大理石の回廊を抜けると、朝陽を受けて輝く〈暁光の間〉が視界に広がった。天井を覆う金箔のレリーフが煌めき、壁一面の彩ガラスが虹色の帯を床へ落とす。数十の燭台に灯された白蝋はまだ揺らぎ、薔薇とシトロンの香を含んだ空気が高い天蓋の下で緩やかに循環している。
公爵令嬢ティナ・ロッテリアは、その光と香のただ中をただひとり、砂粒ほどの揺らぎも見せぬ歩幅で進んだ。ドレスは曙色のシルクジョーゼット、胸元に散る繊細な銀糸刺繡が虹を映し返し、足首に触れるたびに静かな鈴音を立てる。床に敷かれた深紅の絨毯は時折かすかな埃を弾いて雲母色に光った。
玉座は三段の白檀段上、その中央に王太子ガンフィールド・レイバーンが立つ。琥珀色の瞳を鋭く細め、昂揚と焦燥を同時に孕んだ呼気を胸に溜めていた。列柱の間には高位貴族が色とりどりの礼服で並び、小声と扇の震えが蜘蛛の巣のように交錯する。ティナが歩を進めるたび、そのざわめきがわずかに押し寄せ、すぐ引いた。
定位置——玉座下、赤絨毯に描かれた黄金百合の文様に靴先を合わせる。ティナは視線を床へ落とし、両手を優美に広げたリヴェランスで一礼した。袖口のレースがほの白い涼風に揺れ、金糸が斜光を掠める。あまりに静謐な礼だったので、そばに控える楽師がハープ弦を撫でる指を止め、衛士長が思わず呼吸を忘れた。
しかし、その静けさは長く続かなかった。
王太子は段上から半歩踏み出し、声を昂らせた。
「——ティナ・ロッテリア公爵令嬢よ!」
瞬間、彩ガラスが細波のように震え、広間いっぱいに緊張が走る。ティナはなめらかに頭を起こし、瞳を薄氷のごとく澄ませて王太子を見上げた。何ひとつ感情の色が映らない。だが王太子の横顔には、勝者の嘲りと、理解されぬ不安が奇妙な斑を作っている。
「ここに宣する——本日をもって貴様との婚約を破棄する!」
声が高天井に反響し、薄靄めいた彩光がきらりと揺らいだ。列席の貴族から小さな息が洩れ、侍従の手にした銀盆がかすかに打ち震える。だが真紅の百合に立つ令嬢は、微動だにしない。胸元の琉璃飾りが、石像の涙のように光を吸う。
「お前に愛など感じてはいなかった」
「真に愛する相手と結婚すべきだと私は悟ったのだ」
宣言を続ける王太子の声は、自らの正当性を鼓膜に刻むかのように重ねていた。だが音を重ねれば重ねるほど、広間の温度は下がっていく。ティナの沈黙が、白金の刃のように空気を切り裂いていたからだ。
遠巻きの貴族たちの間を視線が飛び交う。〈聖女アルテナ〉という名が扇の裏で囁かれ、嫉妬と期待が入り混じった吐息が浮遊する。宝石の首飾りを着けた令嬢の数人が唇を震わせ、ティナの背中の線を羨望と憐憫でなぞった。
玉座の欄干に置かれた王太子の指が、微かに痙攣する。彼にとって、ここから続く筋書きはただひとつだった——冷徹な王太子と、取り乱す哀れな令嬢。だが、その哀れな令嬢は未だ一言も発さない。表情ひとつ崩さない。まるで黄金の廊柱と同じく無機質。
沈黙は雪解けの滴より遅く、しかし確実に落ちる。無音の圧が王太子の心拍を押し上げたころ、ついにティナが唇を開いた——
……その瞬間、東面の彩ガラスを走った光が、彼女の瞳に朝の熾火のような輝きを宿す。まるで物語の幕が一段深く降り、次章への扉を開く合図のように。
――ティナ・ロッテリアの最初の返答。それは、この国の空気を根底から塗り替える“序章”の号砲にほかならなかった。
