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3章 隣国

第35話 未来への道


 日本全ダンジョンを制覇し計画の第一段階が終わった。


 さあ、次の段階だ!




 タケルの集合部屋にある洋館の応接室に4人を呼び次の計画を話す。


 ここは応接室にある背の低い長くて大きなテーブルと向かい合わせの長いソファー。

 私はソファーの中央に座り、向いにトウカ、タケル、アサカ、ザンガが座ってる。

 私はこれからの事を話し始める。


「北海道から始まり、本州に入ってからの私の目標。

 全日本ダンジョン制覇が完了した。

 これを持って計画の第1段階が終了した。


 第2段階に進む!」


 その宣言に4人の顔が引き締まる。



「今から話す事は極秘中の極秘だ!


 ここに居る4人と私のコアAIが聞いている。

 この話をするかとても悩んだ。


 もしコアAIが使命に問題と判断したら私は死ぬ。

 日本のダンジョンが0になり、モンスターも消える。


 その後、反動で多くのダンジョンが日本に出来るだろう。

 日本崩壊の道に進む。


 話すのが怖い…………」


 そして私は誰も居ない斜め上を見る。

 そこに誰か居る様に語りかける。

 祈りの様に願う様に語りかける。


「ラビ、もし問題があったら先に注意して欲しい。

 違う方法を考えるから。

 お願いします、ラビ」


 深く深く頭を体ごと下げる。

 長い時間下げ続ける。



………………



 体と顔を上げる。


「ラビからの応答は無い。

 当然だ、話をしていないのに答える訳がない」


 私は話はじめる。


「私の代番号は日本の157代目、なぜ日本なのか?

 そこに意味があると考えた。


 もし1億2000万人の日本人を10分の1にしたら、1200万人になる。


 これでは日本の技術、文化、知識、組織が維持できない。

 生活基盤が崩れ去る。


 国すらも今の国のまま維持が不可能だ。

 日本という国名が残ってもそれは別物になる。


 荒廃した日本に数百年前の生活や統治になる。

 近代兵器が残る戦国時代からやり直しだ。

 それもモンスターの驚異がある中で。


 他国から武力進行もあるだろう。


 私はそれが許せない。

 日本を守る以上、私を助けてくれた今の日本を守らなければ意味がない。



 そこで最初の疑問に戻る。

 何故! 日本の157代目なのか?


 疑問はもう一つある。

 何故日本のダンジョンマスターは日本人なのか?




 管理者は選別がお好きだ。


 まず、ダンジョンマスターとして冷静な人を選別。


 人はLv保持者となって環境に適用し生き残る人と、適用できず死ぬ人の選別。


 ダンジョンマスターの使命を持って立ち上がる人と、苦悩の果に自滅するマスターの選別。


 ダンジョンマスター同士の征服戦争による強者の選別。




 そして次が重要な私の推測。


 文化、技術、知識、組織を保持出来る国の選別。



 代番号が日本限定、他国も同じだろう。

 マスターは日本人、他国も同じだろう。

 これは、国単位の選別の素、きっかけだ。


 ダンジョンマスターにも国選別の契機になる様に。

 私のように、国を守る意志を持ったダンジョンマスターが出るように、それが同国人でグループを作るように。


 これが答えと推論した。



 この推論から私は行動を決めた。


 日本の人口はある程度以上減らさない。

 今70歳以上だが、これを最悪60歳以上で終わらせる。


 これでは10分の1に全く足りない。


 だから、必要なKPを国外で稼ぐ!!!


 さあ、ラビ! これは使命に問題か?」



 何も無い斜め上を、命を懸けた視線で睨む。



……


…………


………………



 長い沈黙が流れる。


 顔を戻して肩の力を抜く。


「ラビは無言だった。

 まだ何か足りないのか?

 それとも判断保留なのか?

 答える権限が無いのか?


 どちらにしても、私は私のやりたい事をやる。

 それが私の意志であり覚悟だ。

 全ての罪は私にある」


 そして私は目を瞑り死んだ様に動かなかった。

 3人も静かに私を見ていた。


……

…………

………………


 私は目を開ける。

 その目には何者も侵すことの出来ない覚悟の意思が宿っていた。



「さて、この推論を元に、今後世界がどう変わって行くか予測できる。


 私より頭の良いダンジョンマスターは多いと思うが、今それを気にする必要はない。

 なぜなら、まだ日本に外国のモンスターが入って来た情報は無い。



 すでに過去、現在、頭の良いダンジョンマスターや力あるダンジョンマスター、権力欲が高いダンジョンマスターが生き残り。その目的、支配欲、組織的防御等で、他のダンジョンを倒し征服か、眷属支配か、協力組織を作っているだろう。


