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悪役令嬢は自分磨きに日々精進する。

それからの私はと言うと両親が仕事で忙しい間、毎日1人誰にも見つからない様にメイド長であるシーナの部屋にて読書と勉学に謹み続けていた。


気付けば私の技術スキルの1つである『読書』の数字が3から6までへと上がり、更に5に到達したと同時に新たに技術『鑑定かんてい1』を会得した。


『鑑定』とは。


自分=発動者の眼で見た対象、有無機物問わずに対象の名前、基本情報、総合値ステータスの数値、所有技術しょゆうスキル、対象の解説を全て可視化し確認する事が出来る技術。


鑑定した対象によって難易度はあって、例えば私が試しに庭園の花の1つを使ってみると『イエローローズ』と言う名前がパッと出現した。


後、お父様が仕事で不在の間にこっそり仕事用の書斎室の執務机に置かれていた金ピカの鞘で納められたナイフらしき刃物を見つけた。お父様の仕事用の物かしらと思った私は試しにこれも『鑑定』を使おうとしたら難易度が高いらしく。折角だから度胸試しに使って見たら……。


セリスティア「………あの時は滅茶苦茶痛かったわね。アレは。」


どうやら難易度の高い『鑑定』は失敗すると代償として頭痛を起こすらしい。やっぱり現在の数字が問題だろう。また頭痛したら困るし、取り敢えずは技術スキル磨きの為に難易度が低い方優先にやって数字を上げよう。


そう思っていると部屋の下からパタパタと誰かが走る音がこの私の部屋へと近付いて来た瞬間。


エレイナ「セリスティア!遊びに来たわよ!」


自室の扉を一気にバァンと思いっきり開き、屋敷に遊びに来た幼馴染のエレイナお姉ちゃん、ついでに弟のノービスも息切れしながらエレイナの後を追い掛ける。


エレイナ「セリスティア!遊びに来たわよ!」


自室の扉を一気にバァンと思いっきり開き、屋敷に遊びに来た幼馴染のエレイナお姉ちゃん、ついでに弟のノービスも息切れしながらエレイナの後を追い掛ける。


ノービス「ぜぇ……ぜぇ……お姉様、足、速いよぉ……。」


エレイナ「何言ってるの?お前が足遅いのが悪いでしょう!って…。」


エレイナお姉ちゃんは私の左手に持ってる本に気付き、私が読書をしてる事を理解したか溜息をする。


エレイナ「セリスティアったら、また読書?毎日毎日本当に飽きないわね。」


セリスティア「お姉ちゃんも本を読んだらどう?結構面白いわよ。」


そう言いながら私はお姉ちゃんに1冊の本を受け渡すと、お姉ちゃんはペラペラと1ページ1ページ開きながら苦笑いをする。


エレイナ「いや〜。私も読むには読むけどさ、お前と違って、文章の内容とかが難しくて途中から飽きちゃうのよね…。」


ノービス「姉上は昔から勉強が苦手ですからね。」


エレイナ「うっさい!!」


と、顔を赤くしながらノービスに怒るエレイナお姉ちゃん。


セリスティア「お姉ちゃん、出来れば姉弟喧嘩は他所で行って頂戴、それでお姉ちゃん、遊びに来たって言っているけれど、何して遊ぶの?」


瞬間、本来の目的を忘れてしまったエレイナお姉ちゃんは家に来た本来の目的を思い出し、私に伝える。


エレイナ「そんなの決まってるじゃない、何時もと同じ。外で『戦いごっこ』よ!!」


セリスティア「戦い、ごっこ?」


場所は変わり此処は屋敷うちから少し離れた所にある草原地帯。私のお付きであるレイラの同行を許可しなければ外出が出来ないので、結果、同行する事しか選択肢は無かった


戦いごっことは。


名前の通りに戦う事、ルールは簡単、両者が武器{もとい棒っきれ}を持ちながら互いの実力をぶつけ合って戦い、何方かが倒れるか相手が降参を認めたら自分の勝ち、言わば子供版の決闘見たいな感じだ。


私とエレイナお姉ちゃんが決闘を行おうと準備してる時、私達2人の間の位置に何故か立ち会っているレイラは自分の右隣に居るノービスに問い出す。


ノービス「え、えっと、その、戦いごっこです。」


レイラ「………この様な危険な遊びを私が毎日ですか?」


ノービス「は、はい、因みに今までの戦績は50戦中全勝でエレイナ姉様が勝ってます。何しろ、その、お互いに手加減無しでやってましたので。」


オドオドとしながらレイラに答えるノービスはレイラの顔を見上げようとすると、レイラはゴゴゴと何か怒りが込み上げたオーラが出ている事にノービスは怯え出すも、レイラは自分のオーラを抑え、何時もながらに平常心でノービスに伝える。


レイラ「はぁ、まあ良いです、お互いに怪我をしなければ何も問題は有りません。」


ノービス「ほっ……。」


エレイナ「さぁセリスティア!今日も今日とて勝たせて貰うわよ!!」


長い棒を両手でブンブンと回しながら構えるエレイナお姉ちゃん、そう言えば確かゲームではノービスの家系であるルークディオス家は歴代の領主貴族当主が皆、槍の達人だって攻略本に記されていたっけ?


