3時間後に5人が応接室に集まる。
「会議を始める。
なぜ今世界に出るかは、日本にモンスターが来るのを監視するために、サブコアが必要だからだ。
日本にはもう無いので清中共の奥地に取りに行く。
近くでは日本との関係を疑われないため遠くに行く。
ダンジョンが多い清中共で10個ほどサブコアを取ってくる。
そして、未来への布石を打つ。
帰ってくるまでトウカ、タケル、アサカ、日本を頼む」
「畏まりました、お嬢様」
「おk、まかせろ」
「お任せください」
サクラが心配でトウカが質問をする。
「期間はどれくらいですか? お嬢様」
「3ヶ月程度だと思うが、断定はできない」
「ダンジョンの攻略方法は何ですか? お嬢様」
「基本、正面からの力押しでコアまで行き、ダンジョンマスターは倒す」
ザンガを見て、フェンリル状態を思い出す。
「ザンガ、フェンリルは大きくてダンジョンに入れないのか?」
「オレの種族スキルに大きさを変えれるスキルがある」
「マジか! 何で今まで……」
「いや、大っきいのが強くてカッコイイだろ」
「最小は?」
「ドーベルマンぐらいの大型犬かな、それ以上小さいのは多分無い」
「多分か? その大きさならダンジョンでも問題ないな」
思わずニヤニヤと笑いながらザンガの顔を見る。
ザンガは横を向いて冷汗たらーーり。
こいつ、きっと子犬もあるぞ、是非モフりたい。
「ザンガ、獣人形態とフェンリル形態でどっちが強いんだ?」
「フェンリルの方が強い、フェンリルは敏捷が高く力が強い、防御力も高い、爪と牙の武器と斬撃スキルがある」
「なるほど」
ーーーー
ザンガと話している裏で眷属4人だけの眷属リンク通話が行われていた。
『ザンガ、お嬢様は強いが抜けた所もある。
17歳の若さで行動する事もある、だからお嬢様を守ってくれ。
お嬢様が消えたら俺たちも消える。
それに、日本のためにもお嬢様は絶対必要だ』
『分かってる、任せろ!』
『日本は出来る秘書アサカにお任せを』
『俺も任せろ、戦闘はお前が強い』
『オゥ!』
ーーーー
ザンガの戦闘状況も考えザンガを強くする事にした。
「よし、ザンガをもつと強化する。
種族をエンシェントフェンリルに上げて、各種耐性を追加、自己回復、治癒、麻痺、睡眠、デス、インビジブル魔法を追加する。
その他ほしい強化を上げて良いぞ。
これで、麻痺や眠って叩かれる事もほぼ無い。
ザンガに勝てる相手も減った」
「麻痺耐性キターーーー、オレのトラウマ!」
「ザンガ、言っとくが力が全てと言ったら、お仕置きして新しいトラウマを植えつけるぞ、いいか?」
「サー、イエッ、サー、了解です姉御!」
「もう一つ、エンシェントフェンリルで模擬戦しような。
私はもっと戦闘経験がほしい、頼む」
「ぐうう、分かりました姉御。
姉御が強くなるとみんなも安心だ」
私の転移回数も500回に上げる。
そして、ザンガの強化をはじめた。
各種耐性を付け、魔法を追加し、種族を上位に上げる。
するとザンガが嬉しい顔をした。
「姉御、エンシェントフェンリルで新しい種族スキルが出た。【空疾駆】と言って空中を蹴って走れる」
「それは凄いな、性能は?」
「地を走るスピードで空を走り、空中では止まれん、走ってないと切れる。
それに少し助走が必要、空中移動がメインかな」
「それでも凄い、おめでとう」
「ありがとう姉御」
「ちょっと待って」とサクラは何もない空間を見る。
(ラビ、他の国の言語を話す方法無い?)