第1章-2 冷静な了承と棒読みの涙
光条が絨毯の紅を横切り、瞬間、ティナ・ロッテリアの瞳に紅玉の火が灯った。
王太子ガンフィールドが陶酔に震える声で「真に愛する相手と結ばれるのだ」と言い切ったまさにその刹那である。
ティナは場にゆるやかな礼を残したまま、まっすぐ王太子を見上げた。
口許を整え、彫像のように全身を止め、そしてたった一語、序奏の音のように発した。
「――左様でございますか」
艶のない、けれど澄み切った声だった。
朝霧が陽射しに溶けるときのように、広間の熱が一段引く。ティナはそこから一歩も間を置かず言葉を紡いだ。
「愛とは等価交換でございます。殿下がわたくしにお与えにならなかったのなら、わたくしもお返し差し上げるものを持ち合わせておりません。
そしてこの婚約は、元より両家の盤石を示すための政略。もしロッテリア家と王家の結び付きが、他の手段で担保されるのなら、婚約破棄に異議はございませんわ」
簡潔に、要点のみ。声量は抑えられているのに、ひとことごとに頬を打つほど鮮烈だ。
列席の貴族たちが驚愕の息を吸い、扇の内側で互いの顔色を探る。
「……お前、少しは悲しみを見せてもいいのではないか?」
ガンフィールドは慌てて声を上ずらせた。「わざと冷たく装っているのか?」
「いいえ。装う必要がございませんもの」
ティナは首をかしげる。纏った曙色のドレスが肩先で陽を撥ね返した。
王太子の頬がわずかに引きつる。
台本から外れた令嬢の反応は、彼の予定調和を乱した。王太子は唇を薄く引き、威圧の色を濃くする。
「可愛げのない女だ」
吐き捨てるように言い、壇を一段降りる。「取り乱して泣き叫ぶのが普通だろう! それとも図太いのか?」
ティナは少しだけ目を細めた。その双眸は湖面をわたる風のごとく、涼やかな波紋だけを揺らす。
が、次の瞬間には肩をすくめ細く息を吐いてみせた。
「泣き叫ぶほうがよろしいでしょうか。そうお望みなら、多少は演じて差し上げても構いませんわ」
「な……何?」
王太子の驚きは、もはや面白味すら漂わせていた。ティナは小さく首を傾げ、劇場の緞帳が下りる寸前の役者のごとく目元を手で覆った。
「よよよよ……あんまりですわ……。何というご無体……!」
感情の抑揚をあえて排除した棒読み。
涙の気配など欠片もなく、ただ口先だけが震える芝居――それが事実か虚構かを見極めようとして、廷臣たちの視線が右往左往する。唇を引き結ぶ者、眉を寄せる者、必死で嗤いをこらえる者。
聖女アルテナが困惑のまま顔をそむけ、金モールの軍服を締めた老将がかすれた咳払いで動揺を誤魔化した。
ティナはあくまで仰々しく両手で頬を押さえ、「うぅ……」と途切れがちな嗚咽を追加する。
「やめろ!」
王太子はとうとう怒鳴った。「猿芝居など見たくない。目障りだ!」
その言葉が広間の天井でこだまし、彩ガラスの光が刃のように閃く。ティナは泣き真似の手をそっと下ろし、澄んだ瞳でまっすぐ王太子を見返した。
「猿? 猿だなんて……ひどうございますわ……」
先程よりわずかに感情がこもっている。しかしそれは憐憫ではなく、軽薄なからかいの色だ。幼子が大人を試すときのような無邪気さ。
王太子の額に怒りの筋が浮かぶ。ティナはその変化を余すところなく観察し、一秒、二秒とわざと間を置いた。
