ダリアス陛下は妹さんが川に流されそれが原因で亡くなった事を話してくれた。そしてご両親もショックのあまり心身が弱っていき、そのまま亡くなった事も打ち明けてくれた。
そして悲しむ暇もなく国王に即位し、まず
「あの、王様、その決断というのは?」
「ここまでの話でなんとなく想像はついているであろうが、このままミミを王宮仕えにするかどうかという点だ」
やはり王様はミミのせいではないとは思っていてもミミが責任を感じていたたまれない状況は当然伝わっていただろうし、このまま仕えさせていいかどうか悩んだんだな。
「まず、私が考えたのは王宮からは離す事だ。妹とは仲良くしてくれていたし、城にいてはいろんな事を思い出して辛いだろうからな」
「はい、自分もそう思います」
「しかしただ実家に戻しても意味がないとも思った。彼女の才をこのまま埋もれさしてはいけないと、そこでお前も知っているであろうが」
「マカマカ教団への入団ですね」
マカマカ教団への入団は王様の推薦だったのか、自分の妹さんの死に責任を感じているミミの気持ちを少し軽くする為、そして治癒魔法の才能があるミミに聖女として花を開いて欲しかったんだな。
「それに、マカマカ教団への入団はミミ自身も望んだことなのだ」
「ミミ自身がですか?」
「うむ、やはり妹の死には責任を感じており、このまま実家に帰るのも自分の親に申し訳が立たないと申しておった。それならせめて人々を救う事で少しでも妹への贖罪となれば……そんな心境であったのだろう」
最初に一度だけ、ミミに何故聖女を志したかを聞いた事があったが、理由がこれでは答えたくないのも無理はない。
ミーザやギベルト、メルは亡くなった人の遺志を継ぎながらも自分なりのやり方を見出し、俺に協力してくれている。
だけどミミはまだ王様の妹さんの死が心に大きく残り、聖女を目指す事を決めたのは、その十字架を背負って生きていく覚悟があるからなのかもしれない。
ミミにはもちろん立派な聖女になって欲しいと思っている。だけどそれは妹さんの死の贖罪とかじゃなくて、ミミが心から今を一生懸命生きている人の為に目指してほしい。
ミミ自身を見ても、それだけの気持ちで俺に協力してくれているとは思ってはいないが、王様の話を聞いた以上、何か俺にミミの為にできることはないかと考えてしまうな。
……、少し聞いてみるか。