日本全ダンジョンを制覇し計画の第一段階が終わった。
さあ、次の段階だ!
タケルの集合部屋にある洋館の応接室に4人を呼び次の計画を話す。
ここは応接室にある背の低い長くて大きなテーブルと向かい合わせの長いソファー。
私はソファーの中央に座り、向いにトウカ、タケル、アサカ、ザンガが座ってる。
私はこれからの事を話し始める。
「北海道から始まり、本州に入ってからの私の目標。
全日本ダンジョン制覇が完了した。
これを持って計画の第1段階が終了した。
第2段階に進む!」
その宣言に4人の顔が引き締まる。
「今から話す事は極秘中の極秘だ!
ここに居る4人と私のコアAIが聞いている。
この話をするかとても悩んだ。
もしコアAIが使命に問題と判断したら私は死ぬ。
日本のダンジョンが0になり、モンスターも消える。
その後、反動で多くのダンジョンが日本に出来るだろう。
日本崩壊の道に進む。
話すのが怖い…………」
そして私は誰も居ない斜め上を見る。
そこに誰か居る様に語りかける。
祈りの様に願う様に語りかける。
「ラビ、もし問題があったら先に注意して欲しい。
違う方法を考えるから。
お願いします、ラビ」
深く深く頭を体ごと下げる。
長い時間下げ続ける。
………………
体と顔を上げる。
「ラビからの応答は無い。
当然だ、話をしていないのに答える訳がない」
私は話はじめる。
「私の代番号は日本の157代目、なぜ日本なのか?
そこに意味があると考えた。
もし1億2000万人の日本人を10分の1にしたら、1200万人になる。
これでは日本の技術、文化、知識、組織が維持できない。
生活基盤が崩れ去る。
国すらも今の国のまま維持が不可能だ。
日本という国名が残ってもそれは別物になる。
荒廃した日本に数百年前の生活や統治になる。
近代兵器が残る戦国時代からやり直しだ。
それもモンスターの驚異がある中で。
他国から武力進行もあるだろう。
私はそれが許せない。
日本を守る以上、私を助けてくれた今の日本を守らなければ意味がない。
そこで最初の疑問に戻る。
何故! 日本の157代目なのか?
疑問はもう一つある。
何故日本のダンジョンマスターは日本人なのか?
管理者は選別がお好きだ。
まず、ダンジョンマスターとして冷静な人を選別。
人はLv保持者となって環境に適用し生き残る人と、適用できず死ぬ人の選別。
ダンジョンマスターの使命を持って立ち上がる人と、苦悩の果に自滅するマスターの選別。
ダンジョンマスター同士の征服戦争による強者の選別。
そして次が重要な私の推測。
文化、技術、知識、組織を保持出来る国の選別。
代番号が日本限定、他国も同じだろう。
マスターは日本人、他国も同じだろう。
これは、国単位の選別の素、きっかけだ。
ダンジョンマスターにも国選別の契機になる様に。
私のように、国を守る意志を持ったダンジョンマスターが出るように、それが同国人でグループを作るように。
これが答えと推論した。
この推論から私は行動を決めた。
日本の人口はある程度以上減らさない。
今70歳以上だが、これを最悪60歳以上で終わらせる。
これでは10分の1に全く足りない。
だから、必要なKPを国外で稼ぐ!!!
さあ、ラビ! これは使命に問題か?」
何も無い斜め上を、命を懸けた視線で睨む。
……
…………
………………
長い沈黙が流れる。
顔を戻して肩の力を抜く。
「ラビは無言だった。
まだ何か足りないのか?
それとも判断保留なのか?
答える権限が無いのか?
