メルと話している間に詰所に到着すると前にいた兵士の人に執務室まで案内される。
無言で案内しようとする為、さすがに不安になったメルはこっそり俺に今の状況について尋ねてきた。
「え、いきなり何も言わないで案内しようとするけど大丈夫なの?」
「大丈夫だ、もう何回も来ているせいであちらとは暗黙の了解が成立しているんだ」
「そ、そうなの……、やっぱりユーイチ君すごいよ」
「そろそろ行こう、あんまり待たせるのも悪いからな」
そう言いながら俺とメルは兵士の人に案内されて、アレフさんがいる執務室に到着した。
「アレフ様、ミヤシタ殿とメル殿をお連れしました」
「お通ししろ」
中にいるアレフさんの声を聞いて、兵士の人は扉を開けて、俺達に部屋に入るようジェスチャーで促し、一緒に執務室へと入室する。
部屋に入るとそこにはアレフさんがいて、まずは俺達にソファーに座るよう声をかける。
「まずは座り給え」
その言葉を受け、俺達はソファーに座り、俺達がソファーに座ると、まずはアレフさんから口を開いた。
「まずは返答が遅れた事を詫びさせてもらう。すまぬな、領主様とのやり取り、そして家庭の捜索に少し時間がかかってしまったのだ」
「それは仕方がないですよ、でもわざわざそういう言い方をするって事は……」
「うむ、まずは試験的ではあるがリハビリが必要な患者のいる家庭での食事メニュー作りを認めようと思う」
「ありがとうございます」
とりあえず、まずは一家庭ではあるが、リハビリ中の食事メニューを作る事が決まって本当に良かった。俺が安心しているとアレフさんは今度はメルの方に声をかけた。
「それからメル殿、領主様よりも貴殿に協力報酬を支払う事の許可を得たので今回の報酬、そして今後もミヤシタ殿より依頼された場合も我々のほうで支払う事にした」
「ありがとうございます、ですけど本当にいいんですか?」
「うむ、正直言うと、家庭への食介入は私も慎重に事を運ぶべきだと思い、まずはリハビリが必要かつ、リハビリの事を考えた食事を作ってもらう事に抵抗がないかの確認に終始したのだ」
メルがアレフさんの話を聞いていると、アレフさんが最終的にどういう結論に至ったかを明かしてくれた。
「今回引き受けてくれた家庭にミヤシタ殿の診療所の往診の話をしたら、評判を聞いており、受け入れてもいいと言ったのだ。そしてメル殿はそのミヤシタ殿が直接声をかけたとも話したら、『ぜひお願いします』と言っていた」
「そうなんですね」
少しづつ、俺の診療所でやってる往診の評判が街中に広まっている。これは頑張らないとな。