ダリアス陛下はゆくゆくは治癒士が魔法での治癒、及び俺のスキルを元に大きな後遺症が取り除ける魔法の開発が成功したあかつきにはリハビリ士という役職を置く事を考えている。
それに伴い、リハビリ士を養成する為の学校の設立も考えているのだ。
その講師にザリアンさんや何人かの治癒士を考えているようだが、俺にもその講師陣の1人に加わって欲しいというのだ。
いくらこの世界では俺がリハビリに詳しいとは言っても、この俺が教える立場だなんてと悩んでいると、王様が俺に対して声をかける。
「まあ、まずは新たな魔法の研究が先決だ、それまでにどうするかを考えておけばよい」
「はい、そうですね」
「余としては良い返事を待っておるぞ」
良い返事か、とりあえずはスキルを元にした魔法の開発待ちか。
「それからユーイチよ、この街ではリハビリとやらに器具を使っているというのを聞いておる」
「はい、確かに必要な患者さんには器具の貸し出しも行っています」
「少しづつで良いから器具の見本をバートンを通し、送って欲しい、王都の鍛冶師に仕組みを調べてもらい、王都でも使えるよう準備しておきたいのだ」
リハビリ器具にまで興味を抱いていたのかこの人は、なるほど多分王都の鍛冶師に分解させて仕組みを調べて作れるようにしておくって話か。講師は少し考えたいが、こういう事ならお安い御用だ。
「分かりました、領主様にお願いしておきます」
「かたじけない、それからそなたは食の面にも着目していると聞いておる、料理のレシピも送ってはくれぬか、宮廷料理人にその料理を身につけさせたい」
食事の事まで、ギベルトやメルに料理や鍛冶の事を広めてもらおうと考えていたが、手間が省けてあいつらもしばらくは自分の仕事に専念できそうだな。
「はい、送らせていただきます」
「うむ、頼むぞ」
「いえ、この街で自分に協力してくれている鍛冶師のギベルト氏や料理人のメル氏に広めてもらおうと思ったのですが、王都で技術開発が行われるなら当分彼らが自分達の仕事に専念できるにので正直助かります」
「その者達の話も聞いておる、良き者達から協力を得られておるな」
王様の言うように、本当に俺は協力してくれる人達にめぐまれていると思う。もし条件を満たし帰る事になっても彼らの事は一生忘れないだろう。
おっと、まだ帰れると決まったわけじゃないのにしんみりしちゃいけないな。前の人が帰れたからといって、俺も帰れるとは限らない、永住も視野に入れた動きもしないとな。