徒歩で入院施設の建設予定地に向かっている俺達ミヤシタ・リハビリ・クリニックの関係者とアレフさん達はその道中で歩きながら話している。
「ユーイチ様、いよいよ建設予定地の視察で楽しみですね」
「そうだな、どういう建物にするかは大事だが、まずは土地がしっかりしていないとな」
「領主様が良いと思った土地です、きっと入院施設を建てるのに大丈夫ですよ」
「そうだといいんだけどな」
なんとなくだが街外れに入院施設にそこまで大きい土地があるのかと少し半信半疑だが、いきなりそんな大きいのは無理という判断かもしれないしな。
そんな事を考えているとようやくそれらしき場所が目に入りアレフさんが足を止め声を発する。
「見たまえ、ここが入院施設の建設予定地だ」
そこには立ち入り禁止のロープを張って、土地を囲っているが、面積の広さは大体ではあるが、俺の診療所の2倍はある。これを見て少し気になった事があったので、アレフさんに尋ねる。
「アレフさん、この入院施設は何階建ての予定なんですか?」
「一応最初は2階建てを予定している」
「
「現状でリハビリをできるのは君だけなのでな、リハビリの知識を身につけた者が増えれば増築も視野には入れている。もっともこれは年単位で考えなくてはいかん事だが」
アレフさんの言う通りだ、建物だけでなく今後は俺以外にもリハビリ知識を身につけた人間が必要だしな。しかしさすがに現場と講師を両立させる自信はまだないな。
とりあえずいくつかこの時点で提案しておきたい事もあるし、言ってみるか。
「アレフさん、治療を担当する治癒士の方々にもリハビリメニューを把握していただいて、俺のリハビリを見学してもらおうと思っているんですが」
「うむ、治癒士とはリハビリの情報を共有しておけば、ケースによる対応が覚えやすいだろうからな」
「ええ、見学できなかった人が更に伝えてくだされば俺の手間も省けますしね」
アレフさんと治癒士にリハビリの見学ができるような形にしたい事を訴えると俺はロープを張っている中に入って、土の状態とかを確かめている。
あまり土とかには詳しくないが触った感じ、悪くはなさそうだ。実際は土台作りからするだろうし、そんな崩れるような心配もあまりないな。
日本みたいに火山は少ないし地震の心配も少ないし、往診や馬車での送迎もあるなら迷う理由はないな。
「アレフさん、ここでの建設の方向に話を進めたいと思っています」
俺の意見は伝えた。さあ、みんなはどう思うかな?