静寂が音を食べる。
宦官の持つ杖先から塗り金がこぼれ落ちるほどの重圧を孕んで、ティナは上体をかがめた。再び芝居の続きを差し挟むのかと誰もが身構える。が、彼女はただ小さく囁いた。
「悲しみを演じてほしいと仰るから演じただけですのに……」
声量は蝋燭の炎ほどに細い。だが広い玉座の間では、反響がかえって切実さを帯びる。幾人かの廷臣が王太子を見上げ、同情とも嘲笑ともつかぬ視線を投げた。
王太子はさらなる苛立ちを覚え、足台を踏み鳴らす。
「おのれ……!」
だが叱責の言葉を紡ぐ前に、ティナは己の姿勢をただし、胸の前で手を重ねた。笑みの欠片もない。けれど瞳は春の陽に似た温度を宿し、誰も知らぬ深底で冷え切っていた。
「殿下がお望みでないならば、わたくしは泣きませ――」
終わりの語は言わせまいと、王太子が一際大きな声で遮る。
「もうよい! 可愛げを装った芝居など無意味だ!」
その声の震えは、怒りか焦燥か。ティナは決して測らない。測る価値もない。
やがて広間に風が吹き抜けたように沈黙が走り、琥珀の瞳と翡翠の瞳が対峙する。陽光は二人の間で鋭い頻度で瞬き、誰もその先を予測できないまま時が引き伸ばされていく。
だが次の瞬間――
王太子の口許が憎々しげに歪み、新たな罵声が舌の先で熱を帯びた。その叫びが放たれるまで、あと数拍。ティナの唇がかすかに弧を描き、広間の大気は再び凶兆の稲妻を孕む。
棒読みの涙は止まった。
しかし茶番はまだ終わらない。
王太子は自らの怒火を制御できず、ティナはその導火線が燃え尽きる刻を冷ややかに待ち構えていた。
——この一瞬の静寂が、嵐の前触れであることを、広間の誰もが悟っていた。
第1章-3 大根役者と脚線美――挑発のワルツ
暁光の間を満たす沈黙には、剣呑な稜線があった。王太子ガンフィールドは肩で息を吸い、怒気を抑えきれず歯ぎしりを洩らす。ティナ・ロッテリアはただ涼やかに立つ。上質な絹のドレスは曙色、裾の銀刺繡が陽光を弾いて床に揺らめく光を落としている。
ガンフィールドは声を搾り出した。
「――聞こえぬのか。猿芝居はやめろと言ったのだ!」
その叫びで漸く廷臣たちが息を吹き返す。扇の影で交わされる囁きが金の柱に反響し、鎧袖がわずかに擦れる。だがティナの表情は微塵も揺れない。むしろ、その瞳は夜明けの湖のように澄み切っていた。
「殿下の御意に沿えず、失礼しました」
ほんのひと匙の自嘲を混ぜつつ、ティナは芝居を止める。頬を覆っていた手を下ろすと、指先には涙の雫一つ付いていない。王太子は再び苛立ちを滲ませた声を張る。
「しつこい! まるで大根役者だ!」
大根役者――嘲罵の語が彩ガラスに弾かれ、広間を走った瞬間、ティナの口角が淡く吊り上がった。透き通った声が返す。
「大根……なるほど。ですが殿下」
彼女はさらりとドレスの裾を摘んだ。
質の良い絹がひとしずくの露のように指先で滑り上がり、布はふわりと波打って膝頭の寸前で止まる。広間に潜む視線の全てが、ほんの刹那そこへ吸い寄せられた。
「そこまで私の足、太くありませんわ」
涼しげな笑みを浮かべながら、ティナは裾を揺らし、膝の輪郭を陽の光で縁取る。しかし露わにするにはあと半指分足りない。絶妙な焦らしと品位の並立。空気がむせ返るほど熱を帯び、同時に氷層めいた緊張が貼りつく。
「…………」
