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第12話 次は本州進出だ!


 少し時間が戻り、サクラがインターネットカフェで滝川市のモンスター暴走動画を見る前。


 北海道ダンジョン対策本部では、滝川市よりモンスター暴走の緊急連絡が入っていた。


 連絡と共に対策室長が指揮を取る。


 現地周辺で警戒していたダンジョン対策部隊を送る。

 だが、モンスター数に対して揃えられる人数は少ない。


 精鋭チームに連絡をするが山岳の調査中で帰還する足が無く、到着が遅くなる。

 その他のチームも到着に1時間から数時間かかり遅い。


 現時点でも被害が出ているが、更に被害が拡大するだろう。


 もちろん、警察や消防、病院、自衛隊等はすでに連絡済みで、協力体制を敷いた。


 できる事は全て行った、後はそのサポートだけだ。

 悔しい思いで現場の中継を見る。


 本部職員の仕事は多い、電話が途切れずに鳴る。

 そのほとんどが救助要請だ、状況を説明し到着時間を伝える。

 落胆の声、怒りの声、罵倒、そしてより強い救助要請。

 時間が足りない。

 部隊が足りない。

 精鋭が足りない。


……

…………

………………


 数時間後に後続部隊が到着し始める。

 救助地点に次々と配置する。


 精鋭が夕方前に到着、遅すぎる。

 だが、最もモンスターが多い場所に攻撃を指示する。

 彼等なら対処可能だ。


 これで収束の道が見える。

 後は時間と配置の問題だ。

 ほんの少しだけほっとする。


…………


 日暮れまでに収束できなかった、日も暮れて夜も継続して戦う必要がある。

 夜中は防衛と避難と救出をメインに計画を立てる。

 ローテーションを立て連絡する。

 明日朝には攻勢に出て終わるだろう。


…………


 夜になり暗闇でも綺麗に映るカメラに変わった。


 多数の中継スクリーンから、精鋭が戦っているスクリーンを見る。

 彼らがモンスターを倒した。

 彼らは強い、しかし精鋭の数が少ない。


 スクリーンで精鋭の戦いを見つめる。

 そして、剣を振り下ろす前にモンスターが霧になって消えた、剣が空振りして剣士が振り下ろした形で止まる。


 私は何を見た?

 見える範囲のモンスターが消えた。


 他の中継スクリーンも見る、モンスターが居ない。

 対策部隊が戸惑い周りを見ている。


 この現象を知っている。

 ダンジョンコアを破壊した時だ。

 誰が破壊した?


 不可能だ、ダンジョンの場所も分かっていない。

 破壊できる精鋭はスクリーンに映っている。


 一体何が起こった、不明では済まされない。

 冷たい汗が流れる。


 対策部隊直通の電話が一斉に鳴る。


ーーーー


 滝川市のモンスター暴走は終わった。

 残る作業は他の組織の仕事だ。

 ダンジョン対策本部は現場周囲の警戒と周辺調査。


 しかし、誰が壊した?


 ダンジョン対策部隊と民間チーム、確認できた範囲で誰もダンジョンを破壊してない。

 では誰が? それを調べる頭の痛い作業だけが残る。




ーーーーーーーーーーーーーー




 朝になりラビの目覚しコールに起こされる。

 ダンジョン管理領域の監視視点でダンジョン周辺を調べた。


 人の気配は無い、夜の森林捜索は危険が多くてしないだろう。

 よし、今の内に撤収だ。

 急ぎ簡単な朝食とペットボトルのお茶会を飲む。


「ラビ、撤収するよ」

『了解』


 野営テント替わりになったワゴン車を闇収納する。

 滝川市周辺のリトルダークウィスプは遠くの街からここに向けて解き放とう。


 今ここは危険なので近寄らない。

 ピリピリしているダンジョン対策部隊と鉢合わせは怖い。


 札幌に行きインターネットカフェで滝川市の情報収集とダンジョンの情報収集する予定だ。



 撤収準備が終わり、台座以外何も無いコアルームをグルリと見渡す。

 鳩のマスターと最後の別れ。


 モンスター名の日本語訳゛上位の血塗られた鳩゛。

 まさにあの人そのものだ、血に染まってしまった平和の鳩。


 生きる為だけで人を殺す。

 空を飛ぶ為だけで人を殺す。

 それだけでは精神が持たないのだろう。


 重要な教訓として心に刻みつける。

 絶対に忘れない様に。


「バイバイ鳩さん……」


 そして、数回の転移で札幌近くの森に戻る。



ーーーーーー



 まだ朝が早いため、のんびり散歩しながらファーストフードに入り朝食を食べ本を読みながら時間を潰した。


 インターネットカフェに入り、滝川市の情報を検索する。


 各ニュース情報は一面トップで出ていた。

 内容は、北海道ダンジョン対策本部から終息宣言が出され今は復興中、正確な数はまだ不明だが多くの死傷者がでた。


 私はコメントを控えたい。

 だって、両方の立場を知っている関係者だよ、何を言えってと思う。


「人間は私の糧になって死ね」

 ないない、必要だから選んで殺す以上はしないし、したくない。


「ダンジョンマスターは人類の敵、死ぬべき」

 ないない、神に近い管理者が決定して、たぶん数百万以上の死者を途切れなくダンジョンマスターとして送ってくるんだよ。

 無理な希望より利用して日本のために有利に動こうよ。


 矛盾は時が来るまで深く考えない。

 これが正解です。




 情報収集していたら、あのリアルタイムにモンスター暴走を中継して、助けを求めた人。

 助かったお礼動画を上げてた。


 あの動画が無ければ死んでたかも知れないと思うと、グッジョブと讃えたい。

 やはり、自身でできる範囲の行動を実行する人はチャンスを掴む。


 見習いたい。



 ダンジョンについて調べていたら、ダンジョンの動画が多くあった。

 ダンジョン突撃動画もある。

 それ死ぬからやめな、未来ある若者は生きてて欲しい。

 サクラからの勝手なお願い。


 多くの若者がLvが欲しいと行動してた。

 死ぬなよ。



 その後数日間札幌近郊に滞在し、滝川市周辺に多くのリトルダークウィスプを送り出す。

 北海道の各地に多くのリトルダークウィスプを解き放つ作業をした。



 次は本州進出だ!




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