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第32話 こいつは脳筋でバトルジャンキーだ


 ザンガのコアのサブコア化が終わり、ザンガのダンジョンを作りに行く。


「ザンガのダンジョンを作りに行くので転移する。

 抱っこしてよろ」

「え?」

「私の持ち物か、私が持ち物なら一緒に転移できる。

 それとも此処に残る?」


 ザンガは自身で転移しようとするも、コアとの繋がりが無いため転移できない。

 ただのモンスターと同じだった。


「そうか、転移ができないのか。

 姉御失礼いたします」



 ザンガは優しく私をお姫様抱っこする。


 転移で外に出て、そのままダンジョン候補地の宮崎県尾鈴山に転移で向かう。

 到着後良い場所を見つけザンガのサブダンジョンを作る。

 これで何時でも九州に来れる。


『トウカ、タケル、アサカ、九州ダンジョンの攻略が終わった。新しい仲間を紹介するのでタケルの応接室に集合』


『畏まりました、お嬢様』

『オッケー』

『今行きます』


「私の仲間に紹介するから、抱っこして」

「姉御のお仲間ですか、楽しみです」


 ザンガは腫れ物を触るように優しくお姫様抱っこをする。

 そして転移。

 景色が変わり、初めて見る場所にザンガは周囲を見渡し驚く。


「姉御、ここは外ですか?」

「いや、勇者タケルのダンジョンの集合部屋」


「それにしても豪華すぎデカすぎ、DPが掛かり過ぎる」

「まあね、下ろして、応接室に行こう」


 ザンガを連れ応接室に入る。

 左のソファーにアサカ、タケル、トウカが座り、その向かいに私とザンガが座る。


 背の高いザンガは腕組みし両足を広げ顎を上げ、3人を見下ろして睨む。

 最初の出会いで舐められないよう力を示す様だ。


 トウカは涼しげに、タケルはよそ見し、アサカは私を見ていた。


「隣に居るのが九州ダンジョンの元ダンジョンマスターのザンガだ」

「姉御の仲間だと思ったが弱そうだな、ザンガだ!」


 3人の目がザンガを睨む。

 ザンガも負けじと上から睨み返す。


「こいつは脳筋でバトルジャンキーだ」

「あ、姉御!」


 ザンガが私を見て焦る。


「私は序列を重視する。

 こいつは四天王の4番目だ、各自こいつとタイマンして屈服させろ。お前らが使える脳筋にしろ、いいか使える脳筋だぞ!

