミミは馬車に乗り、いざ領主の館へと向かった。
乗り始めた当初こそ、俺のテンションが上がっていたのか、特に何もなかったが、やはり日本ほど道が舗装されてないうえ、馬車という生物が引く車は、車酔いをしない俺でも少し気分が悪くなってきた。
「大丈夫ですかユーイチ様?お顔の色が優れないようですが?」
「あ、ああ……」
もはやミミに対して生返事になってしまっているのが申し訳なかったが、今の俺にはそうする他なかった。
そして館前に到着して馬車を下車するが、俺の気分は悪いままだった。
「ミミ殿、ミヤシタ殿を治癒魔法で治せるか?」
「はい」
ミミの治癒魔法で気分を取り戻したので、気を取り直して領主様へのプレゼンをするぞ!