 征服とはコアをサブコア化する事、これにはデメリットがある、KPのノルマが増える。

 サブコア化でダンジョンが初期化され休止するので、新たなKPを生産しない。

 サブダンジョンにするにも大量のKPとDPがいる。

 簡単な事ではない。


 支配は単にそのままで傘下に吸収する事。


 協力は相互協力だが、ダンジョンマスターの性質上存在しないと思う。

 有るのは、相互協力の革を被った支配組織だ。


 多分世界は今この状態に少し入っているのではないかと思う。




 問題はその後だ、時が過ぎれば大きな集団になり、維持するため大量のKPが必要だ。

 そして、自国からKPを稼ぐより他国のKPを狙う。

 その結果、日本に外国から大量のモンスターが飛来する。


 日本は大量のモンスター襲撃を防衛しなければならない。


 私達は影に隠れながら防衛し、日本の防衛を支援する。

 そして、外国の集団を私達自身が、私達の手で破壊し征服する。


 日本のダンジョン対策部隊が他国に行くことはほぼ不可能だ。

 内政干渉等の理由で拒否、他国の武力組織を入れる根拠が無い等。


 「XXXの国からモンスターが来るから、武力部隊を派遣したい」などと言っても、許可する隣国は無いだろう。

 また、自国防衛に多くの人が必要な中で、部隊を派遣する余裕も無いだろう。


 私達が外国のダンジョンマスター集団を秘密裏にダンジョン抗争として破壊しなければならない。これをする為に、想像できないほどの力がいる。

 今は、全く無力だ。


 その力を得るために、第2段階に進む」




 そして続ける。




「これが私の予測。


 次は、日本と各国の未来予測。


 まず、世界は食糧難になる。


 なぜなら、広大な農地を維持出来なくなるからだ。

 人口が少なく農地が広い場所をモンスターから守る事ができない。


 人口が減れば、安全と思われる都市に難民が集まる。

 広大な農地はモンスターが徘徊する場所になって荒れる。


 そして、流通も徐々に機能不全になる。

 食料があっても運べない状況になる。



 次に、資源が必要な所に無くなる。

 資源があっても必要な所に運べなければ無いと同じ。


 そのため、困窮する都市と、運良く近くに食料や資源がある都市や地域ができる。

 困窮する人からは、安定な土地は安住の地に見えるだろう。


 結果、安住の地を得るため、小さな争いから地域紛争に発展する。


 その先に、国家の生き残りのため、戦争が起こる。

 外国の武力侵攻から日本を守る必要がある。




 何故日本に侵略するのか、理由は単純だ。


 今の日本はモンスター被害の死亡者は世界で高い、数字だけ見れば危険な国だ。


 だが、第2段階が進み、時間が経つと日本が世界で最も安全な国になる。

 私達の制御された間引きにより、明確な安全が目に見える様になるためだ。


 そして、【世界の安住の地、日本】になる。


 生き残る為、日本を手に入れようとする国が出てくる。

 それも、切羽詰まっているため持てる武力を使う。


 日本は侵略される。


 時と共に、多くの国から侵略のターゲットになる。


 ゛安住の地を手に入れよ!゛と国民が政府が号令する」



 私は目を瞑り下に向く。

 長い沈黙のあと顔を上げ続ける。



「外国の侵略から日本を守る必要があり、私は日本を守る。


 これが日本の未来予測。


 私達はとても困難な道を進む」


 私は4人を順次観る。

 3人は真剣な顔で思考していた。

 ザンガは………… 俺はやるぞ! な顔をしている。

 うんザンガだ。


「これが私の推論からなる予測であり目指しているもの。

 遠く無い未来に直面する事。

 今の段階では出来る可能性が1%も無い。

 だから、今から準備する。

 みんなには、目指す先を見る為に話した。

 頼みはしない命令する、協力しろ!」


「承りました、お嬢様」

「おk、やるしかないしな」

「了解しました」

「おう、やってやるぜ」


「有がとう」と花開く様な笑顔をみんなに見せる。



「アサカ」

「はい」


「アサカには既にハイエルフの管理を任せている。

 日本に入ってくるモンスターの監視ネットワークをハイエルフで作る。

 基礎プランは出来ている。

 サブダンジョンの管理と、監視システムの構築と管理を頼む」

「はい」



「タケル」

「はい」


「今まではダンジョン構築が主だったが、これからは日本の防衛システムを検討し構築する任務を頼む」

「おk、これは壮大だ!」



「ザンガ」

「おう!」


「私はこれからは世界に出る。

 最も戦闘力あるザンガは私の護衛として共に世界に行き、共に敵と戦う任務を頼む」

「いいぜ、姉御と世界で戦おう!」


「オイ、護衛もあるぞ!」

「姉御に護衛いるか?」


「いるだろ! 自分の命と同じだと思い守れよ!」

「分かった! 姉御は俺が守る!」



「トウカ」

「はい、お嬢様」


「トウカには全体のトップに立ち。

 私の考えを理解し実現する組織を作りあげろ。

 もちろん私のサポートを行う組織でもある。

 それらを可能とする組織を3人の上に立って作れ」


「承りました、お嬢様」


「タケル、アサカ、ザンガ、3人はトウカを上司と仰ぎ。

 問題がない限りトウカの指示に従え。

 いいな!」

「おk」

「はい」

「いいぜ」


「まあ、ザンガはほぼ私専属になるがな。

……

 よし、組織の基礎が完成した。

 3時間休憩して、世界に出る会議をする」





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