となるとノービスだけでなく姉であるエレイナも同じ槍使いの立ち位置になるのね。


対して私の方は剣{棒っきれに太枝を紐で巻き付け十字架の形にした物}。確か、ゲームでの悪役令嬢セリスティアは剣術を得意としてると記されていたっけ。


セリスティア「………。」




剣の振り方を確認する私を見て、一時槍の構えを解いたエレイナお姉ちゃんは思惑な表情をしながら、私にある事を聞き出した。




エレイナ「ん?どうしたのセリスティア?もしかしてお前、頭を打ったせいで剣の使い方と戦い方を忘れたのか?」




セリスティア「へ?い、いえ、そんな訳無いですわお姉ちゃん。」




エレイナ「………良かった。本当に忘れちゃったらかと思った。」




そう言うとお姉ちゃんは私に向けて再度槍を構える。




エレイナ「これで何も迷わずに戦えるわね!」




セリスティア「ゴクッ……。」




エレイナ「真剣勝負に手加減は無し!一気に行くわよセリスティア!!」




お姉ちゃんが爪先を曲げた瞬間、真正面から槍を構えたまま一気に私に突っ掛かる!


セリスティア「っ!!」


この時、何故か私は無意識に素早く刀身で槍での突きを防ぐ事が出来た。


セリスティア「え?」


エレイナ「嘘!?伏せた!!?」


突然の先制攻撃を防がれた事にお姉ちゃんは驚くも、直ぐ様に我を取り戻し再び突きを繰り出す。


セリスティア「………。」


右に避ける、次の突きが来る、今度は左へと避ける、次の突きが来る、今度は再び右へと避ける。何だろう、お姉ちゃんの攻撃がゆっくりと感じて見えて、何処へ避ければ良いのか分かりやすくなっている。


もしかしてこれも自分が転生した影響?そんな事を思ってるとお姉ちゃんの次なる突きが繰り出される。


セリスティア「ふっ!!」


対して私は身を低くさせてからお姉ちゃんの突きを避けると同時にお姉ちゃんに向かって真正面から駆け出す。


エレイナ「えっ!?嘘っ!!そんな筈が!!?」


私の予期せぬ反撃と回避動作に驚きを隠せなかったお姉ちゃんの首元目掛けて、右手に持った剣で突きを繰り出す。


但し、突きは首元が当たるギリギリの寸前に止めるけれどね。


エレイナ「………。」


ノービス「う、嘘、何時も負けてるセリスティア姉様が、姉上に勝った?」


レイラ「………。」


自分が勝った事にノービスは兎も角、レイラも私の予期せぬ戦う姿を見て驚いていた。ん?そもそも私、誰かを驚かせる程の戦い方何てしたっけ?


セリスティア「え、えっと、私の勝ちで良いよね?お姉ちゃん。」


エレイナ「………。」


あれ?何かお姉ちゃんの様子が可笑しいのだけれど、もしかして私が勝ったせいで何か仕出かした流れになったんじゃあ!?


エレイナ「………セリスティア、貴女。」


セリスティア「は、はいっ……。」


エレイナ「一度も勝った事無かったこの私を負かす何て凄いじゃないか!?一体何やったらお前はあんな動き出来るのさ!?」


セリスティア「え、えっと、そ、それは…。」


言えない、いや、言える訳が無い、何しろ前世の私はヲタ女子だが、意外と身体能力高くて陸上やってたからね、昔っから脚が速くて競争では1着含め上位に入った事があったし、もしかしてこれって前世の影響なのかな?


エレイナ「まあ良いわ!私もこのまま負けっぱなしも何だし早速だけれどもう1回行くわよ!!」


セリスティア「は、はい…。」


それからは後10回程戦いごっこを繰り返し行い結果、10戦全勝と言う予期せぬ大記録を出してしまったその夜。


1人部屋で自分の総合値ステータスを確認したらレベルアップと新たな技術スキルが幾つか会得していたのだった。

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