 重要なので2度言った」

「姉御……」


 緊張している3人に眷属リンクでアドバイスする。


『心配するな、こいつは開始DPの全てを使用して神獣フェンリルにした能筋だ。

 耐性が何も無い、開始すぐに高Lvの【麻痺】を掛けて殴るだけで勝てる。

 ただし、根性があるので屈服はなかなかしない。

 頑張れ、屈服させないと後が厳しいぞ。

 犬だけあって屈服すれば従順だろう』


「へっ、タイマンでオレが上に立つぜ!」


「では、庭園横の広場でタイマンだ、行くぞ」


 私を先頭に庭園横の広場に行き、30メートルほど離れてザンガが立つ。


「オレの力を見よ! 【獣化】」


 ザンガは巨大な白銀の狼になる。

 猛々しく胸を張って頭を上げ、見下ろす。

 嬉しそうに尻尾がブンブン振れていた。


 私は闇収納から金属バットを3つ出し3人に渡す。

 ザンガの尻尾が固まった。


『これ、インパクトハンマーの魔法が付与されている。

 魔力を込めて殴ると衝撃が跳ね上がる。

 フェンリルは固いから普通に殴っても効かないが、魔力を込め過ぎると殺してしまうので注意。

 麻痺して倒れた所で4脚を折り、ピクシーで回復して麻痺を掛けてまた折るを繰り返せば落ちる。

 何か私が鬼畜な気がしてきたが、暴走脳筋は困るので』


 門を開けハイピクシーを3体呼び出すと、ザンガの頭が下がり尻尾が股間に挟まる。

 冷汗をかきながらあちこちと目に落ち着きが無い。


 ここはタケルのサブダンジョンであるが、私のダンジョン領域でもある。

 亜空間倉庫の門は何時でも何処でも出せる。


「これは模擬戦である。

 死亡や重症は禁止する、怪我等はこのハイピクシーで何時でも治療するように。

 後は4人でやってくれ、私は部屋で休む。

 終わったら連絡よろ」


 見てはいけない予感がビンビンするので部屋に帰る。

 後ろでフェンリルの悲鳴が聞こえた。


……

…………

………………


 トウカに終わったと連絡が来て応接室に行く。

 嫌な予感がする。

 ドアを開けるとザンガが綺麗な土下座ををしていた。

 まるでアサカの様に綺麗だ、アサカを見ると満足な顔で頷いた。

 あぁ3度目だ、私は土下座をさせる性質が有ると自覚しよう。


「これ、どうなったの?」


 アサカが秘書スーツをビシリと着こなし、釣り上がり気味の度のない細いメガネを掛け、左手には重厚な革張りのビジネスバインダーを持っていた。

 靴底が金属で出来たヒールを履き。

 カッン、カッンと歩いてザンガに横に来て、ガッン!

 一段と大きな音をさせアサカが答える。


「もちろん、四天王最下位である事を認めさせました。

 ザンガ、挨拶して」


「イエス マム!

 四天王末席を拝命したくお願い申し上げます」


 土下座したまま話すザンガ、哀愁が漂います。


「わかった、ソファーに座ろうか、ザンガ」

「サー、イエッ、サー」


 靴音を響かせ優雅に座るアサカ、その後ろからキビキビとした動作でソファーに座るザンガ、とても対照的だった。

 私も向かいのソファーに座る。


「アサカ、やり過ぎてない?」

「問題御座いません」


「何か、トンデモ秘書で出来る秘書だよアサカ」

「お褒め頂き有難う御座います」

 アサカが嬉しそうに笑っている。なんか怖い。


「ザンガ紹介するね。

 一番左が、四天王第1席 謎の老執事トウカ。

   次が、四天王第2席 勇者タケル。

   次が、四天王第3席 出来る秘書アサカ。

   君が、四天王第4席 白銀のザンガ。

 あざなは゛白銀゛だ、よろしく頼む」


「拝命、有難う御座います」と45度のお辞儀をする。


「ザンガ、今回私のサポートが有ったので3人が勝った。

 正面戦闘ではザンガが一番強い。

 今後、各種耐性を持てばタイマンでザンガが勝つだろう。

 しかし、君の末席は変わらない。

 何故なら、その時も私は彼らをサポートするからだ。

 上下関係は武力では無い、それを頭に叩き込め。

 いいな?」

「はい!」


「もし、上に登りたければ私と勝負しろ。

 私に認めさせれば君は大きくなれる。期待している」

「はい!」


「この話はこれで終わる。

 さあザンガのダンジョンを作りに行こう。

 3人は九州サブダンジョンのコアルームに直接転移。

 ザンガは私と転移する、そしてサブマスター登録をすればザンガも全国5っの場所に転移できるようになる」


 ザンガと共に九州に飛び、ザンガをサブマスター登録する。

 タケルにダンジョン作成を依頼、トウカとアサカでザンガに説明を頼む。

 終わったら連絡を頼んだ。

 このサブダンジョンに集合部屋を作り寝室に行く。



ーーーー



 寝室に着きベッドに座りながら考える。


 ザンガと正面戦闘の練習もしたいが、安易に負ける事はできない。

 今よりより物理戦闘力を上げたい、ラビと相談しよう。



(ラビ飛行球体の材料だけど、世界樹の木と超硬合金で作った場合、魔法込みで硬いのはどれ?)


『世界樹だと物理も魔法防御も良いですが、硬いとなると超硬合金と物理強化が硬いです。魔法防御が少し弱いですが』


(飛行球体を超硬合金で作り物理強化、魔法耐性付与とインパクトハンマーを付与して、高速飛行+インパクトハンマーでぶち当たると物理攻撃はとても強いと思うけど、どう?)


『フェンリルと肉弾戦ですね、当たりどころが悪いと神獣のフェンリルでも死にますよ』


(それ程ですか?)