『言語は出来ませんが【意思交感】のスキルを使うと、日本語が相手の言葉の様に伝わり、相手の言葉は日本語に聞こえます。
録音や録画は誤魔化せません、感の鋭い人には怪しまれます。
文字は声に出せれば理解できます。書く事は出来ません』
(いいねそれ、それと魅了の魔法を高Lvでおね)
『了解』
4人に【意思交感】のスキルの仕様と欠点を説明して、全員にスキルを追加した。
アサカが「昔の苦労は何処に行ったの」と嘆いた。
その後、2人が居ない時の日本側体制の相談と、行く準備の話をして会議を終わる。
数日間、食料の大量準備や日本の車と分からない様にワゴン車の改装を行う。
ザンガは新しいスキルや魔法の習熟に毎日タケルのグランドに通う。
ーーーーーー
準備が全て終わり、全員がザンガのダンジョン集合部屋に集まる。
私とザンガが並び、トウカ、タケル、アサカが向かいに並んだ。
「今から、唐津市から朝鮮半島に行き、清中共に渡る。
清中共の奥地でダンジョンを攻略してサブコアを入手してくる。
日本の事はくれぐれも宜しく頼む。
何かあったら眷属リンクで連絡してくれ、いつでも戻れる」
「お嬢様、くれぐれも、くれぐれもお気鋭つけ下さい。
ザンガ、お嬢様を頼みます」
「任せろ」
「日本の事はアサカがしっかり見ておきます。安心して下さい」
「ダンジョンの事は任せろ、防衛の件も考えとく」
「じゃ行ってくる。ザンガ大きめの犬…… あ、いやフェンリルに成ってくれ」
「え、なんで?」
「そろそろ抱っこは卒業したい。ザンガのフェンリルに乗っていく! 拒否権は無い!」
「姉御…… 分かりました、乗れる大きさになる」
ザンガが変身して、体長2メートル体高1メートルちょいの超大型犬サイズになる。
私はポンと飛びフェンリルの上に跨がる。
周りを見渡しフェンリルの背中や頭やピンと立った耳を見て嬉しくなる。
「おぉーーいいなこれ、アニメのXX見たい」
『姉御は軽いな』
「中身が木の人形だし」
『走る時はしっかり掴まっててくれ、落としそうだ』
「わかった!」
日本に残る3人向いて手を振る。
「では行ってくる。唐津市まで転移するぞ」
『オゥ』
「気おつけて、お嬢様」
「行ってらっしゃい」
「行ってらーー」
3人に見送られ、集合部屋からダンジョンの監視領域最北端に転移する。
ラビに安全な場所を確認の上、数回転移で唐津市にある渡戸岬の森の中に着く。
この先に朝鮮半島が有る。
「ザンガこの先は海だ、海の上空に転移し再度転移して壱岐島の森の中に入る。
私がザンガに乗って二人ともインビジブルを使って消える。
そして、ザンガの【空疾駆】で空を掛け転移、そのまま海の上を走り転移して島に着く。
ザンガは空を走ってれば島に着く感じ。
いいか?」
「おぅ、空を走ってれば良いんだな」
「そう」
私はフェンリルの背に横になり首に手を回して、足と手でフェンリルの体に抱きつく。
「ザンガこれ問題ないか?」
「問題ない、もっと強くてもいいぜ」
「よし、インビジブルしたら空を走れ」
私とザンガが【インビジブル】で姿が消え、 2人とも相手が薄い半透明に見える。
そしてフェンリルが走る、すごい加速だ抱きつく力が強くなる。
数歩で空中を疾駆し始めた、速い。
高く登って平行に移動した時、転移を行い海の上に出た。
周り全てが海だった、海の上をフェンリルが駆ける。
ラビが次の転移位置を今のダンジョン管理領域から割り出す。
そして転移、下に海岸が見え、前に壱岐島の森が見える。
『島に着いた、人から見えない場所に降りて』
『おぅ!』
フェンリルは空から目前の森に向かい、森の隙間にふわりと着地。
『おーー、降りるの上手い』
『練習したからな』
『空中転移はどうだった?』
『問題無し、もう着いたのかと思ったほどだ』
『よし、次は対馬の島まで行く、空疾駆よろ』
壱岐島の空を駆けながら転移して対馬に渡る。
対馬から朝鮮半島まで数回海の上を駆けて到着する。
全工程で約200キロの渡航を行った。
フェンリルの上から回りを見渡す。
そして、ザンガに話しかける。
『朝鮮半島に到着! 約200キロを渡った。
ここは、統一大超鮮社会主義国家、大鮮国に着いたよ』
『おお、意外と早く着いたな』
『ザンガお疲れ!』
『いやいや、余裕しょ』
管理領域にモンスター侵入警報が頭に中に響く。
私は嬉しさから一転緊張した顔に急変し、ラビに状況を聞く。
ザンガはすぐに私の変化を感じて警戒する。
(ラビ、この警報は?)
『ダンジョン管理領域にダンジョンとモンスターが多数見つかりました』
(え、もう発見、この国大丈夫なの?)
『この国のダンジョン数は多いです』
『ザンガ、私の探査エリアに多くのモンスターとダンジョンが見つかった。
この国も清中共と同じくダンジョンが多い見たい。
ダンジョンまでは遠いが、相手の管理領域が分からないので、見つかった場合襲われる危険がある。
今はインビジブルが効いてて見えないが、注意して』
『了解、この国もヤバイのか?』
『その可能性がある。
しかし、到着早々危険とは旅行気分が消えた』
『いやいや、旅行気分は無いよな?』
『まあね』
と言って顔を横に向ける、ザンガにはバレバレだった。
『で、どうする?』
『この国では何もしない。
何かしたら日本のせいだと言い掛かりをつけるのが見える』
『だな』
『国情を見ながらゆっくり清中共に向かう積もりだったが、モンスターやダンジョンマスターと戦って目立つのも嫌だから、転移で清中共まで行くか。
残念だ』
サクラは肩を落として残念がる。
そのサクラを胡乱な目で見るザンガ。
こいつは絶対、観光に来たなと確信する。