ダリアス陛下の要望でリハビリ器具の見本と、リハビリ中の食事メニューのレシピを送る事になり、それを元に王都でも器具や料理を広めていくという考えなのだ。
俺が了承すると王様は俺に対して今後しようと思っている話をしてくれた。
「キッコの街の者達が以前に比べ健康的な生活を送っているという話を聞いてから王都を中心にその方法を発信しようとは考えていた、今日ようやくそれが果たせるかもしれんという事で安心した」
「じゃあ、今日はその為にこちらにいらしたんですね?」
「最初に話したように、お前が異世界人であるかどうかを確かめる事、療養施設の件、そしてリハビリ士養成の為の学校設立の件、そしてさっきの話ともう1つ、あるのだが」
え?まだ話があるの?でもなんだろうな、今までの話を聞いているともう色々話が出尽くした感があるんだけどな。
「確か診療所の手伝いをマカマカ教団の聖女見習いのミミがしていると聞いているが、その彼女は息災であるか?」
「ええ、元気ですし、彼女がいるおかげで治療の面ではかなり助かっています」
「そうか……」
「王様、もしかしてミミの事を知っているんですか?」
俺は王様が単に聖女見習いと言わずにミミの個人名を出したから思わず聞いてみた。いくら才能があるとはいえ、何人もいる中の見習いの個人名を出すのはなにかあるかなと思ったからだ。
「そうか、ユーイチはミミから何の話も聞いていないのだな」
「ええ、ゴル氏の話だと13歳から聖女見習いをしているとは聞いていて、それ以前の話はご存知ないようでしたし、彼女ともその話はしないのですが」
「そうであったか、彼女は余の妹の侍女をしていたのだ」
「侍女⁉って事は妹さんのお世話をしていたんですか?」
いきなり衝撃的な事を言われて心臓が飛び出るかと思ったな。まさかあのミミが王様の妹の侍女、つまりお世話係をしていたなんてな、あれ王様の妹って事はお姫様だよな、どうしてそのお世話役から聖女見習いをする事になったんだ?
「ユーイチ、まずは順を追って話そう、ミミが我が妹に仕える経緯、そして何故侍女を辞め、聖女見習いになったかをな」
「はい……」
さっきまでとてもいきいきしていた王様の表情が少し暗く感じるので、あまりいい話ではないだろうし、正直聞くのが怖い部分もあるな。
だけど、俺に協力してくれる人達はみんな、自分の問題や過去のしがらみから抜け出す事ができているのに、もしミミだけが今でも何かを抱えているとしたらそれは俺だってつらい、何ができるかは分からないがまずは王様の話を聞かないとな。