『ですが、超硬合金は重いので少し動くのが遅いです。

 フェンリルの動態視力と運動性能なら奇襲以外は回避される可能性があります。


 飛行スキルを超高速飛行に変えれば大丈夫でしょう。


 この飛行球体だと最高時速は2000キロ超えですが、その速度で硬い物に当たると飛行球体が壊れる可能性が有るので止めたほうがいいです。

 空気抵抗は風魔法で周囲に流すのがいいでしょう。


 攻撃力を上げるなら速度よりインパクトハンマーに魔力込め、当るだけで相手を破壊します。


 スピードは相手を翻弄するのに使うのがいいでしょう。


 超高速飛行は、加速や方向転換が数倍速になるので、フェンリルでも追うことは難しいです』


(ふむふむ、羽が壊れない?)


『羽は実体の無い仮想の羽に変えましょう。


 一般的に羽のあるモンスターは、羽が全て壊れても運動性能が落ちますが飛行に問題はありません。


 羽を持った球体モンスターという属性に飛行のスキルがあり、その飛行スキルでほぼ飛んでいます。

 羽は飛行出来るという意味以外は飾りです。


 精霊種も実態が薄いので飛行スキルを持っています』


(では。、超高速飛行スキルの追加と付与付き超硬合金の飛行球体を3個、布紐で首に掛けられるようにお願い)


『了解』


 目の前に飛行球体が現れ受け取る。

 1っを首に掛け胸に銀色に輝く直径2センチの金属球体が下がる、思っ以上に重く世界樹の数倍の重さに感じる。

 羽の模様は無く、憑依時に出るらしい。

 もう一つの紐付き飛行球体を私の本体に装備しよう。

 残り1っを予備として闇収納する。


 トウカのダンジョン地下2階の妖精の森に転移して飛行の習熟を行う。

 思った以上に動作が重く感じたが超高速飛行スキルを使うと、今まで以上に速く軽く動き、習熟に苦労する。


 ミスして木に当たったら、インパクトハンマーも使用して無いのに木が粉砕し、減速なく突き抜けた。

 キズも付かなかった。


 これは、壊れない減速しない20ミリ砲弾だと思う事にする。

 マテリアルライフルを軽く超えてると思う。

 インパクトハンマー付けたら比較出来る兵器が無い。


 強すぎな気がする、使用には注意しよう。




 ついでに、体当たり攻撃も練習する。

 インパクトハンマーに魔力を込めて木にコツンと触ったら、木が粉砕された。

 ヤバイ!

 よく練習して攻撃力を理解しよう。



ーー



 アサカより眷属リンクで呼ばれ、すでに夜になってた。

 深夜まで雑談して、恒例のリトルダークウィスプを全国に大量に送り出し、夜明け前まで行なった。



 翌日より、数日を周辺の調査とザンガに全国紹介と言う観光と休養をした。

 その後、十数日かけて再度全国の刑務所を巡る。




ーーーーーーーーーーーーー




 日本ダンジョン対策本部。


 全国各地で老人の死亡が多発している。

 黒い霧の球体が目撃され、北海道で始まったモンスター被害が全国に広がる。


 自治体、各団体、各県、有力者から救援要請が多数日本ダンジョン対策本部や支部に来る。

 四国のダンジョン調査を中断して、ダンジョン対策部隊や警察、自衛隊の一部を全国に派遣して対応を行うが全く足りなかった。


 日本政府は広報で、一般人でも倒せる事、70歳以下はほぼ襲われない事、倒せばLvを取得する事、そしてLvが上がる事を説明し国民の協力を仰いだ。


 その結果、多くの若者や大人がLv保持者になる。


 ネット上で討伐の詳細と結果が報告され議論が活発になる。

 安全なモンスター討伐ブームが全国で加熱する。


 日本政府はこの対応のために特別予算を組み国庫を圧迫したが、政治家、役人、対策本部のほぼ全てが予算増に口を出さない。


 国民の多くがLvを持つことで怪我や病気にも強くなり、数年後には国庫負担が軽くなると分かっていたからだ。


 ただし、注射や点滴等の医療行為に、Lv保持者でないとHPバリアに抵抗されて上手くできない。


 Lv保持者でなくとも低Lvなら強くやれば出来るが、勢いが付き針が血管をつき抜けてしまう。


 急遽、lv保持者でない医者及び看護師にサポートを付け、リトルダークウィスプの討伐を行う。


 できる事なら全国民がLv保持者になって欲しいと願う。



 日本ダンジョン対策本部の調査研究部署から、今回のダンジョン被害で日本国民が強くなる。

 その理由が想定出来ないと報告された。



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