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ゴルからの知らせ

俺や、俺の周りの人達が診療所の事で慌ただしい日々が続く中のある日、その日の診療も終わり、ミミとミーザが退勤していく。


「それじゃあお疲れ様でした」

「お疲れ様、また明日ね」


 ミミとミーザが退勤して診療所の片づけをしようとすると扉をノックする音がするので、俺は扉を開いた瞬間声を発する。


「すいません、もう今日の診療時間は……」

「申し訳ない、夜分失礼します」

「ゴルさん!どうしたんですか?いや、とりあえず中へどうぞ」

「失礼」


 ゴルさんがわざわざ診療時刻終了後に診療所へやって来たことから何か話があると思い、まずは診察室まで案内し、椅子に座ってもらう。


「まあ、どうぞお座りください」

「失礼」

「わざわざこんな時間にお越しになるという事は何か俺に話があるんですか?」

「そうですね、まずはお聞きください」


 そう言ってゴルさんが話した事は俺にとってはかなりの衝撃のものであった。


「療養部屋の建設の件以降、師や私は領主様に療養専門の施設の必要がこの街にもある事を進言してまいりました」

「ありがとうございます、それでどうなったんですか?」

「それらは教会が担っていた役割であり、この国はマカマカ教団の力が強く、その手の施設の建設は領主様の一存ではお決めになられないので、私が王都に使者として国王陛下に謁見してまいりました」

「え⁉ゴルさん、王様に会って来たんですか?」


 すごいな師匠のザリアンさんが王都で名を馳せた治癒士とはいえ、その弟子のゴルさんも王様と謁見ができるなんて。


「そこで、療養専門の施設の必要性や、治癒の関わる者へのリハビリ教育の必要性、そしてユーイチ殿やユーイチ殿に協力している方々の事もお話させていただきました」

「そこまでしてくれたんですね、とてもありがたいんですが、王様は何かおっしゃっていましたか?」

「国王陛下はリハビリやユーイチ殿のお考えや発想に大層、ご興味を持たれ、ユーイチ殿のお話を是非聞きたいとおっしゃっておりました」


 ウソだろ!王様が俺の話を聞きたいなんて!っていうかそれ領主様より緊張するな!やべえよ!大丈夫かな。


「ですが、この街の住民の健康に貢献していらっしゃるとはいえ、平民でしかも異国出身のユーイチ殿を王宮に招くのは難しいともおっしゃっていました」

「やっぱりそうですよね」

「ですが心配はいりませぬ陛下はお忍びでこの街にいらっしゃるそうなので、我らが陛下とユーイチ殿との非公式の会談の場を設けましょう、日程が決まればお知らせしますのでご内密に、もちろんミミ殿達にも」

「は、はい……」


話が大きくなってきたな。でもこれは新しいチャンスと思って臨まないとな。

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