どちらにしても、私は私のやりたい事をやる。
それが私の意志であり覚悟だ。
全ての罪は私にある」
そして私は目を瞑り死んだ様に動かなかった。
3人も静かに私を見ていた。
……
…………
………………
私は目を開ける。
その目には何者も侵すことの出来ない覚悟の意思が宿っていた。
「さて、この推論を元に、今後世界がどう変わって行くか予測できる。
私より頭の良いダンジョンマスターは多いと思うが、今それを気にする必要はない。
なぜなら、まだ日本に外国のモンスターが入って来た情報は無い。
すでに過去、現在、頭の良いダンジョンマスターや力あるダンジョンマスター、権力欲が高いダンジョンマスターが生き残り。その目的、支配欲、組織的防御等で、他のダンジョンを倒し征服か、眷属支配か、協力組織を作っているだろう。
征服とはコアをサブコア化する事、これにはデメリットがある、KPのノルマが増える。
サブコア化でダンジョンが初期化され休止するので、新たなKPを生産しない。
サブダンジョンにするにも大量のKPとDPがいる。
簡単な事ではない。
支配は単にそのままで傘下に吸収する事。
協力は相互協力だが、ダンジョンマスターの性質上存在しないと思う。
有るのは、相互協力の革を被った支配組織だ。
多分世界は今この状態に少し入っているのではないかと思う。
問題はその後だ、時が過ぎれば大きな集団になり、維持するため大量のKPが必要だ。
そして、自国からKPを稼ぐより他国のKPを狙う。
その結果、日本に外国から大量のモンスターが飛来する。
日本は大量のモンスター襲撃を防衛しなければならない。
私達は影に隠れながら防衛し、日本の防衛を支援する。
そして、外国の集団を私達自身が、私達の手で破壊し征服する。
日本のダンジョン対策部隊が他国に行くことはほぼ不可能だ。
内政干渉等の理由で拒否、他国の武力組織を入れる根拠が無い等。
「XXXの国からモンスターが来るから、武力部隊を派遣したい」などと言っても、許可する隣国は無いだろう。
また、自国防衛に多くの人が必要な中で、部隊を派遣する余裕も無いだろう。
私達が外国のダンジョンマスター集団を秘密裏にダンジョン抗争として破壊しなければならない。これをする為に、想像できないほどの力がいる。
今は、全く無力だ。
その力を得るために、第2段階に進む」
そして続ける。
「これが私の予測。
次は、日本と各国の未来予測。
まず、世界は食糧難になる。
なぜなら、広大な農地を維持出来なくなるからだ。
人口が少なく農地が広い場所をモンスターから守る事ができない。
人口が減れば、安全と思われる都市に難民が集まる。
広大な農地はモンスターが徘徊する場所になって荒れる。
そして、流通も徐々に機能不全になる。
食料があっても運べない状況になる。
次に、資源が必要な所に無くなる。
資源があっても必要な所に運べなければ無いと同じ。
そのため、困窮する都市と、運良く近くに食料や資源がある都市や地域ができる。
困窮する人からは、安定な土地は安住の地に見えるだろう。
結果、安住の地を得るため、小さな争いから地域紛争に発展する。
その先に、国家の生き残りのため、戦争が起こる。
外国の武力侵攻から日本を守る必要がある。
何故日本に侵略するのか、理由は単純だ。
今の日本はモンスター被害の死亡者は世界で高い、数字だけ見れば危険な国だ。
だが、第2段階が進み、時間が経つと日本が世界で最も安全な国になる。
私達の制御された間引きにより、明確な安全が目に見える様になるためだ。
そして、【世界の安住の地、日本】になる。
生き残る為、日本を手に入れようとする国が出てくる。
それも、切羽詰まっているため持てる武力を使う。
日本は侵略される。
時と共に、多くの国から侵略のターゲットになる。
゛安住の地を手に入れよ!゛と国民が政府が号令する」
私は目を瞑り下に向く。
長い沈黙のあと顔を上げ続ける。
「外国の侵略から日本を守る必要があり、私は日本を守る。
これが日本の未来予測。
私達はとても困難な道を進む」
私は4人を順次観る。
3人は真剣な顔で思考していた。
ザンガは………… 俺はやるぞ! な顔をしている。
うんザンガだ。
「これが私の推論からなる予測であり目指しているもの。
遠く無い未来に直面する事。
今の段階では出来る可能性が1%も無い。
だから、今から準備する。
みんなには、目指す先を見る為に話した。
頼みはしない命令する、協力しろ!」
「承りました、お嬢様」
「おk、やるしかないしな」
「了解しました」
「おう、やってやるぜ」
「有がとう」と花開く様な笑顔をみんなに見せる。
「アサカ」
「はい」
「アサカには既にハイエルフの管理を任せている。
日本に入ってくるモンスターの監視ネットワークをハイエルフで作る。
基礎プランは出来ている。
サブダンジョンの管理と、監視システムの構築と管理を頼む」
「はい」
「タケル」
「はい」
「今まではダンジョン構築が主だったが、これからは日本の防衛システムを検討し構築する任務を頼む」
「おk、これは壮大だ!」
「ザンガ」
「おう!」
「私はこれからは世界に出る。
最も戦闘力あるザンガは私の護衛として共に世界に行き、共に敵と戦う任務を頼む」
「いいぜ、姉御と世界で戦おう!」
「オイ、護衛もあるぞ!」
「姉御に護衛いるか?」
「いるだろ! 自分の命と同じだと思い守れよ!」
「分かった! 姉御は俺が守る!」
「トウカ」
「はい、お嬢様」
「トウカには全体のトップに立ち。
私の考えを理解し実現する組織を作りあげろ。
もちろん私のサポートを行う組織でもある。
それらを可能とする組織を3人の上に立って作れ」
「承りました、お嬢様」
「タケル、アサカ、ザンガ、3人はトウカを上司と仰ぎ。
問題がない限りトウカの指示に従え。
いいな!」
「おk」
「はい」
「いいぜ」
「まあ、ザンガはほぼ私専属になるがな。
……
よし、組織の基礎が完成した。
3時間休憩して、世界に出る会議をする」