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歩みだすとき

 入院施設の建設予定地の視察にミミ達やアレフさん達と共に視察に行き、土地を見た結果、俺はここが良いと判断し、続けてみんなの意見も聞く事とし、まずはミミに尋ねる。


「ミミはどう思う、ここに入院施設を建てる事は?」

「私はユーイチ様がよろしいと思ったならそれが良いと思います、私よりもみなさんの意見を聞いてあげてください」


 ミミがそう言うと俺が尋ねる前にミーザが意見を言ってくれる。


「そうだね、今の診療所よりは少し遠くなるけど、あたしは構わないかな」

「ユーイチ、でっかい器具は馬車で届けてやるし、小さい器具なら俺が直接持っていけねえ距離じゃねえし、いいと思うぜ」

「私はご飯を運べないけど、少し気になったらここに来て患者さんの食べたいものとユーイチ君の考えを照らし合わせてサンプルメニューを作るから」

「みんな……」


 この発言を聞いてアレフさんに改めて建設の方向で話を進めるように話す。


「アレフさん、改めてこの土地での建設を進めるように話を進めてくださるよう領主様にお願いします」

「分かった、とりあえず今日の所は解散だな」


 アレフさんがそう言うと全員がそのまま解散し帰路についていく。方向が診療所とは違うギベルトとメルがまず俺達に対して帰りの挨拶をする。


「じゃあな、みんな」

「バイバイ、またお店に食べに来てね」

「ああ、またな」


 俺も挨拶を返すとギベルトとメルは工房、お店にそれぞれ帰っていく。


 そして途中まで一緒に帰っていったミーザも家が近づくと俺達に帰りの挨拶をする。


「じゃあ、あたしこっちだから、じゃあね」

「ああ」

「お疲れ様でしたミーザさん」


 ミーザも帰っていくと、ミミが俺に対して話かけてくる。


「私が見習い期間を終えるのと、ユーイチ様の入院施設の完成、どっちが先かは分かりませんが。それまで懸命にお手伝いはしたいと思いますのでよろしくお願いします」

「ミミ、前も話したが、たまには休みもとって修行もしないとダメなんじゃないのか?」

「そうですけど、もういつまでお手伝いできるか分かりませんので」

「ミミ、これはミミだけの話じゃなくて俺達はきっといつかはそれぞれで頑張っていかなくちゃいけなくなるんだ、自分が本当にしたい事の為に全力の方がいいと思う」

「ユーイチ様、そうですね。それじゃあ失礼します」


 その言葉を発しながらミミは自分の家へと帰っていった。ミミがあと1年半しか見習い期間がないことはやはり俺にとっては寂しいが、もう歩みださないといけない時かもしれないんだ。


 それから1か月後、入院施設の建設が始まり、その1年後入院施設は完成した。

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