ギベルトとメルに明日の診療所での診察が終了した後に診療所まで来て欲しいとお願いし、2人から了承の返事をもらった俺は診療所へと戻り、午後の診察の準備を始める。
そして午後の診察も無事に終了して俺は帰る前のミミとミーザにも明日の事を話す。
「ミミ、ミーザ、明日診察が終わったらみんなに話したい事があるからギベルトとメルが来るまで診療所に残ってもらってもいいか?」
「え?私は構いませんが」
「みんなに?やっぱりこの間の領主様の屋敷で何か言われたの?」
「実は入院施設の件がある程度目途がついてから話そうと思ったんだが、昨日の夕食の時のみんなを見てやっぱりすぐに話そうと思ったんだ」
俺がそう言うとミーザはきょとんとした表情で声を発する。
「なんだ、入院施設の先の話もあったんだ、診療所を王都でやるわけじゃないんだよね?まあ、明日みんなと一緒に聞くよ。じゃあね」
「お休みなさいミーザさん」
ミミの挨拶を聞いて無言で頷き、ミーザは診療所をあとにした。
ミーザが診療所をあとにした後、ミミが俺に対して昨日の夕食の際の様子について言及する。
「昨日から正直ユーイチ様の様子がおかしいとは思っていたんです。まるで話したいけど話せないような感じがして」
「ミミ……」
「皆さんがもしユーイチ様が王都に行く事になったらもう手伝えないという話をしたら私もなんか不安になったんです」
「不安?」
ミミが感じた不安、一体?
「見習い期間が終えて皆さんと離れた時にものすごく寂しくなってしまいそうだったんです。こんな私が立派に聖女をできるのか不安で」
「……」
「すいません、私だけ先に聞くわけにはいきませんよね、それじゃあ私も帰ります。おやすみなさいユーイチ様」
「おやすみミミ」
俺の挨拶を受けて、ミミも診療所をあとにし自分の家へと帰っていった。
ミミが不安を吐露したのは珍しいが、人としては当然の感情だ。俺ももし講師、ひいては元の世界に戻った時にどう感じるんだろう?
もちろん嬉しくないわけはない。あっちではどれ程の時間が流れているかという不安はあるし、両親や同僚にも心配をかけているからな。
だけどここでの生活も板に着いたし、気の合う仲間と診療所をやれているのはいい事だとも思う。
ミミの不安は過去の事をまだ乗り切れていないのもあるのかもな。死別ではないにしても仲の良い人達との別れは辛いよな。しかもその人達は決して王都には行く事はなく、また会える保証もない。
だけど、ミミやみんなに今伝えたいのは……。