俺の子供の頃は、町内のガキ大将をしていた。
中学に入ってもガキ大将気質が抜けず、喧嘩に明け暮れた。
そのため、近隣の中学生に恐れられる存在になる。
だが、舎弟を守る俺に何人もが集まりはじめ。
いつしか番長と呼ばれる。
俺はそんなつもり無かったがな。
でもまあ、気分は良かった。
だから、なおさら舎弟を守った。
舎弟が苦境の時は駆けつけて助ける。
イジメを見つけた時はイジメた奴を殴り倒した。
折しも日本は高度成長期、それいけバンバンで何にでも夢と希望と笑いがあった。
まあ悲しみもそれなりに有ったがな。
それ以上に将来の夢に溢れてた。
中学生の無茶は許された時代だった。
中学卒業で番長を引退し、二輪免許を取た。
高校で知り合った先輩からバイクを格安で買う。
それが始まりだった。
先輩の知り合いの小さな族に入る。
最初は一番下っ端で走り回った。
元々強かったので1年もすると頭角を現し、リーダーが引退と共に俺が次代のリーダーに指名される。
そして、調子に乗って走り回り暴れまくった。
あれよあれよと言う間に、他の族を吸収、舎弟が続々増えはじめる。
あっと言う間に巨大な族となり、世間から暴走族と呼ばれる。
俺はそんなつもりは無かったが、舎弟達と共に暴れるのが楽しく、その舎弟を守る為にも走り回った。
今思うと、ちょっと踊らされたバカだったかも知れない。
が、楽しければいいと思う。
高校3年も近づき、引退して就職を考えていた。
組から誘われたが興味は無かった。
何度も誘われたが何度も断った。
俺はもう遊びは終わりだと決めていた。
卒業日の数日前。
組から電話があった。
お前の舎弟が俺の組に迷惑をかけた、落とし前が必要だが金を持ってない。
このままじゃメンツが潰れる、指詰めるか、マグロ漁船か、お前が責任取る必要があるな!
舎弟は何処にいる!
組にいる。
俺は一瞬で頭に血が登り、受話器を叩きつけ、バットを持ってバイクに乗り組に走る。
頭の中は(舎弟を助け出す!)以外の考えが浮かばなかった。
いつもと同じ様に拳で解決しか思い浮かばなかった。
組の前に人が居て「よく来たな……」と話かけられたがバットで殴り倒した。
そのまま組に殴り込みをした。
十数人倒したが、流石に疲れと打撲等で勢いが無くなり、バットが振れずに下ろした時。
後ろからドンと押された。
そして胸からヤッパが出ていた。
なんとか振り向くと、捕まっているはずの舎弟が長ドスを持っていた。
「喧嘩にヤッパは駄目だ……ろ…………いつ…………も………」
心臓が握り潰された様な痛みが走り、立てなくなって倒れる。
あまりの痛みに、全身がキューーと固くなる。
痛みが少し薄れるが頭が朦朧となる。
あぁ血が少ない。
俺死ぬのか、舎弟はバカだな………………
意識が消えていく………………
……
…………
………………
ここは何処だ?
チェック床の上、周りに人が多すぎる。
三途の川は何処だ?
閻魔様に会えるのか?
楽しそうだなオイ!
会ったのは管理者だった……
誰だおまえ?