「ダンジョン対策部隊は今でも怖い、でも怖いからと避けては私の目標が叶わない。
だから、明日朝一番で調査行く。
トウカは自分のダンジョンに退避、もし魔法かスキルに人間以外を見つける方法が有るとバレル。
だから今は安全を優先する。
タケル、トウカ、買い出しやインターネットはトウカのダンジョンから街に行くように。
トウカのダンジョン管理領域は30キロ、多くの街が入っているので、何時でも転移で逃げれる。
もし、対策部隊による結界が張っられれば感覚で分かるから、急がず移動して転移すればいい。
また、四国ダンジョンの周囲には、日本の優秀な部隊がいるはず。
今は、安全を最優先する。
以上、何かある?」
「お嬢様、くれぐれも無茶はしない様にして下さい」
「俺も何か出来たらいいが、今は無理か」
「タケルは、より強力で凶悪で奇策なダンジョンを作ってくれると嬉しい。
私達の強みは逃げれる事、だからコアルームま到達する時間的猶予ができるダンジョンが必要。
その猶予時間でサブコアを休止にして転移で逃げる。
ただ、そのサブコアが作った物やモンスターが全て魔素になって消えるのが痛いけどね。
ちなみにサブコアが消えてもあなた達は死なないからね。
あなた達は私のモンスターとして所属している。
最強でしょ」
「なんと、そんな強みがあったのですか? お嬢様」
「それは強い!」
「私達の弱点は私なんだけど、気にしないでね。
気にしても私は動くから」
「最大の弱点だ!」とタケルが騒ぐ。
「文句ある!!!」
「いえ……」
「結論が出たので、美味しい物でも食べてこの館で休もう」
皆に話していたら私の恐怖心も薄れ、元気が出てきた。
何かが解決された訳でも無いけど、冷静に考えられる。
今は食事と睡眠を楽しんで明日に備えよう。
ーーーーーー
朝になり目が覚める、もう覚悟は決まっていた。
昨日は私の慢心が招いた油断であり、気の緩み。
見つからないと言う慢心が崩された衝動に恐怖し動揺した。
だが、危険でも前に進まなければ始まらない。
だから私は前に進む、お兄さんの様に。
転移を繰り返して昨日と同じダンジョンの近くに来た。
隠れる場所を探して身を潜め、再度ダンジョン管理領域の視点を発動。
昨日と変わらず半径約1キロから先に視点が移動できない。
変わった所は特に無い。
どうしようか?
その時、後に気配を感じた瞬間抱きしめられた。
「助けて下さい、助けて下さい、助けて下さい、…………」
耳元で声がする。
振返ると、金髪で笹耳の女性が涙と鼻水を出しながら、酷い顔で泣きながら懇願していた。
一体何が起こったのか混乱した。
抱く力が強すぎて、私が助けて欲しい。
逃げたいです。
思わずパペットドールを離脱して地中に逃げ出しかけた。
『サクラ落ち着いて、ダンジョンマスターです』
ラビの声で冷静になり問いかける。
「えっと、あそこのダンジョンマスター?」
「そうです、私殺されます助けてください。何でもします」
私は疑問だ、どうしてここにピンポイントに来た?