言葉を失ったのは王太子だけではない。列席の貴族も、衛士も、聖女アルテナでさえ思わず見とれるほどの脚線。そしてティナは、唇にひそやかな悪戯の弧を刻んだ。
「見せませんけど……ひょっとして、期待しましたか?」
囁きとも宣言ともつかぬ台詞が宙で弾けた。騎士団長が咳払いし、老伯爵が扇を閉じる。若い令嬢たちは紅潮した頬にレースを当て、目元を泳がせた。ティナは何事もなかったかのように裾を元の位置へ下ろし、指で皺を整える。
「戯言を……!」
ガンフィールドは怒声を絞り、拳に血が滲むほど握り締める。「そのような不敬、許されると思うな!」
しかし声は震えていた。怒りか羞恥か、判断は難しい。ティナは微笑みを崩さず、軽く一礼する。
「不敬とは存じませんわ。殿下ご自身が“太い大根”と評されたので、事実を否定したまでのこと」
柔らかな言い回しに潜む刃。広間を走る震動はもはや嘲笑の域に達し、貴族たちの唇が引きつる。王太子の眉間に深い皺が刻まれ、瞳は怒りに潤む。
「貴様……っ!」
足台を蹴る音が響き、金の杖頭が石床を打つ。だがティナは怯まず、むしろ一歩前へ。上体をわずかに傾け、翡翠の瞳に陽を宿らせる。
「殿下。政略は盤石、愛情はどこかで芽生えれば良し、芽生えなければ別の策を講じれば良し――それが王家の叡智と存じておりました。でも今朝の殿下は、まるで劇の主役を奪われた子どものように思えますわ」
囁く声なのに、遠くの廷臣の耳元まで届く不思議な響き。厳密に選ばれた言葉が王太子の矜持を刃で刻む。ガンフィールドは息を荒げ、見開いた目に怒りの火を灯した。
「貴様……目障りだ!」
その叫びは、剣の腹で床を叩いたように鋭く乾いた。
ティナはゆるく首を傾け、文官の書見台に置かれた宮廷時計へちらと目を向ける。午前の太陽はまだ天頂を遥かに遠く、だが己の自由が近付いてくる音を確かに聴いた。
緞帳はまだ下りない。だが劇は、最終幕への合図を得た。ティナは胸の奥で小さく息を吸い、目障りという罵倒の余韻を受けとめた。
(次の台詞——“追放”が来れば、舞台は私のもの)
広間には依然、張り詰めた沈黙が横たわる。金箔のレリーフが陽を跳ね返し、彩ガラスが鮮烈な斑光を床へ投げた。高窓の外を雲が流れ、窓辺の香炉から白い煙が細く立ちのぼる。
ティナは背筋を伸ばし、王太子の怒りを真正面から受け止めたまま微笑んだ。
その微笑は春の陽差しより温く、北風よりも冷たい。――芝居の終幕は、次の一言を待つだけだ。
第1章-4 追放宣言と暁光のステップ
怒りに染まった王太子ガンフィールドが、壇上の欄干を握りつぶさんばかりに身を乗り出した。琥珀の瞳は血走り、口端は憎悪に震えている。だがティナ・ロッテリアは一歩も退かず、裾を整えた指先で舞台の幕が下りる瞬間を待った。
「戯言は……もう……いいっ!」
空気を切り裂く絶叫とともに、王太子の杖頭が石床を叩いた。金属質の高い音が大理石に反響し、彩ガラスの光が粉のように散る。
「目障りだ! さっさと失せろ―― 王都追放だ!」
ついに放たれた“追放”の二文字。広間を満たす緊張の弦が切れ、廷臣たちにどっと吐息が溢れる。悲嘆ではなく安堵。彼らにとっても、この一幕は長すぎる茶番だったのだ。
だがティナは可憐に上体を折り、透徹した声で問う。
「王都追放……でよろしいのですか? 国外追放ではなく?」
