メルが仮設の療養部屋を建ててくれる人夫さん、そして俺達の分の弁当も持ってきてくれて美味しくいただいてはいるが、メルの分がない為、俺がメルの為に昼食を用意するとメルは喜んでくれており、オレンジソースのレシピを教えて欲しいと聞いてきた。
「じゃあ説明するぞ、まずは……」
俺がソースのレシピについて説明するとメルは丁寧にメモを取り、メモを取り終えると俺にお礼の言葉を述べる。
「ありがとう、また帰りにダンカンさんのお店でオレンジも買って試しに作ってみるわ」
「ああ、きっとメルなら俺より美味しく作れるからな」
「ふふふ、ありがとう。いけそうだと思ったらお店のメニューにも追加してみるわ」
メルがすごいのはこうやって自分がいいと思った事はどんどん吸収できる事なんだよな。
それから時間が進んで、俺達は食事を終えた。
「やっぱりメルの料理は美味しいね、明日もお願いできる?」
「ふふふ、ありがとう。でもごめんね、明日はちゃんとお店を営業しようと思うし。今度は最終日あたりに持ってくるわね」
「やったーー!それは楽しみだ!」
本当にミーザは子供みたいなやつだな。そう考えているとミミがメルに声をかける。
「ありがとうございます、メルさん。お弁当とても美味しかったです」
「ありがとう。療養部屋が完成したらたまにはミミちゃんも休めるし、そうなったら魔法の修行が存分にできるしいい事づくめね」
「はい、皆さんがここまでしてくださったので、必ず一人前の聖女として認められるよう力を尽くします」
「そういえばミミちゃんは王都からこの街に派遣されたのよね、立派な聖女になる為とはいえ、寂しくないの?」
良く考えたらミミはずっと王都暮らしだったもんな、教団での生活とは様変わりしたはずだがあまり辛そうに見えなかったから気付きにくかったが、やっぱり寂しいのかな?
「ええと、確かに王都には昔からのお知り合いも多いですが、この街でもユーイチ様はもちろん、皆さんとても良くしてくださいますし寂しいと思った事はありません」
「そう、それなら良かった。私もみんなに会えてなんとか頑張っていけるから、困った時は助け合いましょう」
「はい」
「それじゃあ、私は夜の営業に備えるから、みんなも午後の診療頑張ってね」
そう言ってメルは帰っていったが、以前と比べるとミミも大分自分の話をしてくれるようになったが、俺達はまだミミの家族について知らないんだよな。
ミミの家族もやっぱり教団に所属しているのかな?