その答えによっては対応が変わる。
「どうして私が此処に居ると分かった?」
「昨日ダンジョンマスター侵入警報が一瞬だけ鳴って。
でも何処か正確な場所が不明で、大まかな場所しか分からず。
助けを求める相手が無く、来たダンジョンマスターに助けを求め様と思い。
一晩中探して、さっき侵入警報が鳴りコアAIに場所を聞いてここに転移しました。
助けてください、あなたしか頼る相手がいないです」
そうか、パペットドールから出て魔法を使た時、インビジブルが消えた瞬間か。
納得した情報だ助けよう。
「助けられるけど条件がある」
「何でもします、どんな条件でも、この数日間の恐怖はもう嫌、死ぬのも嫌」
「よし、まず私が貴方のダンジョンに入ったらモンスターが私を襲わないようにコアに指示して」
「しました」
(ラビ確認)
『了解、…………確認取れました』
「コアルームに入った後、貴方は私の眷属になる。
貴方はダンジョンマスターから私のモンスターに変わり、生殺与奪権は私が持ち、私の命令に従ってもらう。
私が死ぬと貴方も死ぬ。
いいですか?」
「はい全て受けます」
「では、私を抱っこしてコアルームに転移して」
綺麗なお姉さんは素早く立ち、私を両手で持ち上げ胸に抱く。
足がぶらぶらです。
コアルームに転移、素早く降り。
「では眷属の魔法を使うので、頭の中で眷属の了承が聞かれ、それに了承と答えて」
「はい」
私は美女に右手を向け【眷属】の魔法を使う。
頭の中に《眷属の魔法を使いました》そして《相手が眷属を受け入れました》と響く。
「しました!」
「コアをサブコア化するのに10分かかるので待ってて。
その時私に触れないでね、失敗するから」
「はい」
コアに手を当て【サブコア宣言】と発言する。
頭の中に《サブコア宣言が発動されました10分お待ちください》とアナウンスが流れる。
「お姉さん、名前何? 私はサクラ」
「アサカと言います」
「アサカですね」
アサカは何だかソワソワして落ち着きが無い。
コアルームの入口を何度も見ている。
ひょっとして危ないのか?
なんか遠くで戦いの音が聞こえるような……
早く10分過ぎて、と思う。
……
…………
もうすぐ、あぁ戦いの音が聞こえた。
私の正面戦闘力はほぼ無い。
もし、コアルームにダンジョン対策部隊が来たら。
申し訳ないけどパペットドールから離脱して壁に潜って逃げる。
そして必死に逃げて、逃げ切る。
その時はアサカさんごめんね、今から心の中で謝っておく。
私は貴方の命より、私の目的の方が遥かに重いから。
戦闘音が近くなってくる。
不味いか?
ゴゴゴゴと音と振動が響きコアルームの入口が消え、サブコアは透明な玉になり休止状態になる。
思わず、「間に合った!」と叫んだ。
アサカはコアルームの入口が消え、戦闘の音も消えて、何度も元入口の壁を見ている。
安全になったと理解して、嬉し涙を流して一層酷い顔になり。
「助かったーーーーーー」と床に崩れる。
私はサブコアを闇収納する。
「正直、危なかった」
「有難う御座います、有難う御座います、有難う御座います。
この恩は一生忘れません」
私はワゴン車を出して、お茶とタオルを取り渡す。
「これ飲んで、それとタオルで顔拭いて」
「有難う御座います」
アサカはお茶会をがぶ飲みして顔を拭きまた飲む。
私はワゴン車を収納して連絡。
『トウカ、タケル、タケルの洋館前に集合よろ』
『了解、お嬢様』
『行く』
アサカの手を握り。
「これからよろしく」
「よろしくお願いします」
「仲間に紹介するよ、転移のために抱っこよろ」
また胸に抱かれて足がぶらぶらです。
なんか酷いです。
【転移】
アサカは転移後の景色に見とれていた。
足ぶらの私は、トウカとタケルに見られて恥ずかしい。
「下ろして」
「あ、すみません。
しかしここ凄いですね。綺麗で広くて庭園がある。
ここ何処ですか?」
「勇者タケルのダンジョンにある集合部屋」
後ろでタケルが酷いと嘆いた。
「勇者タケルさんて凄い方なんですね」
「ええ、勇者ですから!」
後ろでタケルが落ち込み格好で両手を地につけた。
orz「酷い!」
ちなみにアサカの身長は約170、服装はビシとしたOL風のビジネススーツにいろいろ手を加えて華やかにしている。
靴は紺のパンプス。
いかにも優秀な秘書と言う感じだった。
何時までも周囲を見ていたので。
「応接室に行って会議をするよ」
と手を引いて案内する。