領主様への窓口担当者であるアレフさんに診療所開設の許可を得る為のプレゼンをした俺は、アレフさんが領主様に資料を送ってくれているので、その返事を待っていた。
プレゼンをしてから2日後の朝に俺の診療所(仮)の扉をノックする音がしたから開けるとそこにはミミがいた。
「おはようございますユーイチ様」
「おはようミミ」
「ユーイチ様、先程私の借家に兵士の方がいらっしゃって、ユーイチ様にも詰所に来て欲しいとおっしゃっていました」
「そうか、じゃあ身支度を終えたらすぐに行こう」
そう言って俺はすぐに身支度を開始し、終えるとミミと一緒に2日ぶりにあの詰所へと赴く。
詰所に向かうとアレフさんが自ら出迎えてくれて、アレフさんから俺達に声をかけてくる。
「ようこそ来てくれた、早速だが執務室に入って欲しいのだがよろしいか?」
「え?はい」
心なしか2日前よりアレフさんの俺への対応が丁寧になっているような気がするが、これだけではまだどっちとも言いにくいな。
ともあれ、俺とミミはアレフさんに促されるままに執務室に入っていく。
「まあ、座りたまえ」
「はい」
アレフさんの勧めで俺達はソファーに座ると、アレフさんが口を開いた。
「結論から言うと、ミヤシタ殿の診療所事業をミミ殿がしている活動の補助的なものとするのはどうかと領主様も私も良いのではないかと考えている」
「それってどういう意味ですか?」
「君達の話を聞く限り、ミミ殿の魔法では怪我や病気を治せても君の言う後遺症というやつは取り除けないようだな」
「はい、そうですね」
俺がアレフさんの発言に返答をしていると更にアレフさんが言葉を続けてくる。
「元々ミミ殿の活動にはお布施が払われるようになっており、貧しい者の治療には我が領内の予算より負担するつもりであった。ミヤシタ殿のスキルを活用した、リハビリとかいうものには別途料金追加という形をとるのはどうだろう、もちろん貧しい者の治療は領内の予算から君に報酬を支払う」
「いいんですか?そこまでして頂いて、まだ俺のスキルをあなた方は見ていないのに」
「そうだな、だから領主様より命じられてな、ミヤシタ殿、領主様の館に来ていただきたい。そこで君の力を見極めさせてもらおう」
「りょ、領主様の館へですか?」
確かに俺のスキル:
俺自身が本来、リハビリというものは長い時間をかけてやっていくものと認識しているからな。とはいえ、まともな設備がなさそうなこの世界では俺自身のスキルを見せるしかない。いざ領主の館へ!