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悲しみを軽減に

 まだ悲しみの中にいるかもしれないミミの為に何かできる事はないかと考えていると、王様は俺がミミと出会ってからの話を聞いて。今の俺のスキルや活動がミミに良い影響を与えているのではないかと話してくれた。


 そして、更に話を続けた。


「ユーイチよ、治癒士でも、ましてマカマカ教団の者でないお前が後遺症とはいえ治癒を担い、その能力を存分に活用し続け、常に新たな試みをしていく姿勢を見せ続けていければミミにも良い影響を与えていけると余は思っておる」

「そうですか」

「大事な人間を失った悲しみというのはそう簡単には癒えぬ、だがそれでも生きていかなくてはならぬのだ、余もミミも」

「王様……」


 ここで王様は自分の話に少し触れ始めた、そして自分とミミが少しでも悲しみを軽減する方法を話してくれた。


「悲しむ暇もなく、余は国王に即位し、この国を治めなくてはいけなくなった。だが自らの役割を全うする事こそが、少しでも悲しみを軽減する事ではないかと余は思う」

「王様……、それじゃあミミをマカマカ教団への入団を勧めたのも」

「ミミには新たな役割が必要だと判断したからだ、聖女は救いを求める声があればその地に赴く。ミミにも悲しむ暇がないほうがいいと思ってな」


 悲しむ暇がないほうがいい。少し死者には冷たいかもしれないが生きていく人間が平常心を保ち続けるにはそれがいいのかもしれない。


 王様は元々後継者だったからいきなり忙しくなったのがかえって精神衛生上は良かったかもしれない。


 そんな中でミミの事を気にしたのは、妹さんのお世話をし続けてくれた事への感謝の意と、親が決めたとはいえ、自分の妃候補に対する気遣いだったかもしれないな。


 今、俺に付き合って慌ただしい日々を一緒に送ってくれているミミには結果としてその方が良かったという事か。


「だからユーイチよ、特別何かをする必要はない。お前と共に診療所や今後の活動を共にし続ける事がミミの為にもなるのだ」

「はい、どうにか彼女が見習い期間を終えるまでは共に頑張っていきます」

「今、ミミは私にとっては妃候補でもないからこのような事を言う資格はないかもしれんが、ミミを頼む!」


 やっぱり、妃候補だった事もミミを気にかける理由だったのか。ミミの悲しみや辛さを軽減するのが今の活動を続ける事なら、とことん力を貸してもらうし、力を貸すぞ!


「少し身の上話が長くなりすぎたな、それで今後の事だが……」


まずはこの街の人の為、ゆくゆくはこの国の多くの人の為になるようにリハビリの概念を広げていければな。

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