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完成!療養部屋

 人夫さん達による仮設の療養部屋の建設が開始されてから1週間が経過し、とりあえず必要なの物も部屋に搬入するとアレフさんとゴルさんも立ち合いの元、部屋の最終確認を俺は行っていた。


 一応日の光は浴びた方がいいので朝日の昇る方向に窓を設置してもらい、その近くにベッドを置いている。とてもではないが仮設とは思えないくらい立派なベッドだな。窓にもカーテンを設置している。


 一応内側からカギがかけられるようになっており、基本的には責任者である俺がカギを持っているが、この療養部屋を女性の患者さんが使う場合もあるので、その際はまずミミやミーザに入室をしてもらおうと思っている。


 もっともこの部屋はほとんど魔法の即効治療ができるミミが休んでいる間の一時的な宿泊部屋みたいなものだし、ミミの休みが明ければ魔法で残りの部分を治療し、退院してもらう運びだ。


 そう考えているとアレフさんが俺に声をかける。


「どうだミヤシタ殿、君の注文通りの部屋になっているか?」

「はい、想像より良かったです」

「それは何よりだ」

「本当にありがとうございます」


 俺がアレフさんにお礼の言葉を言うと、アレフさんより人夫さん達にお礼を言うよう促される。


「礼なら人夫達に言ってやってくれ、彼らの尽力が大きかったからな」

「皆さん、本当にありがとうございます。おかげでうちの診療所もまた新しい事ができるようになりました」

「なあに、俺達も仕事をいただいて感謝してますぜ。また造ってもらいたいものがあったら呼んでくだせえ」

「はい」


 俺と人夫さん達がやり取りをしているとアレフさんが人夫さん達に対して呼びかける。


「皆々ご苦労であった、これより1週間分の報酬を支払うので私と共に詰所まで来てくれたまえ」

「分かりやした」


 そう言って何名かはアレフさんと共に詰所まで移動を開始した。そして残った人夫さん達にはゴルさんが声をかける。


「では皆は、私の屋敷に行っててくれ、私の従者がそなたらに報酬を支払うよう話してある」

「へい」


 ゴルさんの雇った人夫さん達はゴルさんの屋敷へと向かうようだ。そして残ったゴルさんは俺に対して療養部屋について話す。


「この部屋自体は最低限のものしかありませぬが治療ができる者が近くにいるという安心感はありましょうな」

「ゴルさん」

「私も昔王都に住んでいた頃大事故でケガ人が続出したときは教会に詰めて寝ずの治療を師と共にしていましたからな」


 そう言えばザリアンさんとゴルさんは昔王都に住んでいたんだな。ミミの事を少しは知ってるかもしれないし聞いてみるか?

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