王太子の瞳がさらに険を増した。自身の威厳を削る返答を次々に繰り返す令嬢に、焦りと羞恥と憤怒が混ざり合う。
「国外でも……! どこへでも好きなところへ行け!」
「お前、私を馬鹿にしているだろう! 二度と私の視界に入るな!」
言い終えるや王太子は顔を伏せる。怒号の余韻は金箔の天井に吸われ、白煙のように消えた。ティナはまるで祝祭曲の最後の音符を確認するように静かに頷く。
「承知いたしました。それでは……殿下の末永いご多幸を心よりお祈り申し上げますわ」
嘘のない優美な挨拶。しかし翡翠の瞳に灯る光は、歓喜の打ち上げ花火そのものだった。
ティナは踵を返す。ドレスの曙色が光の束を受け、夕映えの雲のような陰影を落とす。貴族席の間を通り抜けるとき、何人かは無意識に道を開いた——肅然たる威光ではなく、軽やかな勝利の風がティナの周囲を吹き抜けていたからだ。
◆
重厚な金の扉が背後で閉じると、冬の外気のような静けさが回廊に降りた。陽光はまだ低い角度で差し込み、白亜の壁に長い影を描く。ティナは足を止め、しばし呼吸を整えた。胸の奥には、高鳴る鼓動と同時に深い解放の安堵が渦を巻く。
東翼廊を抜けるまでに目についた侍従や衛士は、令嬢の気高さと王太子の怒号を思い起こしてか道を譲った。ティナは一礼で応えるのみ。表情は凪いでいるが、踵の裏には音楽が鳴っている。
(王子の顔を二度と見なくて済む。なんて麗しい世界!)
心中で声高に歌いながらも、歩幅は礼儀正しいまま。だが大理石の階段を降り切り、人気のない南回廊に差しかかったその瞬間、ティナはくるりと舞うように向きを変えた。曙色の裾が花弁のように宙を描き、刺繡糸が虹彩の火花を飛ばす。
「るん♪ るん♪……」
抑えた声で口ずさむ小節。つま先で床を二度打つ。石が乾いた拍子を返す。ティナは両腕を半円に広げ、スピンで生じた弾みを踵から脛へと流す。ドレスがふわりと膨らみ、小さな鈴音が足首で転がる。彼女は舞台袖でのみ踊る小さなバレリーナ。観客は白い壁と差し込む陽のみ。
「……いけない。嬉しくてつい踊ってしまいましたわ」
唇に指先を当て、頬を染めぬまま囁く。けれど視線を左右に走らせると影のひとつもない。
再度の小さなステップ。──王太子の怒号も、聖女の憐憫の笑みも、この回廊には届かない。
◆
正面玄関に近い控えの間では、忠僕マルセルが手際よく荷紐を締めていた。侍女リリアは涙をこらえつつドレスと小箱を番重に移している。ティナが姿を現すと二人は同時に頭を下げた。
「お嬢様……ご心痛いかばかりかと」
「ええ、胸が張り裂けそうですわ」とティナは微笑む。「喜びで」
リリアは呆気に取られた顔をして、それから必死に笑いを噛み殺した。ティナは猫用のキャリーを撫で、荷の数を確認する。
「王都追放ですって。けれど荷物は最低限で十分。重い鎖は一つも要りませんもの」
「はい。茶葉と筆入れと、日常の装いを二着。あとはリシェル様の餌だけです」
マルセルは言いながら革鞄の口を留めた。ティナは頷いて踵を返す。まだ少し踊り足りない心を抱えながら、王宮正門へ向かう長い通路を歩き出す。
外套に触れる風が、真昼よりも自由の匂いを帯びていた。
この世界は広く、滑稽で、思い通りに利用できる——そう確信しながら、ティナは陽射しのステップをもう一度だけ刻んだ。回廊に残る足音は、王都と決別する彼女の凱歌のドラムだった。